雪花

麻美

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天華くんを見送って取り敢えずお風呂に入ろうと準備する。

風呂に入りながら雪に覆われた神秘的な景色を眺めゆっくりと湯に浸かる。とても贅沢…こんなに良いところを独り占めなんて

暫く楽しんで部屋に戻りテレビをつけるけどいつも見ているテレビと違ってローカルな番組があってた。ぼんやりとそれを見ていたらいつの間にか眠っていた。

起きたらもう夕食の時間。今度はわざわざ女将さんが来てくれて準備をして行く。

「お久しぶりね…六華くん」

「お久しぶりです。華英さん」

「ふふ…覚えていてくれて嬉しいわ」

華英さんは俺がいた施設に何度か足を運んでくれた女性だ。俺を引き取りたいと何度も来てくれたけど何故か俺は華英さんのところには行かせてもらえなかった。この宿に決めた理由は華英さんがいるから。一度ちゃんとお礼を言いたかったのだ

「あの頃はあなたの親戚の人の力が強くなってて…貴方の生まれた土地には貴方を置きたくないと圧がかかってしまっていたようで引き取れなかった」

「そうだったのですね。あなたがいつも会いに来てくれることがとても嬉しかったです。心の支えでした。ありがとうございました」

その後俺は老夫婦に引き取られた。子供がなかった二人は俺を本当に愛してくれていた。誰よりも先に俺のことを考えてくれた。でも…優しかった二人はもういない…

「…天華はね私の息子なの」

「え?」

「今あの子仕事必死で片付けてるわよ。貴方と過ごしたいって。もうね。仕事出来る子なのに貴方が関わるともっと人変わるのよ」

「息子さんだったんですね…」

どこか懐かしい感じがしたのは目元が2人とも良く似てたからだったのかもしれない。

「…天華の気持ちは知ってる。でもね六華くん。貴方は貴方の決めた道を行くと良いわ。私も夫も天華と同じで貴方のことが大好きだし息子になって欲しいのが本音。でも貴方の人生だもの。貴方には貴方の幸せを掴んで欲しいの。ごめんなさいね。余計なことを…今日のお料理のご説明をしますね」

天華くんと一緒だ。一旦目を伏せてもう一度顔をあげるとすっかり女将さんの顔に切り替わってた。料理の内容を一つ一つ説明してくれた。こんなに綺麗で美味しそうなものをあの子が作ったと思うと不思議な感じもする

暫くして仕事に戻るため華英さんは部屋を出た。

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