悪役令嬢は平凡な幸せを築きたい

ゆゆゆ

文字の大きさ
3 / 15

男爵令嬢(モブ)は驚愕に目を瞠る

しおりを挟む
今日はハルモニア王国王子の誕生パーティーでございます。

壇上の王子は少し癖のある黒髪に切れ長の黒の瞳。唇は薄く表情によっては冷たい印象を与えそうに感じます。身長はまだまだ成長期なのかあまり高くはありませんが、程よく焼けた肌に少し微笑みを浮かべたその姿は自信に溢れており周囲の者を魅了しておりました


紹介を受けた後、周りを見回す中で少しの間瞠目して固まっていた王子は、5SP(公爵、侯爵家の子息で構成。王子の幼なじみであり後の側近と内定している。全員優秀、眉目秀麗なため『スペシャル』『護衛』両方の意味を兼ね備えてこう呼ばれる)の一人である宰相の嫡男に促され一度咳払いをした後柔らかい口調で皆様にこう仰ったのです。


「忙しい中足を運んでくれたことに感謝する。学園での生活・学びをより良い物にするため皆と誼を結びたいと思いこの場を設けることになった。今日は楽しんで行ってくれ」


柔らかな口調と飾らない言葉に皆うっとりしておりました。
誰かの1拍子目を皮切りに割れんばかり拍手が鳴り響き、それが少しおさまるとダンスのための音楽が流れ始めました


王子が出てきて忙しなく辺りを見廻しております。
誰かを探しているのでしょうか?
周りの令嬢達が王子に自分を認識して貰おうと次々と王子に話しかけておりますが、私はたかだか男爵令嬢。
そんな恐れ多いことは出来ません。


「あの、よろしければ私とダンスを」
「すまない。人を探していてね。こんな美しい人の誘いを断りたくはないんだが、、、。また今度、私から誘うよ。そうだ、今日はこいつと踊ってやってくれないか」


王子は5SPのメンバーにその場を押しつけて誰かを探しています。
5SPの皆様は呆れたように王子を見て少し窘めておりましたが全く引く気がない王子の様子に諦めたように令嬢を引き受けます。
令嬢達も嬉しそうに手を引かれてダンスホールの中心に向かって行かれます。



それがはじまりであったかのように次いで公爵、侯爵、伯爵家の子息令嬢がダンスホールの中心で綺麗に踊りはじめました



王子が踊らないことを皆不思議に思っているが誰も口には出しません。
だって、ここで下手なことは言っては、学園での3年間にどんな影響があるかわからないんですもの。


子爵達も踊り出しました。
そろそろ私たちも踊っても良いでしょう。
今日のパートナーである兄に手を差し出され優雅に礼を致します。


すぐ近くで友人のフローライトが楽しそうに踊っているのが見えます。
婚約者のカーキス様はあまり集中できていないのが周りに注意を払っているように見受けられます

何曲か夢中で踊り、壁にもたれて休憩しているとフローライトがカーキス様に促されてバルコニーに出ていくのが見えました

「カーキス様も我慢が足りないな。まあ、あんなに綺麗な婚約者がいれば当たり前か」


周囲から漏れ聞こえる言葉に思わず頬が朱に染まります


<バルコニーは男女が睦み合う場>


それは年頃の男女であれば当たり前に知っていることで、その場に行ったということは二人は今頃・・・


顔が熱い・・・

熱を冷ましたいけれど、バルコニーには出られないので開いた窓の前で風を受けて火照った身体を冷やします。
ふと影が差したので見上げると、そこには少しだけ怖い顔をしたお兄様が立っていました。


赤い頬を見られるのがなんだか恥ずかしくて顔を伏せていると不意に腰を抱かれその勢いのままバルコニーへ連れ出されました


「・・・お兄様?」


いくつもの背の高い観葉植物の横を通り過ぎます

植物の陰には色とりどりのドレス

あちらこちらから水音や切なげな声が聞こえてきます


怖くなって足が止まりかけますが力強く腕を引かれ止まることを赦されません


一番端まで連れて行かれ兄の腕の中に閉じ込められました
背中にごつごつした壁の感触を感じます


「お・・・おにぃ「許してくれ」」


問いただす間もなく、噛みつくように口づけられ息が出来ません。
酸素を求めて開いた唇から舌が侵入し口内を蹂躙します


「・・・んっ!やぁ!・・・・んっ!」


精一杯の力で突き放したつもりなのに全く距離は変わらず。。。
お兄様は軽く微笑みながら片手で私の両手を頭上に拘束致しました
いつも優しい兄が何故このようなことをするのかわからず恐怖で身体の震えが止まりません

助けを求めようと隣り合ったバルコニーに目をやると


そこにはあられもない姿にされながら抵抗しているフローライト。


そして、皆のあこがれである王子と5SPがいらっしゃいました




驚愕に目を瞠る私。


そんな私に腹を立てたのか腕を固定している力が強くなって頭上から声が降ってきました


「よそ見なんて余裕だな。他の男なんか見るんじゃねえよ」


そして、噛みつくような口づけと共に服の中に手が入ってきて私は大層乱れさせられましてその後のフローライトと皆様の姿を見ることが出来なかったのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

処理中です...