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メイドは見た
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あれは、小雨の降る少し肌寒い日の事でした。
ワタクシは、傘をさしながら買い物に出ておりました。最近は他の使用人達からワタクシへの当たりが強く、書類を持っていくなどのほんの小僧でも出来そうな仕事も多く回されておりました。
ワタクシがそばにいられない間、フローライト様は大丈夫かといつも足早に使いを終わらせるのです。そんな帰り道、ワタクシは見てしまったのです。
狭い道のその先に留まっていたシンプルですが品の良い馬車に誰かが傷と泥をつけ、古びたような色に塗り替えてみすぼらしい馬車に変えていくのを。
なんでそんな事をするのでしょうか?
勿体無いですし、不思議に思いました。
好奇心に負けてついついその馬車に近づきました。塗料の乾燥のためなのか開け放たれた扉から見えたのは最初に馬車を見たときの印象に相応しいフカフカのシート、全て白い毛皮で覆われておりシミ一つありません。足元には籠が置いてあり布が掛けてあります。不意に風が布を巻き上げ中がチラリと見えます。・・・なにやら銀色の金属のようでした。え、えっと、布は可愛らしい小さな紫の花柄です。座面と布だけであればうちのフローライト様にとても似合いそうです。
ふと気付くと空が暗くなりかけていました。可愛くて綺麗なものが好きな身にはとても幸せな時間でございました。さぁ、早く帰ってフローライト様にお声を掛けなくては。
「ミラ、お帰りなさい」
帰った途端フローライト様が嬉しそうに微笑みます。
やはり皆最低限のお世話しかされなかったようです。
もう直ぐ夕食だというのに身支度も出来ていません。
髪を梳かし、夕食用のドレスに着替えるのを手伝います。
夕飯の席でも誰もフローライト様に声をかけません。ドリンクがなくなってもお代わりの有無さえ聞かないのです。ご家族であるはずの皆様も弟君とばかりお話になられます。
困ったような哀しそうな顔でこちらをチラチラと見るフローライト様の労しいこと。我が事のように胸が痛みます。
食後の入浴を済ませ、フローライト様をベットにお送りします。
「ねぇ、今日だけ、一緒に寝てくれない?」
余程心細いのでしょうか。
幼い頃のように強請られ、袖を引かれます。
ワタクシは出来るだけ早く仕事を終わらせるので休むように伝えました。
了承の意が伝わったのでしょう。
フローライト様は嬉しそうに笑うとベットの中で本を読み始めました。
さて、ここからはワタクシの時間です。
終わっていない仕事を終わらせ入浴します。
フローライト様の身の回りの品を揃えるのにかなり時間を要してしまい気がつくと夜中の2時を回っておりました。
急いでフローライト様の部屋に向かいます。
ゆっくりと扉を開けようとして、妙に抵抗があるのを感じました。
力任せに押し開けると、そこには窓が全開になっており黒装束に身を包んだ数人の姿。恐怖で声が出ません。
そのうちの1人がフローライト様を何かで包んでいます。
抵抗しようとして立ち竦むワタクシに気づいたのでしょうか。フローライト様がワタクシの名前を呼んで腕を伸ばします。
ワタクシもフローライト様に手を伸ばしますが後ろから誰かに首を絞められ意識が、朦朧とします。更に薬を使われたのでしょうか、眠るように意識を手放しました。
「やぁっ・・・ん、んー!!・・・やめっ、あっ、んっ!」
少し卑猥な声で目覚めたワタクシの目に飛び込んできたのは、昼間見たあのフワフワなシート、そして、鎖とロープで拘束され息を切らしているフローライト様だったのです。
ワタクシは、傘をさしながら買い物に出ておりました。最近は他の使用人達からワタクシへの当たりが強く、書類を持っていくなどのほんの小僧でも出来そうな仕事も多く回されておりました。
ワタクシがそばにいられない間、フローライト様は大丈夫かといつも足早に使いを終わらせるのです。そんな帰り道、ワタクシは見てしまったのです。
狭い道のその先に留まっていたシンプルですが品の良い馬車に誰かが傷と泥をつけ、古びたような色に塗り替えてみすぼらしい馬車に変えていくのを。
なんでそんな事をするのでしょうか?
勿体無いですし、不思議に思いました。
好奇心に負けてついついその馬車に近づきました。塗料の乾燥のためなのか開け放たれた扉から見えたのは最初に馬車を見たときの印象に相応しいフカフカのシート、全て白い毛皮で覆われておりシミ一つありません。足元には籠が置いてあり布が掛けてあります。不意に風が布を巻き上げ中がチラリと見えます。・・・なにやら銀色の金属のようでした。え、えっと、布は可愛らしい小さな紫の花柄です。座面と布だけであればうちのフローライト様にとても似合いそうです。
ふと気付くと空が暗くなりかけていました。可愛くて綺麗なものが好きな身にはとても幸せな時間でございました。さぁ、早く帰ってフローライト様にお声を掛けなくては。
「ミラ、お帰りなさい」
帰った途端フローライト様が嬉しそうに微笑みます。
やはり皆最低限のお世話しかされなかったようです。
もう直ぐ夕食だというのに身支度も出来ていません。
髪を梳かし、夕食用のドレスに着替えるのを手伝います。
夕飯の席でも誰もフローライト様に声をかけません。ドリンクがなくなってもお代わりの有無さえ聞かないのです。ご家族であるはずの皆様も弟君とばかりお話になられます。
困ったような哀しそうな顔でこちらをチラチラと見るフローライト様の労しいこと。我が事のように胸が痛みます。
食後の入浴を済ませ、フローライト様をベットにお送りします。
「ねぇ、今日だけ、一緒に寝てくれない?」
余程心細いのでしょうか。
幼い頃のように強請られ、袖を引かれます。
ワタクシは出来るだけ早く仕事を終わらせるので休むように伝えました。
了承の意が伝わったのでしょう。
フローライト様は嬉しそうに笑うとベットの中で本を読み始めました。
さて、ここからはワタクシの時間です。
終わっていない仕事を終わらせ入浴します。
フローライト様の身の回りの品を揃えるのにかなり時間を要してしまい気がつくと夜中の2時を回っておりました。
急いでフローライト様の部屋に向かいます。
ゆっくりと扉を開けようとして、妙に抵抗があるのを感じました。
力任せに押し開けると、そこには窓が全開になっており黒装束に身を包んだ数人の姿。恐怖で声が出ません。
そのうちの1人がフローライト様を何かで包んでいます。
抵抗しようとして立ち竦むワタクシに気づいたのでしょうか。フローライト様がワタクシの名前を呼んで腕を伸ばします。
ワタクシもフローライト様に手を伸ばしますが後ろから誰かに首を絞められ意識が、朦朧とします。更に薬を使われたのでしょうか、眠るように意識を手放しました。
「やぁっ・・・ん、んー!!・・・やめっ、あっ、んっ!」
少し卑猥な声で目覚めたワタクシの目に飛び込んできたのは、昼間見たあのフワフワなシート、そして、鎖とロープで拘束され息を切らしているフローライト様だったのです。
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