赤いゼラニウム〜君がいるだけで幸せ〜

6 出会った②

〈昴〉
工場で働いて、約1年が経ち、仕事にもだいぶ慣れた。
工場の人は親切だが、一部の奴からは俺の容姿や単に気に入らないなどの理由から暴言を吐かれたり、殴られたりしていた。
多くは服で見えないところを殴られていたため、社長や上の人間にはバレていなかった。
以前の俺ならすぐにでもやり返したが、社長おに助けてもらって以降は無駄に手を出すのをやめた。
身体が頑丈なのか、奴らの力が弱いせいなのか殴られても痣はできるが、痛くもなく、苦痛は感じなかった。
そしてある日いつものように奴らから暴言を吐かれ、そろそろ殴られるかと思った時に、俺の目の前に天使が舞い降りた。
その天使は舞い降りたかと思うと殴りかかそろうとした1人を投げ飛ばし、何をしようとしたのか聞いていた。　
一瞬のことに驚いたが、奴らが何も言わずに怯えていることに驚き、ただことの成り行きを見ていると、天使と目が合った。　　
その瞬間に綺麗な翡翠の目に引き込まれて動けなくなった。
俺の初恋であり、一目惚れであった。
こんなにも誰かも守りたい、大切にしたいと思ったことはなかった。
そして、この子を俺が幸せにしたいと思った。

これが俺と華との出会いであった。