君の隣

麻美

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『本日はお集まりいただきありがとうございます。』

綺麗な所作で深く頭を下げる。頭をあげた卯月はいつもよりもずっとずっと幸せそうな笑顔だった。

あぁ…綺麗…

羨ましい…こんな人に選ばれた人が。

君の隣に居られるのは俺だけだと思ってたのに…

羨ましい…相手の人になりたい…変わりたいよ…

「卯月。いい顔だね」

俺の口から出た言葉は自分で出したはずなのに別の誰かが話しているよう。

『相手の方はどのような方ですか?』

『自分のことを良くわかってくれる。誰よりも理解してくれるとても可愛い人です。』

あぁ…。その役目を担っていたのは俺だったはずなのに…

『どのような家庭にしたいですか?』

『一緒にいていつも安らげる本当の自分で居られる大切な場所にしたいです。』

あぁ…その役目は俺がやりたかった。あいつを沢山甘やかして甘やかされて優しい空気で包んであげたかった。

涙が溜まってくるのもそのままに俺は画面を見ていた。

『ちなみにお相手の方は昨日報道されたお相手だと言うことで良かったですか?』

あぁ…わかっているのに聞かないで…

止めどなく…涙が溢れる…


こんなに苦しい…だけど…怖いのに目が離せなくて…画面を見つめていた。

『いいえ…』

その答えに報道陣は息を飲んだ

『その方は仕事仲間の一人です。あの写真を撮られた日自分と彼女の他に数名の関係者がいました。特別な感情を抱いたことはありません』

え…?じゃあ誰?その前に報道された人?それともその前?

俺は頭の中で過去の人たちを思い浮かべる。

報道陣も誰なのか矢継ぎ早に聞いてくる。

そのどの人も違うと卯月は言った。


訳がわからなくて俺も灯さんも光も固まるしかなかった。

『ではどなたですか?』

そう質問を投げかける報道陣。その質問にふっと目を伏せ柔らかくほほ笑んだ後

『幼い頃からずっと側に居た俺の幼馴染みです。』

そうしっかり前を見据えて紡いだ

え?どういうこと?幼馴染?幼稚園の頃一緒に遊んでいたあの女の子だろうか?

それとも小学校の頃仲良かったあの子だろうか?

それとも中学に入って卯月に告白していたあの子だろうか?


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