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プルーヴォが投げ捨てられた湖は、彼が雨を降らせたことでできた湖であった。湖に満ちている水は過去に彼が神の力で降らせた雨だ。その湖はプルーヴォの領域でもあったのだ。
湖の水には全盛期の頃の力が残っていた。プルーヴォはその力を取り込み、力を蓄えた。
プルーヴォはもう、人のために力を使うことはしなかった。
一方、プルーヴォを捨てた人々は日照りに苦しんでいた。プルーヴォを捨てたその日から雨が降らなくなったのだ。
しばらく経って誰かがぽつりと呟いた。
「雨の神を捨てたのは間違いだったのだろうか」
その声を皮切りにプルーヴォへの仕打ちを後悔する者達が現れた。その者達はそれを実行した人々に恨みを投げつけた。プルーヴォが捨てられた時、自分達がプルーヴォを捨てることに賛成していたことを棚に上げて。
プルーヴォの神殿が再建された。人々はこれでプルーヴォが戻ってくると信じていた。そして以前のように雨を降らしてくれるものだと思い込んでいた。しかしプルーヴォは戻ってこない。
少しして依代となった木の灰が湖に沈んでいるため、動けないんだと決めつけた人々が湖を訪れた。人々は湖を見て固まった。
その時になって初めて、人々は湖が黒く染まっていることに気づいたのだ。
黒く染まった湖を見た人々はプルーヴォが怒っているのだと判断し、プルーヴォを捨てた者達を捕らえて湖に連れてきた。彼らはプルーヴォの怒りを鎮める生贄にされたのだ。
遅れて現れた国王がそのうちの一人を湖に蹴り落とした。プルーヴォに与えられた最初の贄だった。プルーヴォは上方から沈んでくる贄を見つけると、その腕を掴んで引き寄せる。己が掴んでいる物が人間だと気がついたプルーヴォは眉間に皺を寄せた。すぐにまた湖に何かが入り込んだ気配を感じたプルーヴォは見上げ、目を見開く。幾人もの生贄達が湖に沈められていく姿がプルーヴォの目に入ったのだ。
久方ぶりに動かした唇は、意外にもその心をはっきりと紡いだ。
「……あぁ、人間とは何故こうも愚かなのだ」
湖の水には全盛期の頃の力が残っていた。プルーヴォはその力を取り込み、力を蓄えた。
プルーヴォはもう、人のために力を使うことはしなかった。
一方、プルーヴォを捨てた人々は日照りに苦しんでいた。プルーヴォを捨てたその日から雨が降らなくなったのだ。
しばらく経って誰かがぽつりと呟いた。
「雨の神を捨てたのは間違いだったのだろうか」
その声を皮切りにプルーヴォへの仕打ちを後悔する者達が現れた。その者達はそれを実行した人々に恨みを投げつけた。プルーヴォが捨てられた時、自分達がプルーヴォを捨てることに賛成していたことを棚に上げて。
プルーヴォの神殿が再建された。人々はこれでプルーヴォが戻ってくると信じていた。そして以前のように雨を降らしてくれるものだと思い込んでいた。しかしプルーヴォは戻ってこない。
少しして依代となった木の灰が湖に沈んでいるため、動けないんだと決めつけた人々が湖を訪れた。人々は湖を見て固まった。
その時になって初めて、人々は湖が黒く染まっていることに気づいたのだ。
黒く染まった湖を見た人々はプルーヴォが怒っているのだと判断し、プルーヴォを捨てた者達を捕らえて湖に連れてきた。彼らはプルーヴォの怒りを鎮める生贄にされたのだ。
遅れて現れた国王がそのうちの一人を湖に蹴り落とした。プルーヴォに与えられた最初の贄だった。プルーヴォは上方から沈んでくる贄を見つけると、その腕を掴んで引き寄せる。己が掴んでいる物が人間だと気がついたプルーヴォは眉間に皺を寄せた。すぐにまた湖に何かが入り込んだ気配を感じたプルーヴォは見上げ、目を見開く。幾人もの生贄達が湖に沈められていく姿がプルーヴォの目に入ったのだ。
久方ぶりに動かした唇は、意外にもその心をはっきりと紡いだ。
「……あぁ、人間とは何故こうも愚かなのだ」
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