夏風はショートカットを撫でるように

あ゙あ゙あ゙あ゙(仮)

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第9話 ストレッチは危険地帯 ②

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 薫の身体がビクン! と大きく跳ね、反射的に両足を閉じ、大事な場所を守ろうとする。

 だけど、太腿の間には俺の手がある。

 逮捕されたように、手首がガッチリと挟み込まれてしまう。
 グイグイ手首が筋肉質な太腿に引っ張られ、指先が薫の凹みに数㎜めり込んでいく。

「あ、んっんんんんっ……らめっそこはっ!」

 状況は最悪だった。

 俺の手は、薫の太ももに挟まれたまま動けない。

 左右から押し寄せる、むっちりとした弾力と、凄まじい熱気。

 そして何より、鼻先をかすめる匂いが強烈だった。

 むわっ、と立ち上る、女の子の股の匂い。

 汗臭いというより、甘酸っぱくて、脳がクラクラするような濃密なフェロモンの香り。

 それが、俺の理性をダイレクトに殴りつけてくる。

「か、薫……足、開いて……挟まってる……」

「む、無理っ! 力入んない……だって涼の手がっ……ボクの大事な……ごにょごにょ」

 薫が涙目で首を振る。

 彼女の太ももは小刻みに震えていて、その振動が俺の手の甲に伝わってくる。

 挟まれている手を通して、彼女の心拍数が異常に上がっているのが分かった。

 トクン、トクン、トクン。 太い血管が、俺の指に脈動を伝えてくる。

「お前……敏感すぎだろ……」

「う、うるさいっ! 涼が変な触り方するからっ……!」

 薫が真っ赤な顔で睨んでくるが、その瞳は潤んでいて迫力がない。

 上気した頬と乱れた呼吸が、色っぽくて俺を拒否するどころか誘惑してるようだ。

 普段は男勝りにバットを振っている幼なじみが、太ももの内側を触られ、こんなに乱れているなんて。

 沈黙が痛い。

 蝉の声だけが、やけにうるさく響く。

 俺の手はまだ、薫の太ももの間に捕らわれたままだ。

 動かそうとすると、どうしても指先が際どい部分に触れてしまう。

 そのたびに、薫の喉から「んっ」とか「くぅ」といった、可愛らしい吐息が漏れるのだ。

「……なぁ、涼ぉ……」

 薫が、蚊の鳴くような声で呟いた。

 視線は明後日の方向を向いているが、顔は茹で上がったように赤い。

「……なんだよ」

「その……手。……熱い」

 ドクン、と俺の心臓が跳ねた。

「お前の手が……そこにあると、なんか……お腹の奥が、きゅってなる」
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