2 / 19
第一章 やる気の無い喫茶店のオーナー
2 厄介な客
しおりを挟む
政宗は、親切な人間ではない。しかし、放置すれば死んでしまうとわかっている若い女の子を見捨てるほどの非情でもなかった。折角の美味しそうなモーニングだが、食べるのを諦める。
『まぁ、相手が頼まないって事もあるしね……』
政宗は、依頼されなかったら死ぬとわかってて放置できないくせに、悪足掻きをする。可愛い女子大生に憑いている黒い影はなかなか厄介そうで、あまり関わりたくないのだ。
『この前みたいに、事件がらみだと面白いけど……』などと、殺人事件の犯人がわかるとか、探偵ごっこがしたいだけで、除霊能力の無い政宗は、本格的な悪霊は避けたい。
しかし、このわざわざ見つけにくい上に、かなり高い値段をつけているグリーンガーデンに、朝から親とモーニングを食べに来たのでは無かった。銀狐は、影など素知らぬ顔で水とメニューを持って行く。
「あのう、この喫茶店のマスターとお話したいのですが……」
上品そうな婦人が、思い詰めた様子で銀狐に小声で伝える。人間離れした美貌の男が、困り果ててたどり着いた相手なのかと期待したのだ。
「政宗様、あちらのご婦人がお話したいと仰っていますよ」
自分より、銀狐の方がこういった依頼に相応しいくせにと、恨みがましく眺めて、渋々カウンターから立ち上がる。
「何故、輝正大叔父さんは、こんな厄介な事をしていたのかなぁ」
この喫茶店を開き続ける事が、このビルを遺産として貰う条件だったが、そこには厄介なオプションがついていた。政宗は、この世の物では無い物が見える。それは、政宗にとって呪いでしかないのだ。
やる気のない政宗だが、世間では一流と呼ばれる大学を卒業している。就活をことごとく失敗したのは、この厄介な能力のせいだ。面接の場に、変な妖怪や、おどろおどろしい幽霊が現れて、まともに会話ができなかったのだ。前から、変な物を見る能力はあったのだが、急激に強くなった。今から思えば、大叔父の身体が弱った頃からだと、眉を顰める。
就活に失敗し、無職が決定した政宗が、実家に帰らなかったのは、そこがお寺だからだ。
『あんな幽霊がうじゃうじゃ出そうな家に帰られるか! ともかく、バイトでも良いから食いつなごう!』
そんな政宗が、大叔父の遺産に喜んだのは当然だ。しかし、そう旨い話では無かった。このグリーンガーデンには、何か怪しい物に憑かれた人が、救いを求めて遣ってくるのだ。
ぶつぶつ愚痴を言いながら政宗は、親子が座っているソファーに近づく。
『わぁ~! こっちを睨んでるよ!』
可愛い女子大生風の女の子に憑いている影が、政宗を睨みつけている。あまりお近づきになりたくない。
「あのう、ここのマスターと話したいとのことですが、もう亡くなったのです」
可愛い女の子には気の毒だが、政宗に警戒してがっしりとしがみついている。これは、自分では相手にならないと、逃げ腰の政宗だ。
「えっ、亡くなった! でも……つい最近、真山様が若いマスターに助けて頂いたと仰っていましたわ」
母親は顔色を変えたが、あんな黒い影を背負っている娘の方は何も反応を示さない。かなり、やばい状況なのに、それすらも自覚していない。
「お願いです! この子を救って下さい」
母親は、政宗に藁にもすがる様に手を握る。政宗は、大きな溜め息をついた。
「ええっと、お話を聞きましょう。でも、私は除霊はできませんよ。話を聞いて、何か解決の手段を探すだけです」
「除霊はできないのですか? でも、紹介して下さった真山様は……」
この前、息子が繁華街でいきなり刺殺された件で訪ねてきた真山の紹介だと、政宗は眉を顰める。
『あれは、息子が犯人を教えてくれたから楽勝だったのだ。もう、真山さんには口止めしていたのになぁ』
警察に犯人の名前を告げたりするのは、探偵みたいで楽しかったが、目の前の黒い影からは協力的な感じはしない。
「ご挨拶もしないで、申し訳ありません。私は喜多と申します。娘が突然こんな風になってしまい、あらゆる病院に見て貰ったのですが原因はわかりませんでした。そしたら、病気ではなく、何かに憑かれているのではと真山様に聞いて……お願いします! この娘を助けて下さい」
黒い影がシャアーと威嚇するが、このまま放置はできないと覚悟を決める。母親の横に座り、何時から娘さんの様子がおかしくなったのか事情を聞く。ミステリー小説が好きな政宗は、探偵ごっこみたいだと内心でほくそ笑む。
「瑠美の様子が変わったと気づいたのは、1ヶ月前です。希望の大学に合格し、サークルにも入って楽しくしていたのに……何故、こんなことに……」
ハンドバッグからハンカチを出して涙を押さえるが、母親の嘆きにも瑠美とやらの娘は無反応だ。政宗は、これは重症だと逃げ出したくなる。黒い影に完全に支配されているのだ。
「お母さん、瑠美さんと二人にさせて貰えますか?」
母親は心配そうな顔をしたが、空いている席に移った。ふぅと深い溜め息をついて、瑠美とその影と正面から向き直る。
「ねぇ、そんな女の子にとり憑いて、何か意味があるの?」
黒い影は、政宗の言葉が気に入らなかったようだ。ぐあぁ~と膨れ上がる。政宗は、人を怒らすことが多い。別に怒らそうと意識している訳ではないのに、政宗のストレートな言葉が核心をつくからかもしれない。
『悪霊に人にとり憑いて意味があるのか尋ねても、意味はないでしょうに……』
前に入った客は、背中がぞくぞくすると、そそくさとコーヒーを飲むと出ていった。グリーンガーデンは、時々こんな事で客を逃がしてしまうのだ。銀狐は、厄介な客を通す別のスペースを作ろうと考える。輝正様の残した喫茶店を潰す訳にはいかないと、天狐のくせに真面目だ。
「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。この瑠美さんに恨みでもあるの? このままでは、この娘さんは死んじゃうよ。それが望みなのかなぁ?」
黒い影は、心なしか小さくなる。政宗は、何となく瑠美の身内ではないか? と推理する。憑かれた本人には気の毒だが、わりとご先祖様というものは、理不尽な事をしがちだ。
「ええっと、供養して欲しいのかな?」
瑠美はぼんやりとしているが、母親が上等な女子大生風の服を着せているし、暮らし向きが良さそうな家族に思える。ご先祖様の供養を蔑ろにしそうには思えないが、実家がお寺なので一応は聞いてみる。供養が必要なのなら、父親に頼めば良いのだ。
しかし、どうも供養は望んで無いらしい。ぐおぉ~と、巨大化する。
天狐は巨大化した影に驚いて、一応はオーナーの政宗を護ろうと側に行く。オーナーがいないと、輝正様が大切にしていた喫茶店が無くなってしまう。
「お引き取りねがいましょうか?」
天狐は、尊敬する輝正様なら悪霊も妖怪も畏れをなして退散したのにと溜め息をつく。不出来な政宗になど、悪霊払いなど無理なのだ。
「何か目的はありそうなんだけど……話してくれないとわからないや……そうだなぁ、瑠美さんの行動を調べたら、何処で影を拾ったかわかるかもな」
いい加減だし、能力もさほど持たないのに、何故か政宗は厄介な事に頭を突っ込む。いつも読んでいるミステリー小説の悪影響だと、銀狐は眉を顰める。
銀狐は、政宗が死んだりしないように付いて行く事にする。どうも、政宗は危機管理能力に欠けているので、ほっておけば死んでしまいそうだ。
「では、今日は臨時休業ですね。そうそう店を閉めるのは、あまり良くないですが、仕方ありません」
「えっ? 銀さんは店を開けてて良いよ。あの影は、僕には憑きそうに無いから、失敗しても娘さんの命が無くなるだけだからさぁ」
政宗の呑気な言葉に、母親は気絶しかける。
「瑠美の命が無くなるのですか! そんな! どうにかして下さい! お礼は幾らでも致しますから!」
大丈夫ですか? と水の入ったグラスを差し出すが、それをはね除けて、政宗の手をキツく握る。
「お願いです! 私の命と代えてでも瑠美の命を救って下さい」
政宗は年上のおば様は好みではない。汗をかきながら、手を引き抜くと、どうにかしてみますと口約束をしてしまった。銀狐は、能力も無いのにと溜め息をつく。
『まぁ、相手が頼まないって事もあるしね……』
政宗は、依頼されなかったら死ぬとわかってて放置できないくせに、悪足掻きをする。可愛い女子大生に憑いている黒い影はなかなか厄介そうで、あまり関わりたくないのだ。
『この前みたいに、事件がらみだと面白いけど……』などと、殺人事件の犯人がわかるとか、探偵ごっこがしたいだけで、除霊能力の無い政宗は、本格的な悪霊は避けたい。
しかし、このわざわざ見つけにくい上に、かなり高い値段をつけているグリーンガーデンに、朝から親とモーニングを食べに来たのでは無かった。銀狐は、影など素知らぬ顔で水とメニューを持って行く。
「あのう、この喫茶店のマスターとお話したいのですが……」
上品そうな婦人が、思い詰めた様子で銀狐に小声で伝える。人間離れした美貌の男が、困り果ててたどり着いた相手なのかと期待したのだ。
「政宗様、あちらのご婦人がお話したいと仰っていますよ」
自分より、銀狐の方がこういった依頼に相応しいくせにと、恨みがましく眺めて、渋々カウンターから立ち上がる。
「何故、輝正大叔父さんは、こんな厄介な事をしていたのかなぁ」
この喫茶店を開き続ける事が、このビルを遺産として貰う条件だったが、そこには厄介なオプションがついていた。政宗は、この世の物では無い物が見える。それは、政宗にとって呪いでしかないのだ。
やる気のない政宗だが、世間では一流と呼ばれる大学を卒業している。就活をことごとく失敗したのは、この厄介な能力のせいだ。面接の場に、変な妖怪や、おどろおどろしい幽霊が現れて、まともに会話ができなかったのだ。前から、変な物を見る能力はあったのだが、急激に強くなった。今から思えば、大叔父の身体が弱った頃からだと、眉を顰める。
就活に失敗し、無職が決定した政宗が、実家に帰らなかったのは、そこがお寺だからだ。
『あんな幽霊がうじゃうじゃ出そうな家に帰られるか! ともかく、バイトでも良いから食いつなごう!』
そんな政宗が、大叔父の遺産に喜んだのは当然だ。しかし、そう旨い話では無かった。このグリーンガーデンには、何か怪しい物に憑かれた人が、救いを求めて遣ってくるのだ。
ぶつぶつ愚痴を言いながら政宗は、親子が座っているソファーに近づく。
『わぁ~! こっちを睨んでるよ!』
可愛い女子大生風の女の子に憑いている影が、政宗を睨みつけている。あまりお近づきになりたくない。
「あのう、ここのマスターと話したいとのことですが、もう亡くなったのです」
可愛い女の子には気の毒だが、政宗に警戒してがっしりとしがみついている。これは、自分では相手にならないと、逃げ腰の政宗だ。
「えっ、亡くなった! でも……つい最近、真山様が若いマスターに助けて頂いたと仰っていましたわ」
母親は顔色を変えたが、あんな黒い影を背負っている娘の方は何も反応を示さない。かなり、やばい状況なのに、それすらも自覚していない。
「お願いです! この子を救って下さい」
母親は、政宗に藁にもすがる様に手を握る。政宗は、大きな溜め息をついた。
「ええっと、お話を聞きましょう。でも、私は除霊はできませんよ。話を聞いて、何か解決の手段を探すだけです」
「除霊はできないのですか? でも、紹介して下さった真山様は……」
この前、息子が繁華街でいきなり刺殺された件で訪ねてきた真山の紹介だと、政宗は眉を顰める。
『あれは、息子が犯人を教えてくれたから楽勝だったのだ。もう、真山さんには口止めしていたのになぁ』
警察に犯人の名前を告げたりするのは、探偵みたいで楽しかったが、目の前の黒い影からは協力的な感じはしない。
「ご挨拶もしないで、申し訳ありません。私は喜多と申します。娘が突然こんな風になってしまい、あらゆる病院に見て貰ったのですが原因はわかりませんでした。そしたら、病気ではなく、何かに憑かれているのではと真山様に聞いて……お願いします! この娘を助けて下さい」
黒い影がシャアーと威嚇するが、このまま放置はできないと覚悟を決める。母親の横に座り、何時から娘さんの様子がおかしくなったのか事情を聞く。ミステリー小説が好きな政宗は、探偵ごっこみたいだと内心でほくそ笑む。
「瑠美の様子が変わったと気づいたのは、1ヶ月前です。希望の大学に合格し、サークルにも入って楽しくしていたのに……何故、こんなことに……」
ハンドバッグからハンカチを出して涙を押さえるが、母親の嘆きにも瑠美とやらの娘は無反応だ。政宗は、これは重症だと逃げ出したくなる。黒い影に完全に支配されているのだ。
「お母さん、瑠美さんと二人にさせて貰えますか?」
母親は心配そうな顔をしたが、空いている席に移った。ふぅと深い溜め息をついて、瑠美とその影と正面から向き直る。
「ねぇ、そんな女の子にとり憑いて、何か意味があるの?」
黒い影は、政宗の言葉が気に入らなかったようだ。ぐあぁ~と膨れ上がる。政宗は、人を怒らすことが多い。別に怒らそうと意識している訳ではないのに、政宗のストレートな言葉が核心をつくからかもしれない。
『悪霊に人にとり憑いて意味があるのか尋ねても、意味はないでしょうに……』
前に入った客は、背中がぞくぞくすると、そそくさとコーヒーを飲むと出ていった。グリーンガーデンは、時々こんな事で客を逃がしてしまうのだ。銀狐は、厄介な客を通す別のスペースを作ろうと考える。輝正様の残した喫茶店を潰す訳にはいかないと、天狐のくせに真面目だ。
「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。この瑠美さんに恨みでもあるの? このままでは、この娘さんは死んじゃうよ。それが望みなのかなぁ?」
黒い影は、心なしか小さくなる。政宗は、何となく瑠美の身内ではないか? と推理する。憑かれた本人には気の毒だが、わりとご先祖様というものは、理不尽な事をしがちだ。
「ええっと、供養して欲しいのかな?」
瑠美はぼんやりとしているが、母親が上等な女子大生風の服を着せているし、暮らし向きが良さそうな家族に思える。ご先祖様の供養を蔑ろにしそうには思えないが、実家がお寺なので一応は聞いてみる。供養が必要なのなら、父親に頼めば良いのだ。
しかし、どうも供養は望んで無いらしい。ぐおぉ~と、巨大化する。
天狐は巨大化した影に驚いて、一応はオーナーの政宗を護ろうと側に行く。オーナーがいないと、輝正様が大切にしていた喫茶店が無くなってしまう。
「お引き取りねがいましょうか?」
天狐は、尊敬する輝正様なら悪霊も妖怪も畏れをなして退散したのにと溜め息をつく。不出来な政宗になど、悪霊払いなど無理なのだ。
「何か目的はありそうなんだけど……話してくれないとわからないや……そうだなぁ、瑠美さんの行動を調べたら、何処で影を拾ったかわかるかもな」
いい加減だし、能力もさほど持たないのに、何故か政宗は厄介な事に頭を突っ込む。いつも読んでいるミステリー小説の悪影響だと、銀狐は眉を顰める。
銀狐は、政宗が死んだりしないように付いて行く事にする。どうも、政宗は危機管理能力に欠けているので、ほっておけば死んでしまいそうだ。
「では、今日は臨時休業ですね。そうそう店を閉めるのは、あまり良くないですが、仕方ありません」
「えっ? 銀さんは店を開けてて良いよ。あの影は、僕には憑きそうに無いから、失敗しても娘さんの命が無くなるだけだからさぁ」
政宗の呑気な言葉に、母親は気絶しかける。
「瑠美の命が無くなるのですか! そんな! どうにかして下さい! お礼は幾らでも致しますから!」
大丈夫ですか? と水の入ったグラスを差し出すが、それをはね除けて、政宗の手をキツく握る。
「お願いです! 私の命と代えてでも瑠美の命を救って下さい」
政宗は年上のおば様は好みではない。汗をかきながら、手を引き抜くと、どうにかしてみますと口約束をしてしまった。銀狐は、能力も無いのにと溜め息をつく。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる