憎まれ救世主 ~憎まれる程に強くなる力のせいで、マトモに話す事も出来なくて地獄なんだが~

お米うまい

文字の大きさ
97 / 99
第二章 お嬢様の恋

第96話 いつものヤツ

しおりを挟む
「おい、何してやがる」

(アレか。ヤるだけヤって、疲れ切って油断している相手を刺すタイプだったか)

 未だプロディの思惑を誤解したままの研一が、ズボンに手を掛けているプロディの腕を掴んで止める。

「は? ですから謝罪を――」

「ああ、なるほどな。マキとかいう女に、自分の代わりに相手して、ご機嫌でも取って来いとか言われたのか」

 無礼の対価を身体で償うのが暗黙の了解だと思っていたプロディが、心底驚いた表情を見せるが――

 研一は、それを無視して言葉を捲くし立てていく。

「さすが国の党首ともなると演技がうめぇな。てっきりあの女は本気で俺に惚れてるもんだと思ってたぜ」

「ご、誤解です! マキ様は本当に貴方との逢瀬を楽しみにしておられて――」

「ああん? じゃあ何か。てめぇが自分の意志でやって来た挙句に、勝手に脱ぎだした変態女ってって事か?」

「……そうなります」

「はっ。俺も随分と舐められたもんだぜ。女を当てがってご機嫌の一つや二つでも取らなきゃ、契約も守らねえゴロツキだと思われてんのかよ」

「…………」

 プロディは何も言い返す事が出来ず、黙り込む。

 噂と態度で性欲で生きている変態男だと決め付けていたが、もし想像と違っていた場合は、トンデモなく失礼な事をしてしまった事に気付かされたからだ。

「そもそもだなあ。自分の身体が詫びになるほど、価値があると思ってんのが、最初から間違ってんだよ」

 プロディが考え込もうとする気配を感じて、研一は咄嗟に話題を変える。

 サラマンドラ国での研一はプロディの想像通りの女に見境ない変態男として扱われているし、そういう風に振る舞っているが――

 ドリュアス国では脅すような形でテレレに手を出しこそしたが、契約自体は守る男みたいな形に落ち着いた。

(この辺の話は深掘りされると、こっちも色々マズイからね)

 その辺の噂のズレとかから自分の本心がバレてしまっては、悪感情を持たれる事に支障が出るかもしれないし――

 協力してくれたベッカやテレレにだって、迷惑が掛かってしまうかもしれない。

「自分から股開いてくるアバズレなんて、商売女よりも価値なんてねえんだよ」

 それならば余計な事を考えさせない為に。

 必死で研一はプロディへの罵倒の言葉を絞り出していく。

「……それでは貴方は、マキ様の身体には国を救うだけの価値があるとでも?」

 だが、どうやら本人への罵倒では、プロディのダメージにはならないらしい。

 むしろ落ち着きを取り戻したように、冷静な視線で研一を探るように観察する。

「はっ。笑わせんな。あんな貧相な身体に、んなモンある訳ねえだろ」

 ならばとばかりに研一は、標的をプロディからマキへと変える事にした。

 見た目からしてメイドっぽいし、主であるマキを貶した方が効果は高そうだと思ったから。

「ツラだけなら良い感じだってのに、栄養失調かって言いてえくらい痩せぎすで、チチもケツも貧相。あんな抱き心地の悪そうな女、滅多に居るもんじゃねえよ」

「で、でしたらどうしてマキ様を!」

「そりゃテメェ、身体以外の価値があるからに決まってんだろ」

 研一の推測通り。

 慌て始めるプロディの様子に狙い通りだと確信し、研一は更に言葉を並べていく。

「さすがの俺様も呼ばれた以上は国の事、少しは調べるんでな。これでも知ってるんだぜ? マキ様の偉大な偉大な功績ってヤツをさ」

 そして、研一は事前に調べたマキの所業をプロディに伝えていく。

 マキの両親が統治していた頃のマキーナ国は王政というか、魔力至上主義の独裁国家であり、魔力の強い者が自分より弱い者を家畜や虫けらのように扱うような国であったが――

 マキは自分の父親を打ち倒すと同時に、王政を廃止。

 強さだけで横暴がまかり通っていた法を整備していっただけでなく、自らは暮らしを豊かにする発明を次々に生み出しただけでなく――

 そこで生み出された機械の整備などの仕事を作る事で、今まで魔力がなく活躍の場のなかった国の人材を発掘。

 傭兵稼業以外に経済を回す手段がなかったマキーナ国に機械文明を作り出し、たった数年で世界有数の国力を持つ、雷と機械の国と呼ばれるまでに発展させたのだ。

「はっきり言って立派なんて言葉じゃ足りねえな。お涙頂戴の感動モンだよ。俺みたいな神様から力貰っただけの糞野郎からすりゃあ、尊敬なんて言葉すら生温い。畏れ多いって言葉でも足りないくらいの所業だぜ」

「えっと……」

 プロディが信じられない想いで言葉に詰まる。

 というのも、研一と会った時の周囲のマキへの態度から解かるように。

 マキーナ国内では、未だ魔力至上主義の派閥が強く、マキの評価なんてプロディのおまけとしか思われてないのが現状だ。

 それを国の代表である党首相手に、国を救ってやるから抱かせろなんて開口一番に告げるような粗暴な男が、誰よりも評価してくれている。

 これで驚くなという方が無理な話だろう。

「そんな立派な女をよ。好き放題に汚した果てに壊せるんだぜ? 最高だと思わねえか?」

「なっ!?」

 だが、それで研一を見直す暇もなく。

 むしろ見下げ果てるような言葉が飛び出して、プロディは今度は怒りで言葉が出なくなる。

「解かるか、この快感が? 苦労して積み上げてきたモノを叩き潰して台無しにしてやる瞬間。芸術家が苦労して完成させた絵を、目の前で破り捨ててやるのに似た優越感。想像するだけで今から堪らねえってもんだよ」

「き、貴様……」

「自分から股開いてケツ振るような奴からじゃあ、ここまでソソられねえ。必死で努力して積み上げて、それを俺みたいに何の努力もしてない奴が横から掻っ攫って、台無しにする。そこからしか得れねえ栄養ってもんがある。解かるかぁ、ビッチ女?」

「殺してや――」

 もう研一に丁寧に接したくもないのだろう。

 殺意を隠しもしない言葉と共に、プロディが研一に襲い掛かろうとする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...