雪花

麻美

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「こら。天華。そろそろ離してあげなさい」

そういわれるけどその子は嫌々と頭を降っていた

「天華くんって言うの?俺は六華だよ。いくつ?」

聞いたらやっと顔をあげてくれた。やっぱりすごく美少女だった。男の子だけど

「六歳」

「俺は十歳。俺の方がお兄さんだね」

「りっちゃん」

「ふふ…なぁに?天ちゃん」

「ありがと…」

「ん?どこか痛いとこなぁい?」

「痛くない…りっちゃん…王子さまなの?」

「え?違うよ」

「絵本の王子さまみたいだった」

「そう?」

「うん。いつか王子さまが迎えに来てくれて幸せに暮らすんだって。りっちゃん僕を迎えに来てくれる?」

「天ちゃんはお姫様を迎えに行く王子さまになるんだよ?だって男の子でしょ?きっとかっこいい王子さまになるんだろうなぁ」

「僕が王子さま?だったら僕がりっちゃんお迎えに行くんだね。ふふふっ」

ふふふってかわいく笑うから俺はお姫様にはなれないよって言えなかった。

そのあとは天ちゃんとずっと手を繋いで遊んでた。

遊ぶときもお風呂の時もご飯の時も寝るときもずっと。

そして翌日。朝の支度を終えた頃親戚の人が迎えに来てそのまま施設にいれられた。

寺を出る前まで天ちゃんは俺の手を離さなくて迎えが来たと知った天ちゃんは俺に抱きつきそして背伸びをして俺の唇に己のそれを合わせた。

「誓いのキスだよ。王子さまがお姫様にするの。僕がりっちゃんをお迎えに行くから待っててね。りっちゃん。大好きだよ。」

「俺も大好きだよ」

このときの大好きなんて子供同士のかわいいものだった。でも…

「六華さん…好きです。迎えに来たよ…俺と行かない?」

「えと…待って…まだ…」

「そうだよね。わかってる。安心して。無理強いなんてしないよ。でもちゃんとお父さんとお母さんのお墓は大切にしておくから安心してね」

「ありがとう。ごめんね」

「いいえ。六華さんが元気でこうして生きていてくれて良かったです」

「うん。天ちゃんもすっかりいい男になってびっくりした。ごめんね。直ぐに気付けなくて」

「わからないでしょ。こんなに変貌を遂げちゃったんだから。高学年まで俺小柄で華奢だったんです。そこから急に伸びて筋肉ついてあの頃の面影ないですもん。わかった方がすごいです」

「あのあとあの子達とはどうなったの?」

「結局今は仲の良い友人になりました。じいちゃんの説教が聞いたんでしょうね。あの時のこと今は笑って話せてますよ。不思議ですよね。あ。そうそう。あの中の一人の奴。あの時六華さんに一目惚れしちゃってましたよ」

「えぇ?みんな男の子だったよね」

「最初に声かけた奴ですよ。あまりにも可愛いから言葉が出なかったんですって」

「そうか。それは喜んで良いのか?」

「会ってみます?面白い奴ですよ」

「会うのも何か違う気もするけど。見てみたいかも」

「六華さんの泊まるはずだった旅館の料理長してるんですよ」

「そうなの?」

「今日はあっちに泊まるんでしょ?」

「うん。」

「俺はずっとうちにいてくれると嬉しいんですけどね」

「流石にそれはさ。ね?」

「わかってます。俺もそこに用があるので一緒にいきますよ。俺の車に着いてきてくれます?」

「わかった」

「六華さんの荷物もあるし俺も準備するんで一旦家に帰りますね」















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