6 / 9
第6話 日焼け跡とスポブラ、あるいは放課後の不文律 ⑥
しおりを挟むいや、腰が抜けて力が入らないのか、それともこの状況に頭がパンクして動けないのか。
彼女の熱い視線が、俺の瞳に吸い寄せられたまま離れない。
重なる身体。
混ざり合う汗の匂い。
下半身に感じる、彼女の体重と体温。
そして、目の前にある、無防備に開かれたシャツの奥の、健康的な谷間。
みんなが知っている小麦色の肌。
俺しか知らない白い肌。
引かれた境界線(ライン)
「……なんか、もう……ダメだ」
俺が自暴自棄気味に呟き、腕を引っ張り、薫を引き寄せる。
抵抗もせずに、再び、彼女の身体が俺の上に重なる。
今度は顔を隠すように、俺の胸に額を押し付けて。
「……バカ」
俺の胸で薫が囁く。
「……ちょっとだけ、このまま」
俺が薫の肩に手を回す。
「……汗、つくぞ」
「もう手遅れだし」
「……バカバカ」
俺を罵倒してるくせに、薫の腕は、俺の背中に回る。
「バーカ」
ぎゅっ、と俺を抱きしめる。
野球部のエースとしての力強さはどこへやら、その腕は微かに震えていて、まるで雷に怯える子供のようだ。
俺も恐る恐る、彼女の背中に手を置く。
ユニフォームの生地越しではない、制服越しに触れる彼女の背中。
掌に吸い付くような汗の湿り気と、驚くほど華奢な肩甲骨の感触に、喉がカラカラに乾く。
「……ん」
背中を撫でると、薫がくすぐったそうに、でも気持ちよさそうに喉を鳴らした。
まるで甘える猫だ。
学園の女子たちが憧れる『王子様』が、今は俺の腕の中で、こんなにも無防備に蕩けている。その優越感と背徳感が、俺の理性をさらに削り取っていく。
「……なぁ、薫」
「……なに」
「このままじゃ、俺、本当に……」
理性が持たない、と言おうとした時だった。
薫が俺の胸に顔を埋めたまま、ぐりぐりと頭を押し付けてきた。
「……いいよ」
「え?」
「涼になら……変なことされても、いい」
蚊の鳴くような、消え入りそうな声。
けれど、その言葉は俺の理性や道徳をぶっ飛ばす程の威力を持っていた。
ドクンッ!!
俺の心臓が破裂しそうな音を立てる。
薫も自分の言ったことの重大さに気づいたのか、カッと身体を硬直させた。
沈黙。
エアコンの風が当たる肌は涼しいのに、密着した部分は溶けそうなほど熱い。
数秒の硬直の後。
限界を超えた羞恥心が、二人を同時に境界線の向こうへ連れて行く。
0
あなたにおすすめの小説
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる