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第一章 醜いあひるの子
15 精霊使いは貴重だ!
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「おはようございます」
ルーファス王子の学友であるセドリックが、亡命中のサリンジャー師の居室として提供されている王宮の離れに顔を出した。
「やぁ、セドリック! おはよう。あれから、ジュリアはどうしてる?」
ルーファス王子は自分一人でサリンジャー師と精霊使いの修行をするよりは、仲間が増えた方が楽しいと考えている。
「おはよう、セドリック様、ジュリアを連れて来て下さるかと思ってました」
サリンジャー師はジュリアを同行していないのかと、がっかりする。セドリックはサリンジャー師に、ジュリアの精霊使いの修行は、新しい生活に慣れてからにして欲しいと話す。
「今までメイドとして暮らしていたのに、いきなりルーファス王子と精霊使いの修行をするのは無理でしょう」
「ルーファス王子とは別に修行をしても良いのだが……」
サリンジャーは、ジュリアの才能に惚れ込んでいたので、今すぐにでも修行をさせたいが、ルキアス王国としては精霊使いの育成は秘密にしたいので、離宮か、王宮の離れでして欲しかったのだ。
「しかし、国王陛下は王宮内で、秘密裏に修行して欲しいとお望みです」
亡命中のサリンジャーは、保護してくれている国王の意に反することはできない。となると、ジュリアを王宮に連れて来なくてはいけないので、今の状態では萎縮してしまうというセドリックの意見に従うしかない。
「しかし、ジュリアをあのままにしておくのも……あれほどの精霊を呼び寄せる魔力があるのに、コントロールする遣り方をしらないのは危険です」
セドリックも、ジュリアが自分を捨てたと思い込んでいた両親の話で、感情を暴走させて、精霊達が逃げ惑うのを見たので、サリンジャー師の言い分も理解できた。
「それは、そうですが、まだ王宮は敷居が高いでしょう。精霊使いの修行どころではなくなります」
サリンジャー師は亡命生活で、祖国の内乱を終わらせることができるかもしれない望みを、ジュリアに見いだした。セドリックが防御を固めているように感じる。
ルーファス王子とセドリックに精霊を見る為の精神統一を練習させながら、アドルフ王に見つからないように、ゲチスバーモンド伯爵に孫娘の生存を伝える方法をサリンジャーは考えていた。
『シルフィードに手紙を託せれば良いのだが……アドルフ王の精霊使いに捕まって、手紙を取られる危険は犯せない。せめて、受け取る側のゲチスバーモンド伯爵の元に精霊使いがいれば、上手くいくのだが』
そのゲチスバーモンド伯爵の精霊使いであったフィッツジェラルド卿は亡くなっているのだと、サリンジャーは唇を噛み締める。ルキアス王国の外交官に、ゲチスバーモンド伯爵への手紙を託すしか無いのだろうかと、サリンジャーは眉をしかめた。
『さっきのセドリック様の態度からしても、自国にいる精霊使いを易々と他国に渡したくないとの意志を感じる。精霊使いは貴重だからな! まして、自国の利益を優先する外交官が、ジュリアをゲチスバーモンド伯爵に渡しかねない手紙を仲介してくれるだろうか?』
交易でイオニア王国を訪れる商人に、このような重大な機密を託すわけにもいかないと、サリンジャーは悩む。
ルーファス王子とセドリックは、精神統一どころか、サリンジャー師がジュリアをゲチスバーモンド伯爵に引き渡すのではないかと心配して、気が散ってしまう。普通なら、優しい物腰のサリンジャー師だが、修行の時は結構ビシバシと叱りつけるのに、全く放置しているので、セドリックはこの件では対立していくかもしれないと溜め息をつく。
セドリックがルーファス王子と王宮の離れで、精霊使いの修行をしている頃、ベーカーヒル伯爵は国王と内密な話し合いを持っていた。
「なんと、そちの家のメイドが、あのイオニア王国の巫女姫の娘だとは! 確か、ゲチスバーモンド伯爵の子息、フィッツジェラルド卿と駆け落ちして亡くなったのではないか?」
隣国の一大スキャンダルでもあり、内乱の切っ掛けになった事件なので、王も記憶していた。
「私には精霊が見えませんが、ルーファス王子やセドリックには、ジュリアの周りに精霊が集まっているのがはっきりと見えるそうです。サリンジャー師は巫女姫様から受け継いだ魔力だと言っておりました」
国王はベーカーヒル伯爵の言いたいことが、ピンときた。
「サリンジャーは、ジュリアをゲチスバーモンド伯爵に渡して、内乱を終わらそうと考えているのだな」
ベーカーヒル伯爵は、英明な国王に頷く。
「せっかくの精霊使いを、みすみすイオニア王国に渡してやるのも業腹だな。精霊使いは貴重だ!」
ルーファス王子の学友であるセドリックが、亡命中のサリンジャー師の居室として提供されている王宮の離れに顔を出した。
「やぁ、セドリック! おはよう。あれから、ジュリアはどうしてる?」
ルーファス王子は自分一人でサリンジャー師と精霊使いの修行をするよりは、仲間が増えた方が楽しいと考えている。
「おはよう、セドリック様、ジュリアを連れて来て下さるかと思ってました」
サリンジャー師はジュリアを同行していないのかと、がっかりする。セドリックはサリンジャー師に、ジュリアの精霊使いの修行は、新しい生活に慣れてからにして欲しいと話す。
「今までメイドとして暮らしていたのに、いきなりルーファス王子と精霊使いの修行をするのは無理でしょう」
「ルーファス王子とは別に修行をしても良いのだが……」
サリンジャーは、ジュリアの才能に惚れ込んでいたので、今すぐにでも修行をさせたいが、ルキアス王国としては精霊使いの育成は秘密にしたいので、離宮か、王宮の離れでして欲しかったのだ。
「しかし、国王陛下は王宮内で、秘密裏に修行して欲しいとお望みです」
亡命中のサリンジャーは、保護してくれている国王の意に反することはできない。となると、ジュリアを王宮に連れて来なくてはいけないので、今の状態では萎縮してしまうというセドリックの意見に従うしかない。
「しかし、ジュリアをあのままにしておくのも……あれほどの精霊を呼び寄せる魔力があるのに、コントロールする遣り方をしらないのは危険です」
セドリックも、ジュリアが自分を捨てたと思い込んでいた両親の話で、感情を暴走させて、精霊達が逃げ惑うのを見たので、サリンジャー師の言い分も理解できた。
「それは、そうですが、まだ王宮は敷居が高いでしょう。精霊使いの修行どころではなくなります」
サリンジャー師は亡命生活で、祖国の内乱を終わらせることができるかもしれない望みを、ジュリアに見いだした。セドリックが防御を固めているように感じる。
ルーファス王子とセドリックに精霊を見る為の精神統一を練習させながら、アドルフ王に見つからないように、ゲチスバーモンド伯爵に孫娘の生存を伝える方法をサリンジャーは考えていた。
『シルフィードに手紙を託せれば良いのだが……アドルフ王の精霊使いに捕まって、手紙を取られる危険は犯せない。せめて、受け取る側のゲチスバーモンド伯爵の元に精霊使いがいれば、上手くいくのだが』
そのゲチスバーモンド伯爵の精霊使いであったフィッツジェラルド卿は亡くなっているのだと、サリンジャーは唇を噛み締める。ルキアス王国の外交官に、ゲチスバーモンド伯爵への手紙を託すしか無いのだろうかと、サリンジャーは眉をしかめた。
『さっきのセドリック様の態度からしても、自国にいる精霊使いを易々と他国に渡したくないとの意志を感じる。精霊使いは貴重だからな! まして、自国の利益を優先する外交官が、ジュリアをゲチスバーモンド伯爵に渡しかねない手紙を仲介してくれるだろうか?』
交易でイオニア王国を訪れる商人に、このような重大な機密を託すわけにもいかないと、サリンジャーは悩む。
ルーファス王子とセドリックは、精神統一どころか、サリンジャー師がジュリアをゲチスバーモンド伯爵に引き渡すのではないかと心配して、気が散ってしまう。普通なら、優しい物腰のサリンジャー師だが、修行の時は結構ビシバシと叱りつけるのに、全く放置しているので、セドリックはこの件では対立していくかもしれないと溜め息をつく。
セドリックがルーファス王子と王宮の離れで、精霊使いの修行をしている頃、ベーカーヒル伯爵は国王と内密な話し合いを持っていた。
「なんと、そちの家のメイドが、あのイオニア王国の巫女姫の娘だとは! 確か、ゲチスバーモンド伯爵の子息、フィッツジェラルド卿と駆け落ちして亡くなったのではないか?」
隣国の一大スキャンダルでもあり、内乱の切っ掛けになった事件なので、王も記憶していた。
「私には精霊が見えませんが、ルーファス王子やセドリックには、ジュリアの周りに精霊が集まっているのがはっきりと見えるそうです。サリンジャー師は巫女姫様から受け継いだ魔力だと言っておりました」
国王はベーカーヒル伯爵の言いたいことが、ピンときた。
「サリンジャーは、ジュリアをゲチスバーモンド伯爵に渡して、内乱を終わらそうと考えているのだな」
ベーカーヒル伯爵は、英明な国王に頷く。
「せっかくの精霊使いを、みすみすイオニア王国に渡してやるのも業腹だな。精霊使いは貴重だ!」
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