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第一章
エルフは男のロマン
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不覚にも山賊Aを取り逃したが、それをいつまでも引きずってこの空間に長時間留まっているわけにもいくまい。とりあえず少女を檻から出すのが先で追う逃げるの判断は後回しだ。
少女を捕らえる檻と対峙する。
遠目で見るよりも大きくてなかなか良い造りをしている頑丈そうな檻だった。
「ふぅ────ていゃあ!」
俺は一息つくと精神を統一して一太刀。すると南京錠は真っ二つに割れ、ようやく少女は解放された。
「怪我はないですか?思ったよりも手こずりました」
俺は周囲の安全を確認し手を差し出すと、少女は頷き俺の手を取って檻から出た。
「いえいえ、こちらこそ。見ず知らずのわたくしなんかを助けていただいて感謝してもしきれません」
少女は立ち上がって服の汚れを払うと、改めて俺と視線を合わせ、お礼を述べた。
正面から見ると更に可愛さが増す。
「わたくしの名はフレイといいます。見ての通りエルフ族でして、今年で十歳になりました」
尖った耳をピクピクと動かしてみせて自己紹介をしてくれたフレイ。
「俺の名前はマルス・エルバイス。フレイさん?と同い歳です」
「エルバイス────なるほど、あなたが噂に聞く・・・あっ!わたくしのことはフレイとお呼びください。さん付けなんて堅苦しい呼び方をわたくしは好みませんので」
「了解です」
「それと敬語もいらないです。わたくしの場合は幼少期からの癖になってるだけなのでお気にならさず」
「そう?なら俺もフレイが呼びやすい呼び方でいいよ」
「ええ、わかりました。ではマルスくんと」
「うん、よろしくね。で、檻から出たばっかりで悪いんだけどさ。ここでモタモタしてると山賊たちが帰ってくると思うんだよ」
「仰る通りです。この洞窟を縄張りにしている山賊の勢力は少なく見積っても四十人弱。中規模に分類される勢力ですが、ここを纏め上げる頭領は賊界隈では名の通っている賞金首です。こうしているうちにも増援が迫っているでしょう」
「やけに詳しいね」
「ああ、言っていませんでしたね。わたくし、実は────」
フレイが言いかけたその時。
「てめぇらかぁ!俺の仲間を殺しやがったのはぁぁぁぁ!!!!」
怒り狂い声を荒らげるのは山賊・・・E。
「救援を呼んできたぜ!もうお前らはお終いだ!!」
「ぶち殺してやるからなぁ!覚悟しとけぇぇぇ!」
「オデ、ユルサナイ!」
「逃がさないからなぁ!後悔しても、おそおぉおぉぉい!」
彼の後から続々と俺らを威嚇するのは山賊A、F、G、H、etc・・・。まぁ、とにかくたくさんの山賊が集まってしまった。
「あちゃー、来ちゃったね」
「ふふっ、来ちゃいましたね」
悪戯っぽく笑うフレイに俺の心臓は鼓動を速める。
俺氏チョロすぎ笑、と自分にツッコミを入れるが可愛いもんは可愛いんだからしょうがないよな。
「待ってて。すぐ片付けるから」
フレイに向けて格好つけるチャンスとばかりに俺は一歩前へ出ると、剣を鞘から抜きそれを放り投げた。
ざっと数えて三十五人。この中で魔法を使えそうな者は、幸いにもいないようで圧倒的に俺が有利だ。この狭い空間に大人数で入ってくるとはやっぱり山賊は頭が悪い。それじゃあ満足に身動き取れないでしょ。
冷静に分析していると眼帯を付けた山賊が一人で俺に近寄ってきた。
「へっ!お前一人でどうやって、ごほぉっ!」
なにか喚いてたけど俺は気にせず男の首を軽く斬り飛ばした。
「もう許さねぇぞ!お前らぁ容赦は要らねぇ!やっちまえぇ!」
学ぶっていうことをしない彼らはようやく武器を取り全員で襲いかかってくる。
「死ねぇぇぇ!がぁぁ!?」
「なっ!くたばれぇぇ!・・・ぐぇぇぇ!」
「お前ら、どうし・・・ぶへらぁっ!?」
律儀にも横一列になって向かってくる彼らを俺は素早い突き動作で急所を狙った。横に並んでいるので逃げられない彼らは剣を振り下ろす前に、何もできないまま死んでいくのだ。
数十分後────
「くっ!・・・て、あれ?人数が少ないような・・・俺もうこんなに殺したっけ?」
俺が山賊の戦い方に順応すれば彼らもまた俺の戦い方に順応していく。それは当たり前で、いくら頭が弱いと言っても剣術をかじっているだけあって基礎の基の字の部分ぐらいはマスターしている彼らに、次第に俺は人数の圧力に押されてしまう。
そして思ったよりも苦戦してついつい戦闘に夢中になってしまっていた俺はフレイの安全確認を怠ってしまっていたのだ。
「きゃぁ!」
後方でフレイの悲鳴が聞こえた。
振り返った俺の目に飛び込むのは小石につまづいて転んだらしいフレイが、四人の山賊に囲まれるという絶体絶命の大ピンチな光景であった。
少女を捕らえる檻と対峙する。
遠目で見るよりも大きくてなかなか良い造りをしている頑丈そうな檻だった。
「ふぅ────ていゃあ!」
俺は一息つくと精神を統一して一太刀。すると南京錠は真っ二つに割れ、ようやく少女は解放された。
「怪我はないですか?思ったよりも手こずりました」
俺は周囲の安全を確認し手を差し出すと、少女は頷き俺の手を取って檻から出た。
「いえいえ、こちらこそ。見ず知らずのわたくしなんかを助けていただいて感謝してもしきれません」
少女は立ち上がって服の汚れを払うと、改めて俺と視線を合わせ、お礼を述べた。
正面から見ると更に可愛さが増す。
「わたくしの名はフレイといいます。見ての通りエルフ族でして、今年で十歳になりました」
尖った耳をピクピクと動かしてみせて自己紹介をしてくれたフレイ。
「俺の名前はマルス・エルバイス。フレイさん?と同い歳です」
「エルバイス────なるほど、あなたが噂に聞く・・・あっ!わたくしのことはフレイとお呼びください。さん付けなんて堅苦しい呼び方をわたくしは好みませんので」
「了解です」
「それと敬語もいらないです。わたくしの場合は幼少期からの癖になってるだけなのでお気にならさず」
「そう?なら俺もフレイが呼びやすい呼び方でいいよ」
「ええ、わかりました。ではマルスくんと」
「うん、よろしくね。で、檻から出たばっかりで悪いんだけどさ。ここでモタモタしてると山賊たちが帰ってくると思うんだよ」
「仰る通りです。この洞窟を縄張りにしている山賊の勢力は少なく見積っても四十人弱。中規模に分類される勢力ですが、ここを纏め上げる頭領は賊界隈では名の通っている賞金首です。こうしているうちにも増援が迫っているでしょう」
「やけに詳しいね」
「ああ、言っていませんでしたね。わたくし、実は────」
フレイが言いかけたその時。
「てめぇらかぁ!俺の仲間を殺しやがったのはぁぁぁぁ!!!!」
怒り狂い声を荒らげるのは山賊・・・E。
「救援を呼んできたぜ!もうお前らはお終いだ!!」
「ぶち殺してやるからなぁ!覚悟しとけぇぇぇ!」
「オデ、ユルサナイ!」
「逃がさないからなぁ!後悔しても、おそおぉおぉぉい!」
彼の後から続々と俺らを威嚇するのは山賊A、F、G、H、etc・・・。まぁ、とにかくたくさんの山賊が集まってしまった。
「あちゃー、来ちゃったね」
「ふふっ、来ちゃいましたね」
悪戯っぽく笑うフレイに俺の心臓は鼓動を速める。
俺氏チョロすぎ笑、と自分にツッコミを入れるが可愛いもんは可愛いんだからしょうがないよな。
「待ってて。すぐ片付けるから」
フレイに向けて格好つけるチャンスとばかりに俺は一歩前へ出ると、剣を鞘から抜きそれを放り投げた。
ざっと数えて三十五人。この中で魔法を使えそうな者は、幸いにもいないようで圧倒的に俺が有利だ。この狭い空間に大人数で入ってくるとはやっぱり山賊は頭が悪い。それじゃあ満足に身動き取れないでしょ。
冷静に分析していると眼帯を付けた山賊が一人で俺に近寄ってきた。
「へっ!お前一人でどうやって、ごほぉっ!」
なにか喚いてたけど俺は気にせず男の首を軽く斬り飛ばした。
「もう許さねぇぞ!お前らぁ容赦は要らねぇ!やっちまえぇ!」
学ぶっていうことをしない彼らはようやく武器を取り全員で襲いかかってくる。
「死ねぇぇぇ!がぁぁ!?」
「なっ!くたばれぇぇ!・・・ぐぇぇぇ!」
「お前ら、どうし・・・ぶへらぁっ!?」
律儀にも横一列になって向かってくる彼らを俺は素早い突き動作で急所を狙った。横に並んでいるので逃げられない彼らは剣を振り下ろす前に、何もできないまま死んでいくのだ。
数十分後────
「くっ!・・・て、あれ?人数が少ないような・・・俺もうこんなに殺したっけ?」
俺が山賊の戦い方に順応すれば彼らもまた俺の戦い方に順応していく。それは当たり前で、いくら頭が弱いと言っても剣術をかじっているだけあって基礎の基の字の部分ぐらいはマスターしている彼らに、次第に俺は人数の圧力に押されてしまう。
そして思ったよりも苦戦してついつい戦闘に夢中になってしまっていた俺はフレイの安全確認を怠ってしまっていたのだ。
「きゃぁ!」
後方でフレイの悲鳴が聞こえた。
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