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「・・・これは、凄いですね。」
ダクスが唖然と部屋を見ると、見たことのない家具や寝具、トイレに見入っていた。
「こんな感じで、配置をしたいんですが。排水や仕切りの壁と床を変えてみたいんですけど。出来ますか?」
不安げに揺れる瞳にダクスは、ニコリと答える。
「大丈夫ですよ。排水は、今から出来ますが、仕切りの壁は材料を調達してからなので。明日見てきます。それからなら出来ますよ。」
ダクスの返事にパァーと顔が明るくなる。
一度片付けて大丈夫と言われたので、部屋中に出した家具をアイテムボックスに収納すると、無機質な部屋に戻る。
排水の印を付けた場所に、ダクスが手を合わせると、ズズズと床が綺麗に円の穴が空いた。そのまま地中にまで穴が広がると何やら呪文を唱え始めた。
「何してるの?」
レイに聞くと「ん?スライムと契約内容を更新してる。排水をまとめる場所まで運ぶようにしてる。」
どうやら、穴を通して排水や汚物を使役しているスライムがまとめて集めているみたいだ。
まとめて置いた場所には、別のスライムがいて、処分してくれる仕組みになっている。
「マユさん。一度、トイレとお風呂、台所を出して貰えますか?」
ダクスに言われ、取り出すと。穴に設置してまた呪文を唱えている。
しばらくして、「終わりました。」
ダクスが仕上げを終えると、そこには剥き出しのトイレなどが設置されていた。
「スライム達には、この地面より上には来ないようにしました。今日から使えますよ。」
ダクスに言われ一つずつ確認しようと、まずはトイレを流してみる。
「あれ?水が出ない?」
お風呂も流し台も水が出なかった。
「水は魔石が無いと出ないかな。買いに行く?」
レイに言われて、そういえばそんな事言ってたなーと思いだす。
「ダクスさん、ありがとうございました。」
お礼を言うとダクスは、コホンと咳払いしながら「それは良かったです。あの、差し支えなければ魔石を買った後で試しに使用しても宜しいでしょうか?見た事がない物で、、」
チラチラとトイレを見ているダクスに「いいですよ!全て終わってから招待しますね。」と約束する。
ニコニコと子供みたいに帰っていくダクスにマユは微笑んでしまう。
そんなやり取りを見ていたレイは、ブスーと不服そうにしていた。
「ダクスは魔具を作るから興味あるだけ。」
「ん?まぐ?」
「そう、生活に必要な道具。魔力を使う日常品を研究してる。」
急にどうしたんだろ?と思いながらレイの話を聞いていると、どうやら部屋に招待すると話したのが嫌だったみたいだ。
拗ねて子供みたいだと笑ってしまう。
クスクスしていると、
「なんで笑うの?」
「ふふ、みんなイイ人ばかりだなーって思って。温かい人ばかりだね。」
「そんな事ない。」
ツーンとするレイが可愛く見えてくる。
「あ!魔石、、っていくらするんだろ。お金が無いからーーー団長さんはいるかな?」
「団長?部屋にいるかな?お金はあげるよ。」
レイの誘惑にグッと堪えて、団長さんに会いにいく。
コンコン
「誰だ?」
「えっと、マユです。入っても大丈夫でしょうか?」
ガダンゴトンドゴッ
凄い音がして、静まり返った部屋から「いいぞ」と返事が返ってきた。
ドアを開けると、団長がダラダラと汗をかきながら椅子に座っていた。
「?忙しい中、すみません。あの、相談があって来ました。お時間大丈夫でしょうか?」
「相談?あぁ、大丈夫だ。何かあったのか?」
「はい、あのーーーお恥ずかしい話しですが、こちらにきて、私は働いていないのでお金が無いのです。それで、働きたいとーー」
「まてまてまて!」
「?」
申し訳なさそうに話すマユに聞いていた団長が静止する。
「マユは落ち人だぞ?お金がなくて当然じゃないか。何か必要なのがあったのか?」
「えっと、魔石が欲しくて」
「魔石?何に使うんだ?」
「ダクスさんに工事していただいたんですが、トイレなどーーー水が出なくて、魔石を使うと聞いて買いたいと思ったんですがその、お金が無くて、、それで働きたいんですけど」
「はぁ?!水が出ないだと!?魔石がないだと!!」
ワナワナと怒鳴る団長にビクッと身体が強張る。
「団長、気が出てる。」
レイがなでなでとマユの頭を撫でるのを見て、怯えさせてしまったと反省する。
「すまん、すまん。それは、こちらで準備する事だったな!マユは気にせず魔石を買って来なさい。請求は、私で大丈夫だ。」
「え!でも!」
「大丈夫。安心しなさい、保護されるのは生活の面倒を見るのと一緒なんだから、甘えていいんだよ。」
優しくポンポンすると、マユは泣きそうになる。
見知らぬ場所で、こんなに手厚い事を受けるなんて。
「後で、ダクスとお金も計算して渡そう。レイ、魔石の場所まで頼めるか?」
「うん。」
「では、マユは他にも欲しいのがあれば買っていいからな!」
ガハハと笑いながら団長が話すと、マユはコクンと頷いた。
ぺこりと頭を下げながら、部屋から出る時、レイは鋭い視線で団長の背後を睨みつけていた。
そうとは気付かないマユはニコニコしながら出ていく。
誰もいなくなった部屋で団長がはぁーと深いため息をしていた。
「見てたか?」
誰もいない部屋で呼びかけると、団長の陰からユラユラと黒い影が人の形になっていく。
「不思議な匂い。」
「匂い?わからんかったが、お前が言うなら間違いないな。」
「保護?」
「そうだ。気付かれずに見守っていなさい。レイがいる時は大丈夫だが、離れた時は特にな。」
「分かった。」
そういう時ユラユラと影の中に消えていった。
「こいつも、早く人に慣れてくれたらいいんだがな。」
しんみりとさせながら窓の外を見る団長は、やる事が山積みだと言う事を忘れながら昔の事を考えていた。
ダクスが唖然と部屋を見ると、見たことのない家具や寝具、トイレに見入っていた。
「こんな感じで、配置をしたいんですが。排水や仕切りの壁と床を変えてみたいんですけど。出来ますか?」
不安げに揺れる瞳にダクスは、ニコリと答える。
「大丈夫ですよ。排水は、今から出来ますが、仕切りの壁は材料を調達してからなので。明日見てきます。それからなら出来ますよ。」
ダクスの返事にパァーと顔が明るくなる。
一度片付けて大丈夫と言われたので、部屋中に出した家具をアイテムボックスに収納すると、無機質な部屋に戻る。
排水の印を付けた場所に、ダクスが手を合わせると、ズズズと床が綺麗に円の穴が空いた。そのまま地中にまで穴が広がると何やら呪文を唱え始めた。
「何してるの?」
レイに聞くと「ん?スライムと契約内容を更新してる。排水をまとめる場所まで運ぶようにしてる。」
どうやら、穴を通して排水や汚物を使役しているスライムがまとめて集めているみたいだ。
まとめて置いた場所には、別のスライムがいて、処分してくれる仕組みになっている。
「マユさん。一度、トイレとお風呂、台所を出して貰えますか?」
ダクスに言われ、取り出すと。穴に設置してまた呪文を唱えている。
しばらくして、「終わりました。」
ダクスが仕上げを終えると、そこには剥き出しのトイレなどが設置されていた。
「スライム達には、この地面より上には来ないようにしました。今日から使えますよ。」
ダクスに言われ一つずつ確認しようと、まずはトイレを流してみる。
「あれ?水が出ない?」
お風呂も流し台も水が出なかった。
「水は魔石が無いと出ないかな。買いに行く?」
レイに言われて、そういえばそんな事言ってたなーと思いだす。
「ダクスさん、ありがとうございました。」
お礼を言うとダクスは、コホンと咳払いしながら「それは良かったです。あの、差し支えなければ魔石を買った後で試しに使用しても宜しいでしょうか?見た事がない物で、、」
チラチラとトイレを見ているダクスに「いいですよ!全て終わってから招待しますね。」と約束する。
ニコニコと子供みたいに帰っていくダクスにマユは微笑んでしまう。
そんなやり取りを見ていたレイは、ブスーと不服そうにしていた。
「ダクスは魔具を作るから興味あるだけ。」
「ん?まぐ?」
「そう、生活に必要な道具。魔力を使う日常品を研究してる。」
急にどうしたんだろ?と思いながらレイの話を聞いていると、どうやら部屋に招待すると話したのが嫌だったみたいだ。
拗ねて子供みたいだと笑ってしまう。
クスクスしていると、
「なんで笑うの?」
「ふふ、みんなイイ人ばかりだなーって思って。温かい人ばかりだね。」
「そんな事ない。」
ツーンとするレイが可愛く見えてくる。
「あ!魔石、、っていくらするんだろ。お金が無いからーーー団長さんはいるかな?」
「団長?部屋にいるかな?お金はあげるよ。」
レイの誘惑にグッと堪えて、団長さんに会いにいく。
コンコン
「誰だ?」
「えっと、マユです。入っても大丈夫でしょうか?」
ガダンゴトンドゴッ
凄い音がして、静まり返った部屋から「いいぞ」と返事が返ってきた。
ドアを開けると、団長がダラダラと汗をかきながら椅子に座っていた。
「?忙しい中、すみません。あの、相談があって来ました。お時間大丈夫でしょうか?」
「相談?あぁ、大丈夫だ。何かあったのか?」
「はい、あのーーーお恥ずかしい話しですが、こちらにきて、私は働いていないのでお金が無いのです。それで、働きたいとーー」
「まてまてまて!」
「?」
申し訳なさそうに話すマユに聞いていた団長が静止する。
「マユは落ち人だぞ?お金がなくて当然じゃないか。何か必要なのがあったのか?」
「えっと、魔石が欲しくて」
「魔石?何に使うんだ?」
「ダクスさんに工事していただいたんですが、トイレなどーーー水が出なくて、魔石を使うと聞いて買いたいと思ったんですがその、お金が無くて、、それで働きたいんですけど」
「はぁ?!水が出ないだと!?魔石がないだと!!」
ワナワナと怒鳴る団長にビクッと身体が強張る。
「団長、気が出てる。」
レイがなでなでとマユの頭を撫でるのを見て、怯えさせてしまったと反省する。
「すまん、すまん。それは、こちらで準備する事だったな!マユは気にせず魔石を買って来なさい。請求は、私で大丈夫だ。」
「え!でも!」
「大丈夫。安心しなさい、保護されるのは生活の面倒を見るのと一緒なんだから、甘えていいんだよ。」
優しくポンポンすると、マユは泣きそうになる。
見知らぬ場所で、こんなに手厚い事を受けるなんて。
「後で、ダクスとお金も計算して渡そう。レイ、魔石の場所まで頼めるか?」
「うん。」
「では、マユは他にも欲しいのがあれば買っていいからな!」
ガハハと笑いながら団長が話すと、マユはコクンと頷いた。
ぺこりと頭を下げながら、部屋から出る時、レイは鋭い視線で団長の背後を睨みつけていた。
そうとは気付かないマユはニコニコしながら出ていく。
誰もいなくなった部屋で団長がはぁーと深いため息をしていた。
「見てたか?」
誰もいない部屋で呼びかけると、団長の陰からユラユラと黒い影が人の形になっていく。
「不思議な匂い。」
「匂い?わからんかったが、お前が言うなら間違いないな。」
「保護?」
「そうだ。気付かれずに見守っていなさい。レイがいる時は大丈夫だが、離れた時は特にな。」
「分かった。」
そういう時ユラユラと影の中に消えていった。
「こいつも、早く人に慣れてくれたらいいんだがな。」
しんみりとさせながら窓の外を見る団長は、やる事が山積みだと言う事を忘れながら昔の事を考えていた。
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