憎まれ救世主 ~憎まれる程に強くなる力のせいで、マトモに話す事も出来なくて地獄なんだが~

お米うまい

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第二章 お嬢様の恋

第95話 プロディの謝罪

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(さて、どうしたもんか……)

 詳しい話は明日以降にするという事になり、用意された個室に案内された研一は、ベッドに寝転がりながら、今後の方針を考えていた。

 研一が今まで嫌われる標的にサーラやテレレといった党首を標的にしてきたのは、別に偶然やその場の流れだけが全てではない。

 団体において上位の人間の印象というのは、そのまま周囲への印象に繋がっていく。

 例えば学校や会社の中心人物が、特定の人間を露骨に嫌っている雰囲気を出せば、嫌われている本人と関わりなんてなくても、周囲から疎まれる流れが出来ている事は珍しくない。

 そして、その方法ならば直接傷付ける人間は、相当に少なくて済む。

 だからこそ、あえて研一は最も影響力の高い人間に嫌われようとしていた部分があったのだが――

(……後数年の命って。そんな時間を俺への恨みつらみなんかで浪費させる訳には、いかないよな)

 どうしてもマキを無理やり傷付けて、恨まれるという選択は取りたくなかった。

(やっぱり嫌われるなら、あっちのメイドっぽい人だよな)

 ただ、そもそも党首こそマキではあるものの、どうもマキーナ国の中心人物に当たるのは、メイドの恰好をしているプロディの方である空気を感じており。

 そちらに嫌われるべく動いていく方が効率的に考えれれば良さそうであるし。

 何より、マキを必要以上に傷付けなくて済みそうだという思いから、メイドのプロディに嫌われる方法に思考を切り替えていく。

(魔人っぽいから本人からの敵意は力にならないだろうから、本人に嫌われるよりも、支持している人達が嫌がりそうな事をしていけばいいんだろうけど――)

 人が見ている前で罵倒したり、邪険に扱っていけばいいんだろうか。

 と、研一が考えた瞬間であった。

「救世主様。先程、背後から貴方に襲い掛かってしまった愚かな従者であるプロディです」

 噂をすれば影という言葉があるが。

 丁度、思い浮かべていた人物が、扉をノックしてきた。

「あ、なんだよ。俺は呼ばれたから来てやったってのに、いきなり襲われて疲れてるんだが?」

「……その件で謝罪の機会を頂ければと思い。どうか部屋に入れて頂けないでしょうか?」

「ふーん、謝罪ねえ」

(これは謝罪と見せ掛けて襲い掛かってくるパターンかな?)

 この手の展開は、ベッカやシャロンで既に研一は経験済みだ。

 僅かだけ考えると、すぐに言葉を返す。

「はっ、いいぜ。身の程を弁えた奴は嫌いじゃねえ。誠心誠意の謝罪ってヤツを期待させてもらおうじゃねえか」

(一瞬チラっと見ただけど、結構きつそうな雰囲気の人だったし。襲ってきたところをアッサリと返り討ちにでもすれば、きっと嫌ってくれるだろう)

 良い機会だし、徹底的に嫌われておこう。

 そして、ここで敵わない事を見せ付けた後で、外でも奴隷に見せるような邪険な態度で扱えば、きっとプロディを慕っている人間も良い顔はしないだろうと計算する。

「鍵なら開いてるぜ。入って来いよ」

「寛大なお心遣いに感謝します」

 研一が入室を促すなり、即座にプロディは部屋に入ってきたかと思うと――

 後ろ手で素早く扉を閉めて、部屋を密室にする。

(やっぱりナイフか何か、隠し持ってるんだろうなあ……)

 心の中だけで臨戦態勢を整えつつ、それでもベッドに寝転がった状態のまま、研一は視線だけをプロディへと向ける。

 この体勢が一番、プロディの神経を逆撫でするだろうし。

 油断した姿を見せている方が襲いやすいだろうと思ったからだ。

 けれど――

「それでは精一杯、謝罪させて頂きます」

 そもそもプロディに研一を亡き者にしようという思惑が、そもそもなかった。

 背後から襲い掛かったにも関わらず、手も足も出なかった時にプロディの中では既に格付けが済んでおり――

「ですから、どうかマキ様に私の愚行の責を求める事だけは、考慮して頂ければ――」

 女好きにしか見えない研一の行動から、己の身体を使ってでも許してもらおうと急いで訪ねて来ただけだったのだから。

(これは何か言っている暇があれば、さっさと奉仕しろという事なのでしょうね)

 しかも、ベッドに寝転がったままの研一の態度が、すぐにでも身体を使って奉仕しろと催促しているようにプロディには見えており――

 プロディが照れた様子も見せず、淀みない動きで服を脱ぎ捨てていく。

(噂通り、随分とこの手の情事に慣れた方のようです)

 裸に近付いていく自分の姿をじっと見詰めながらも、動揺も興奮も感じさせない研一の様子に、プロディはそんな事を考えて。

(これは取った方が悦ばれるのでしょうか?)

 最後に頭に付けているホワイトブリムを外すかどうか迷いつつ。

 どうせすぐに外せる物だし、言われれば外せばいいだろうと考えて、ホワイトブリム以外は脱ぎ捨てた恰好でベッドへと向かう。

(あの頭のヤツに暗器でも仕込んでるのかな?)

 もしプロディが魔人ではなく、純粋な人であったなら、殺意の感情が流れてこない事に気付いて、研一はここで止めていただろう。

 だが、魔人であるプロディが悪意を抱いているかなんて研一には解からない。

 ――おまけに過去に二度、こうやって部屋を訪ねて来た女に殺されそうになっている事もあって、研一はプロディが襲ってくるモノだと信じこんでいた。

「満足まで何度でも、好きにお使い下さい。ですから、どうかお嬢様だけは――」

 プロディが寝転がったままの研一のズボンに手を掛ける。

 そのまま迷う事無く、研一の股間を露出させようとしたところで――
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