悪役令嬢は平凡な幸せを築きたい

ゆゆゆ

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子爵令息は嘆息する

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ハルモニア王国は大国ではない。

しかし、その勤勉さ故の優秀な人材の発掘や、優れた技術をもって周囲の国々から重宝されている。
国王をトップに公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と貴族を敷き、一代限りの爵位騎士爵がある。平民の職業による身分の差はない。


「お、おまたせしました。カーキス様」


トントンと軽やかな音を立てながら小走りで近づいて来た婚約者のフローライトが息を整えながら微笑む。


「やぁ、フローライト、今日も綺麗だね。その青いドレス良く似合っているよ」


手の甲へ触れるだけの口づけをして待たせていた馬車へエスコートする。


男爵令嬢のフローライトは俺らの年代の中では飛び抜けて綺麗だと評判だが、あくまで男爵令嬢。教育もそこそこ。所作もそこそこ。男爵子息の間で取り合っていたが、娘の幸せを切に願った家族想いの男爵に懇願され俺が婚約者の立ち位置に収まっている。男爵曰く【うちの父は賢政をしており人柄も良い、教育的にもしっかりしていて俺の悪い噂は聞かない。また、子爵家なので多少の努力でありのままの自分でいれながらも他の求婚者よりも格上で男爵からは手が出しにくい。】というのが理由らしい。それを馬鹿正直に親父に話し、俺の婚約者(仮)にして欲しいと頼み込んできたっていうから驚いた。男爵は駆け引きはあまり得意ではないようだ。多少の金銭のやりとりもあったらしく現在は婚約者(仮)状態。お互い好きな人ができたら婚約解消しても良い。と言われている。


「なんだかドキドキしますね。今までお会いする機会がなかった方にも沢山お会いしますし、その方達と3年間過ごすんですもの。仲良くなれると嬉しいですわね。」


フローライトは男性に好意を寄せられることが多い故女性受けはあまり良くなく友達も少ない。
ここで友達ができることを期待しているようだ。


曖昧に微笑むと同意と受け取ったのか、嬉しそうに腕にしがみついてきた。


ハルモニア王国では社交界へのデビューは男女共に12歳だが基本的に16歳までは同じような家柄のパーティーに出席する。そして、16歳になったら王家主催の舞踏会に呼ばれそれ以降は招待状があればどこのパーティーにでも参加できるようになるのだ。
俺もフローライトも現在14歳だが今日は特別。
なんたって王子の15歳の誕生パーティーだからな。
16歳から寮生活をすることになる前後3学年に該当する貴族の子供だけを集めた特別なパーティー。下は13歳から上は17歳までが呼ばれている。



馬車が止まる。




俄かに周囲が騒がしくなり御者が自分たちの名前を告げる。



身分が下の方だから入場開始は早い。



「シスル子爵家子息カーキス様、並びにビオラ男爵家令嬢フローライト様御入場です」


促され男爵家がほぼ揃った会場に足を踏み入れると周りからまばらに拍手が聞こえる。フローライトにとっては見知った顔も多いようでコッソリと手を振る姿が可愛らしい。



子爵、伯爵、侯爵の入場が終わり本日の主役である王子が現れた。割れんばかりの拍手が鳴り響くのを当然のように受け止め、一段高いところから辺りを見回し、、、



ある一点で王子の視線が固定される。




《やっぱりこうなったか、、、》




子爵令息、カーキス・シスルは予想通りの展開にこっそりと溜息をついた。

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