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男の人に近づけない

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 仲の良い侯爵令嬢ララティーナ様とのお茶会だった。彼女は気さくな人柄で、愛人に家を乗っ取られた前世でも心配してくれた。

 そんな彼女と奉仕活動で話が弾み、私たちはとても仲良くなっていた。

 今流行りの小説の感想やオススメの刺繍の糸の会話をする。ララティーナは婚約者レントがいて、こいつがとんでもないクズだと私は知っている。

 一度目の人生でレントは夫になるのだが無能だった。病気になったララティーナの代わりに領地運営を取り仕切っていた。たかが爵位が高い三男坊は、あっという間に財政難にし有り金を全部持って逃げた。

 正直にララティーナ様に話したい。レントと結婚したら地獄行だと。
 しかし、死に戻りの事を話しても、到底理解できる話じゃない。

「ララー」

 お茶会が終わる間際、レントがお茶会に突然やってきて強制的に終わってしまった。こちらをチラッと見ると、すぐに視線をずらし、ララティーナの腰を引き付ける。困惑した顔のララティーナ様は離れようとしている。

「人前で止めてください」

「君と僕の中じゃないか」

(レント、もう少し相手の顔を見て)

 そうだ。彼は確かエッチな人が好きなはずだ。前世の公爵のメイドたちが噂話で、

『下半身を見つめるとレント様に目をつけられる』

 と顔を歪めて言っていたからだ。よし、男性のあしらいが上手い人をお爺様に紹介して頂こう。

 こうしてララティーナ様の婚約者をどうにかしようと頑張ることにした。レント様は四大公爵家の縁戚の三男だ。そして彼は生粋の女好きで有名だった。

「女の敵レントを何とかしないと、でもどうすればいいのか分からないわ」

 現状、彼は権力に守られているため浮気してもダメージにならない。どうせなら、被害にあった女の子たちの恨みを全部受けて欲しい。

 眠る前にそんなことを思って眠ると、すぐに眠ってしまった。

 手慰みに縫い物をしていると、メイドたちが興奮していた。何があったのか、近くにいたメイドに聞くと顔がニヤケていた。

「女の敵レントが成敗されたのです」

「洗濯物屋の奥さんに手を出そうとして、暴力を振るおうとしたら旦那さんにやり返されたんです。契約を解除すると脅しをかけていたんです。それを皮切りに我慢していた被害者の子達が、集まってボコボコにされたんです。訴えると意気込んでいますが、逆に訴えられることを恐れた父親が僻地の領地に送りました」

「まあそこで、運悪く魔獣に襲われて時間をかけて食べられたらしいです」

 どれだけの人間を苦しめていたのか分からないけれど、神様はきちんと見ているのだと実感させられる。

 こうしてララティーナ様は婚約者が亡くなり、新しい真面目な婚約者が出来た。
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