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第一章「利用される者、する者」
王家の真実 ~著:エルドリク・カストル~ 前編
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本日より、アンブラリア王国の3代目国王、セヴァリウス・アンブラリア王の騎士として命を受けたエルドリク・カストルが、この国の歴史を後世に、そして我がカストル家に残せるように手記として記していくことにした。
我がカストル家は、アンブラリア王国が建国されて以来、アンブラリア王家に仕える騎士として、常に王の傍で光を見守ってきた。
アンブラリア王家は代々、琥珀の首飾りを王が手にすることで、王位継承とされていた。
琥珀の首飾りには、初代国王アマデウス・アンブラリア王のお名前が記されている。
首元から光り輝く琥珀の首飾りは、王としての威厳をさらに引き立たせていた。
初代から、現国王のセヴァリウス様まで、全員が等しく荘厳で勇ましく、知性の高い、そして優しさにあふれる王であった。
とりわけ、セヴァリウス様は今までの王以上に優しいお方で、庭に生えている小さな花にすら慈しみを見せるような、そんなお人であった。
だからこそ、この方は何に変えても守らなければならない存在だと、騎士として命を受けたその時、改めて覚悟を決めた。
~エルドリク・カストル
ーーー
セヴァリウス様と同行し近隣諸国へのあいさつ回りを行うこととなった。
この手記も隣国のハマ王国の一室で記している。
ハマ王国はアンブラリア王国とは違い、砂漠の地域で水に困っているような国だった。
アンブラリア王国は、昔からハマ王国との交易を行っており、現在もそれは続いている。
しかし、今回は非常に深刻な話だった。
なんでも、ここ数年雨が降っていないという。
セヴァリウス様は、その現状に心を痛め、アンブラリア王国から、できる限りの支援を行うと取り決めた。
また、セヴァリウス様はハマ王国の市街地を歩きたいと仰ったが、急に隣国の王様が多くの護衛を引き連れて市街地を歩き回るのは、さすがに民たちがかわいそうだということで、私とセヴァリウス様の二人だけで行くこととなった。
セヴァリウス様は変装をしておられたが、王としてのオーラを隠せておらず、私は気が気ではなかった。
そんな中でも、どうにか市街地をぐるりと回ることができたが、セヴァリウス様は常に苦しそうな表情をしていた。
時折光る琥珀の首飾りは、セヴァリウス様の心中を察して光り輝いていたのだろうか。
ともかく、無事に市街地を回り、現状はこちらから支援をするしか方法がないため、心を痛めるセヴァリウス様をどうにか説得し、ハマ王国の城へと戻った。
こうして、あいさつ回りの最後の国、ハマ王国での予定もすべて完了し、我々は明日、アンブラリア王国へ帰国する。
~エルドリク・カストル
ーーー
帰国したアンブラリア王国は、何とも不穏な雰囲気を漂わせていた。
何がおかしいかと言われると、それは明確に言語化することはできないが、何かがおかしかった。
セヴァリウス様も同じように思っていたようで、秘密裏にこの原因を探るよう命令が下った。
私は王の護衛をしつつも、この件について探ることとする。
~エルドリク・カストル
ーーー
帰国後数日経ってしまった。
手記を残すことも忘れてしまうくらい、何やら情勢がおかしなことになっている。
アンブラリア王国は、アンブラリア王家のもとに民たちとともに作ってきた国だが、民たちの様子がおかしかった。
何やら、最近巷では「王国の歴史」という名称の本が出回っているという。
実態を調べるべく、街にでたが、本屋にも商店にも噂に聞く名称の本は見つけられなかった。
おかしい。これはもう少し調査が必要だ
~エルドリク・カストル
ーーー
本日も調査を行うが進展はない。
セヴァリウス様も焦っておられるのか、最近はよく怒りを露にするようになった。
だが、もともと怒りを面に出すような人ではなかった。
どうしてだ、胸騒ぎがする。心が落ち着かない。
ここからは、調べとともに現状も記していこう。
~エルドリク・カストル
ーーー
ここまで書き記し、エルドリク・カストルは手記を閉じる。
ふぅと小さく息を零しつつ握っていた羽ペンを所定の位置へ戻す。
「この国で今何が起こっているのだ」
王への謁見ができない。
もともとはエルドリク・カストルが常に傍にいるという立場のはずなのに、まったく王に会えていない。
王はご無事だろうか、あの心優しい王は、心を痛めていないだろうか。
そんな気持ちを持ちつつも、エルドリク・カストルは明日も調査へ行こうと早めに就寝をとる。
ーーー
セヴァリウス様の怒号が城に響くようになった。
庭に咲く小さな花にまで慈しみを持つ心優しいお方だったのに。どうしてだ。
私は調査をやめて王の傍にいることを進言したが、神官のアモンがそれを許さなかった。
王のために、早く調査するのだと。王のことはしっかりお守りするから、お前は早く調査せよと。
一刻も早く、この不穏な事態の原因を突き止めねば。
~エルドリク・カストル
ーーー
王国の歴史という本をついに手に入れた。
しかし中身は特に何の変哲もないアンブラリア王国が建国され、それからの事柄が書かれており
アンブラリア王家に関しても気高き方々だという内容しか書かれていなかった。
事は一刻を争うというのに、調査に進展がない、なぜなのだ
~エルドリク・カストル
ーーー
気持ちが焦ってしまうが、ここで私が焦ってはだめだと必死に心を静めるエルドリク・カストル。
手記の表紙をそっとなで、そしてこぼす。
「セヴァリウス様……」
自身の主君と会えぬ日々に心は摩耗し、調査の進まぬ不安な日々に心身がえぐれ、
エルドリク・カストルも危うい状態ではあった。
しかし、この命は王から直々に、自分だけに言い渡された命。
必ず遂行し、そしてまたあの輝かしい日々を取り戻さんと、エルドリク・カストルは大きく息を吐き再び覚悟を決める。
本日より、アンブラリア王国の3代目国王、セヴァリウス・アンブラリア王の騎士として命を受けたエルドリク・カストルが、この国の歴史を後世に、そして我がカストル家に残せるように手記として記していくことにした。
我がカストル家は、アンブラリア王国が建国されて以来、アンブラリア王家に仕える騎士として、常に王の傍で光を見守ってきた。
アンブラリア王家は代々、琥珀の首飾りを王が手にすることで、王位継承とされていた。
琥珀の首飾りには、初代国王アマデウス・アンブラリア王のお名前が記されている。
首元から光り輝く琥珀の首飾りは、王としての威厳をさらに引き立たせていた。
初代から、現国王のセヴァリウス様まで、全員が等しく荘厳で勇ましく、知性の高い、そして優しさにあふれる王であった。
とりわけ、セヴァリウス様は今までの王以上に優しいお方で、庭に生えている小さな花にすら慈しみを見せるような、そんなお人であった。
だからこそ、この方は何に変えても守らなければならない存在だと、騎士として命を受けたその時、改めて覚悟を決めた。
~エルドリク・カストル
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セヴァリウス様と同行し近隣諸国へのあいさつ回りを行うこととなった。
この手記も隣国のハマ王国の一室で記している。
ハマ王国はアンブラリア王国とは違い、砂漠の地域で水に困っているような国だった。
アンブラリア王国は、昔からハマ王国との交易を行っており、現在もそれは続いている。
しかし、今回は非常に深刻な話だった。
なんでも、ここ数年雨が降っていないという。
セヴァリウス様は、その現状に心を痛め、アンブラリア王国から、できる限りの支援を行うと取り決めた。
また、セヴァリウス様はハマ王国の市街地を歩きたいと仰ったが、急に隣国の王様が多くの護衛を引き連れて市街地を歩き回るのは、さすがに民たちがかわいそうだということで、私とセヴァリウス様の二人だけで行くこととなった。
セヴァリウス様は変装をしておられたが、王としてのオーラを隠せておらず、私は気が気ではなかった。
そんな中でも、どうにか市街地をぐるりと回ることができたが、セヴァリウス様は常に苦しそうな表情をしていた。
時折光る琥珀の首飾りは、セヴァリウス様の心中を察して光り輝いていたのだろうか。
ともかく、無事に市街地を回り、現状はこちらから支援をするしか方法がないため、心を痛めるセヴァリウス様をどうにか説得し、ハマ王国の城へと戻った。
こうして、あいさつ回りの最後の国、ハマ王国での予定もすべて完了し、我々は明日、アンブラリア王国へ帰国する。
~エルドリク・カストル
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帰国したアンブラリア王国は、何とも不穏な雰囲気を漂わせていた。
何がおかしいかと言われると、それは明確に言語化することはできないが、何かがおかしかった。
セヴァリウス様も同じように思っていたようで、秘密裏にこの原因を探るよう命令が下った。
私は王の護衛をしつつも、この件について探ることとする。
~エルドリク・カストル
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帰国後数日経ってしまった。
手記を残すことも忘れてしまうくらい、何やら情勢がおかしなことになっている。
アンブラリア王国は、アンブラリア王家のもとに民たちとともに作ってきた国だが、民たちの様子がおかしかった。
何やら、最近巷では「王国の歴史」という名称の本が出回っているという。
実態を調べるべく、街にでたが、本屋にも商店にも噂に聞く名称の本は見つけられなかった。
おかしい。これはもう少し調査が必要だ
~エルドリク・カストル
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本日も調査を行うが進展はない。
セヴァリウス様も焦っておられるのか、最近はよく怒りを露にするようになった。
だが、もともと怒りを面に出すような人ではなかった。
どうしてだ、胸騒ぎがする。心が落ち着かない。
ここからは、調べとともに現状も記していこう。
~エルドリク・カストル
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ここまで書き記し、エルドリク・カストルは手記を閉じる。
ふぅと小さく息を零しつつ握っていた羽ペンを所定の位置へ戻す。
「この国で今何が起こっているのだ」
王への謁見ができない。
もともとはエルドリク・カストルが常に傍にいるという立場のはずなのに、まったく王に会えていない。
王はご無事だろうか、あの心優しい王は、心を痛めていないだろうか。
そんな気持ちを持ちつつも、エルドリク・カストルは明日も調査へ行こうと早めに就寝をとる。
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セヴァリウス様の怒号が城に響くようになった。
庭に咲く小さな花にまで慈しみを持つ心優しいお方だったのに。どうしてだ。
私は調査をやめて王の傍にいることを進言したが、神官のアモンがそれを許さなかった。
王のために、早く調査するのだと。王のことはしっかりお守りするから、お前は早く調査せよと。
一刻も早く、この不穏な事態の原因を突き止めねば。
~エルドリク・カストル
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王国の歴史という本をついに手に入れた。
しかし中身は特に何の変哲もないアンブラリア王国が建国され、それからの事柄が書かれており
アンブラリア王家に関しても気高き方々だという内容しか書かれていなかった。
事は一刻を争うというのに、調査に進展がない、なぜなのだ
~エルドリク・カストル
ーーー
気持ちが焦ってしまうが、ここで私が焦ってはだめだと必死に心を静めるエルドリク・カストル。
手記の表紙をそっとなで、そしてこぼす。
「セヴァリウス様……」
自身の主君と会えぬ日々に心は摩耗し、調査の進まぬ不安な日々に心身がえぐれ、
エルドリク・カストルも危うい状態ではあった。
しかし、この命は王から直々に、自分だけに言い渡された命。
必ず遂行し、そしてまたあの輝かしい日々を取り戻さんと、エルドリク・カストルは大きく息を吐き再び覚悟を決める。
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