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第一章 醜いあひるの子
30 お兄ちゃんの結婚式
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「お願い! 馬車を止めて!」
御者は、後ろからの声で、慌てて手綱を引いて、馬車を止めた。
「マリア! ただいま!」
馬車から飛び下りたジュリアは、田舎道を大きな荷物を持って歩いていた妹のマリアに抱きついた。
「どなた様ですか?……えっ! もしかして、ジュリア姉ちゃん! 驚いた、どこのお嬢様かと思ったよ!」
服を羨ましそうに眺めるマリアに、奥様のお古をメイドのルーシーに縫い直して貰ったのと告げる。
「あっ! こちらがルーシーさん! 妹のマリアよ!」
ルーシーは誤魔化すつもりなのかと呆れたが、両親に話してからと囁かれて、好きにしたら良いと頷く。
「それより、この大きな荷物は何?」
何? と目敏く、何か秘密なの? とマリアが質問してきたので、ジュリアは慌てて質問する。
「結婚式でたくさんの食器がいるから、借りに行ってきたのよ」
重そうな荷物を馬車に積んで、ジュリアはマリアと話ながら歩く。ルーシーは、お仕えするお嬢様が歩いているのに、侍女が馬車に乗るわけにいかないので、てくてく後ろを歩いて行きながら、血が繋がって無いのだから当たり前だけど、似てないなと思った。
ルーシーは、田舎の可愛い村娘がジュリアの養家の妹なんだと知って、劣等感を持ちながら育った理由を察した。
『妹さんのマリアは、ぽっちゃりした笑顔に可愛いえくぼがあるわ。それに、ああいった金色の髪と青い瞳の女の子は、農家の男の子達にもてるでしょうね。でも、ジュリア様の方が大人になったら、もっと美人になると思うわ。金褐色の髪と緑の神秘的な瞳に、紳士達は魅了される筈よ』
首都ヘレナの近郊で産まれ育ったルーシーは、個性的な美女の方が好みだと、贔屓目でなく考えた。
「ジュリア、この一週間、どれだけ掃除と料理をしたか! 親戚が何人も泊まるから、納屋にも寝れるように新しい藁を敷いたり、保存ができる物から料理したり……お姉ちゃん達が手伝いに来てくれたけど大変だったのよ!」
ジュリアは両親にどう切り出そうかと考えていたので、マリアの結婚式の準備がどれほど大変かという愚痴を、上の空で聞き流していた。
懐かしい家が見えた瞬間、ジュリアは走り出した。
「お母ちゃん、お父ちゃん! ただいま!」
庭で結婚式の準備をしていた家族は、綺麗な服を着た女の子がジュリアだと気づいて驚いた。
「ジュリア、元気だったかい? それにしても、えらい綺麗な服を着てるんだね!」
母親に抱き締められて、ジュリアはやっと家に帰った気持ちになった。
「お母ちゃん、お父ちゃん、結婚式の準備で忙がしいだろうけど、少し時間をちょうだい。大切な話をしたいの」
手紙で、何か不都合があってメイドを辞めたと書いてきたので、両親はまさか妊娠でもしたのかと顔色を変えたが、相変わらずガリガリのジュリアの細い腰を見て、それは無いだろうと思い、ホッと溜め息をつく。
ジュリアはどう話そうかと夢中だったので、そんな両親の動揺と安堵には気づかなかった。しかし、ルーシーも家族も気づいた。
「ところで、この人は誰だい?」
ジュリアが、ルーシーをどう両親に説明しようかと迷っている時に、間が悪く、ベーカーヒル伯爵家の馬車が着いた。
「この馬車は? いったい何が、どうなっているんだ?」
「この馬車は、ベーカーヒル伯爵家のものよ。お父ちゃん、お母ちゃん、重大な話があるの!」
口々に質問する両親を、ジュリアは家の中に押し込んだ。
両親を椅子に座らせると、ジュリアも座り、大きく深呼吸して話し出す。
「前に手紙を送ったけど、書いてないこともあるの。私の両親がわかったの……両親は、もう、亡くなったのだけど、私を捨てようとしたんじゃないみたい」
ジュリアは、精霊が間違えて、ゲチスバーグに赤ん坊を運んだと説明したが、両親は絵空事のように感じる。
「何だって! 精霊? お前はまだそんなことを言っているのか?」
父親は、それでお屋敷をクビになったのかと頭を抱える。
「ちがうよ、お父ちゃん! 精霊は本当にいるんだよ。隣の国のイオニア王国では精霊使いが精霊を使って豊かな暮らしをしていたんだって」
田舎のゲチスバーグから出たこともない両親には、隣国の話などおとぎ話に聞こえる。
「その精霊とやらが、お前をゲチスバーグに捨てたのかい? なんで隣の国の精霊がこんな所に赤ちゃんを運んだんだい?」
母親は理解できないと、首を横に振った。父親も理解できなかったが、そんな精霊なんていう夢物語よりも重要な話がある。
「それより、お前はメイドを首になったと、手紙に書いてあったが……どうやって、暮らしているんだ? お母さんやマリアに布などを買うお金は、どうしたんだ?」
父親に質問されて、ジュリアは精霊使いの修行をしていると説明する。
「将来、精霊使いになれば、高給が貰えるから、今のところは給金を前借りさせて貰ってるの」
前借り! 両親は不安そうな顔をする。
「ジュリア! 前借りなんかして、綺麗なドレスを作っているのかい? そんなことをしたら、借金だらけになるよ」
母親に叱られて、このドレスは伯爵夫人のお古を縫い直して貰ったのだと、言い訳をする。
「へぇ、お古とは思えないねぇ! 伯爵夫人に、親切にして貰ってるんだねぇ、ちゃんとお礼は言ったかい?」
ジュリアは、ちゃんとお礼は言ったと、話が逸れているのを元に戻す。
「あのう、あと一つ言わなきゃいけないんだけど……私はイオニア王国に、ゲチスバーモンド伯爵というお祖父様がいるみたいなの。まだ、会ったこともないし、孫だと認めて下さるか、わからないんだから、そんなに興奮しないで!」
「伯爵! お前が伯爵様の孫なのかい!」
「そんなことが本当にあるだなんて!」
「お母ちゃん、お父ちゃん、落ち着いて! まだ孫と確認されたわけじゃないんだから」
自分達が拾った赤ちゃんが、異国の伯爵の孫だったのか! と騒ぐ両親を、どうにか落ちつかせる。
「そんな伯爵の孫が、なんで捨てられたりしたんだ?」
ジュリアはさっき説明したのにと、溜め息をついて、もう一度最初から話す。
「イオニア王国は内乱状態で、私の両親は王様に逆らって、追手に囲まれたみたい。それで、赤ん坊だった私を、実家のゲチスバーモンドに精霊に運んで貰うつもりだったのに、何故かゲチスバーグに運ばれたのよ。でも、これはサリンジャー師の推測に過ぎないかも……」
「ガチさバーモンドとゲチスバーグを間違えるだなんて、やはり精霊任せは感心しないな」
「精霊なんてやはり信用できないわね。でも、本当にお前が伯爵の孫ならメイドをクビになっても大丈夫なんだろう」
何度、聞いても、両親には精霊とかの話は、理解できなかったが、ジュリアが伯爵のお祖父さんに認めて貰えれば、一生不自由しないのだと安心する。
「お前のことを、孫だと認めてくれると良いな」
ジュリアは、育ててくれた両親に、心の底から感謝した。
「お祖父様が認めてくれなくても、精霊使いになって食べていくわ!」
母親は精霊使いとやらになるより、嫁に行った方が良いと呟いた。
「少し見ない間に、ちょっぴし可愛くなったね。これなら、嫁の貰い手もあるかもしれない。わけのわからない精霊使いの修行もいいけど、料理や裁縫も練習しなきゃ、良いお婿さんは見つからないよ」
ジュリアは、田舎の農家の女将さんである母親の正直な評価に苦笑した。
次の日、ジャスパー兄ちゃんの結婚式は、とどこおりなくおこなわれた。
『花嫁のロザリーと、ジャスパー兄ちゃんの為に、お花を咲かせて!』
ジュリアは、土の精霊ノームに頼んで、花を満開にして貰った。
花嫁と花婿の親戚だけの結婚式だったが、お互いに大家族だったので、披露宴は大変だった。
「ほら、ジュリア! 次はこのお皿を出してちょうだい」
ジュリアは他の姉妹達と、母親の指示に従って、招待客にご馳走を配ったので、お腹もぺこぺこだった。
「さぁ、そろそろ私たちも食べよう!」
母親は給仕を手伝った女達の為に、大きなミートパイを何処からか出してきて、切り分ける。
「ジュリア、都会で暮らしているから、綺麗になったねぇ」
嫁に行った姉達に、首都ヘレナはどんな街かと尋ねられたが、ジュリアはミリアム先生と行った公園ぐらいしか知らなかった。
「相変わらず、のんびりしてるねぇ」
姉達に笑われて、そういえばとジュリアも納得する。
「でも、ルーファス王子様に会ったよ。ベーカーヒル伯爵家のセドリック様は、ご学友だから、屋敷に訪ねて来られるの」
姉妹達は、ハンサムな王子様の話に夢中だ。披露宴は盛り上がったが、花嫁と花婿は、そろそろ新居で二人っきりになりたい様子だ。
花嫁がブーケを投げたが、ぼんやりなジュリアがキャッチできるわけもない。男達がひやかす中、ジャスパーはロザリーと小さな小屋へと消えていった。
ジュリアはマリアと話しながら、披露宴の後片付けをしていた。
「ジャスパー兄ちゃんは、私が働きに出たら、この家に住むのよ」
新婚の二人は小さな小屋で当分は過ごすが、自分が働きに出たら、両親の家と交代するのだと聞いて、少しショックを受けた。
『もうこの家は、ジャスパー兄ちゃんとロザリーの家になるんだわ……私の帰る家は無くなったのね』
ジュリアは、ベーカーヒル伯爵の屋敷に帰る道で、子ども時代と決別した。
御者は、後ろからの声で、慌てて手綱を引いて、馬車を止めた。
「マリア! ただいま!」
馬車から飛び下りたジュリアは、田舎道を大きな荷物を持って歩いていた妹のマリアに抱きついた。
「どなた様ですか?……えっ! もしかして、ジュリア姉ちゃん! 驚いた、どこのお嬢様かと思ったよ!」
服を羨ましそうに眺めるマリアに、奥様のお古をメイドのルーシーに縫い直して貰ったのと告げる。
「あっ! こちらがルーシーさん! 妹のマリアよ!」
ルーシーは誤魔化すつもりなのかと呆れたが、両親に話してからと囁かれて、好きにしたら良いと頷く。
「それより、この大きな荷物は何?」
何? と目敏く、何か秘密なの? とマリアが質問してきたので、ジュリアは慌てて質問する。
「結婚式でたくさんの食器がいるから、借りに行ってきたのよ」
重そうな荷物を馬車に積んで、ジュリアはマリアと話ながら歩く。ルーシーは、お仕えするお嬢様が歩いているのに、侍女が馬車に乗るわけにいかないので、てくてく後ろを歩いて行きながら、血が繋がって無いのだから当たり前だけど、似てないなと思った。
ルーシーは、田舎の可愛い村娘がジュリアの養家の妹なんだと知って、劣等感を持ちながら育った理由を察した。
『妹さんのマリアは、ぽっちゃりした笑顔に可愛いえくぼがあるわ。それに、ああいった金色の髪と青い瞳の女の子は、農家の男の子達にもてるでしょうね。でも、ジュリア様の方が大人になったら、もっと美人になると思うわ。金褐色の髪と緑の神秘的な瞳に、紳士達は魅了される筈よ』
首都ヘレナの近郊で産まれ育ったルーシーは、個性的な美女の方が好みだと、贔屓目でなく考えた。
「ジュリア、この一週間、どれだけ掃除と料理をしたか! 親戚が何人も泊まるから、納屋にも寝れるように新しい藁を敷いたり、保存ができる物から料理したり……お姉ちゃん達が手伝いに来てくれたけど大変だったのよ!」
ジュリアは両親にどう切り出そうかと考えていたので、マリアの結婚式の準備がどれほど大変かという愚痴を、上の空で聞き流していた。
懐かしい家が見えた瞬間、ジュリアは走り出した。
「お母ちゃん、お父ちゃん! ただいま!」
庭で結婚式の準備をしていた家族は、綺麗な服を着た女の子がジュリアだと気づいて驚いた。
「ジュリア、元気だったかい? それにしても、えらい綺麗な服を着てるんだね!」
母親に抱き締められて、ジュリアはやっと家に帰った気持ちになった。
「お母ちゃん、お父ちゃん、結婚式の準備で忙がしいだろうけど、少し時間をちょうだい。大切な話をしたいの」
手紙で、何か不都合があってメイドを辞めたと書いてきたので、両親はまさか妊娠でもしたのかと顔色を変えたが、相変わらずガリガリのジュリアの細い腰を見て、それは無いだろうと思い、ホッと溜め息をつく。
ジュリアはどう話そうかと夢中だったので、そんな両親の動揺と安堵には気づかなかった。しかし、ルーシーも家族も気づいた。
「ところで、この人は誰だい?」
ジュリアが、ルーシーをどう両親に説明しようかと迷っている時に、間が悪く、ベーカーヒル伯爵家の馬車が着いた。
「この馬車は? いったい何が、どうなっているんだ?」
「この馬車は、ベーカーヒル伯爵家のものよ。お父ちゃん、お母ちゃん、重大な話があるの!」
口々に質問する両親を、ジュリアは家の中に押し込んだ。
両親を椅子に座らせると、ジュリアも座り、大きく深呼吸して話し出す。
「前に手紙を送ったけど、書いてないこともあるの。私の両親がわかったの……両親は、もう、亡くなったのだけど、私を捨てようとしたんじゃないみたい」
ジュリアは、精霊が間違えて、ゲチスバーグに赤ん坊を運んだと説明したが、両親は絵空事のように感じる。
「何だって! 精霊? お前はまだそんなことを言っているのか?」
父親は、それでお屋敷をクビになったのかと頭を抱える。
「ちがうよ、お父ちゃん! 精霊は本当にいるんだよ。隣の国のイオニア王国では精霊使いが精霊を使って豊かな暮らしをしていたんだって」
田舎のゲチスバーグから出たこともない両親には、隣国の話などおとぎ話に聞こえる。
「その精霊とやらが、お前をゲチスバーグに捨てたのかい? なんで隣の国の精霊がこんな所に赤ちゃんを運んだんだい?」
母親は理解できないと、首を横に振った。父親も理解できなかったが、そんな精霊なんていう夢物語よりも重要な話がある。
「それより、お前はメイドを首になったと、手紙に書いてあったが……どうやって、暮らしているんだ? お母さんやマリアに布などを買うお金は、どうしたんだ?」
父親に質問されて、ジュリアは精霊使いの修行をしていると説明する。
「将来、精霊使いになれば、高給が貰えるから、今のところは給金を前借りさせて貰ってるの」
前借り! 両親は不安そうな顔をする。
「ジュリア! 前借りなんかして、綺麗なドレスを作っているのかい? そんなことをしたら、借金だらけになるよ」
母親に叱られて、このドレスは伯爵夫人のお古を縫い直して貰ったのだと、言い訳をする。
「へぇ、お古とは思えないねぇ! 伯爵夫人に、親切にして貰ってるんだねぇ、ちゃんとお礼は言ったかい?」
ジュリアは、ちゃんとお礼は言ったと、話が逸れているのを元に戻す。
「あのう、あと一つ言わなきゃいけないんだけど……私はイオニア王国に、ゲチスバーモンド伯爵というお祖父様がいるみたいなの。まだ、会ったこともないし、孫だと認めて下さるか、わからないんだから、そんなに興奮しないで!」
「伯爵! お前が伯爵様の孫なのかい!」
「そんなことが本当にあるだなんて!」
「お母ちゃん、お父ちゃん、落ち着いて! まだ孫と確認されたわけじゃないんだから」
自分達が拾った赤ちゃんが、異国の伯爵の孫だったのか! と騒ぐ両親を、どうにか落ちつかせる。
「そんな伯爵の孫が、なんで捨てられたりしたんだ?」
ジュリアはさっき説明したのにと、溜め息をついて、もう一度最初から話す。
「イオニア王国は内乱状態で、私の両親は王様に逆らって、追手に囲まれたみたい。それで、赤ん坊だった私を、実家のゲチスバーモンドに精霊に運んで貰うつもりだったのに、何故かゲチスバーグに運ばれたのよ。でも、これはサリンジャー師の推測に過ぎないかも……」
「ガチさバーモンドとゲチスバーグを間違えるだなんて、やはり精霊任せは感心しないな」
「精霊なんてやはり信用できないわね。でも、本当にお前が伯爵の孫ならメイドをクビになっても大丈夫なんだろう」
何度、聞いても、両親には精霊とかの話は、理解できなかったが、ジュリアが伯爵のお祖父さんに認めて貰えれば、一生不自由しないのだと安心する。
「お前のことを、孫だと認めてくれると良いな」
ジュリアは、育ててくれた両親に、心の底から感謝した。
「お祖父様が認めてくれなくても、精霊使いになって食べていくわ!」
母親は精霊使いとやらになるより、嫁に行った方が良いと呟いた。
「少し見ない間に、ちょっぴし可愛くなったね。これなら、嫁の貰い手もあるかもしれない。わけのわからない精霊使いの修行もいいけど、料理や裁縫も練習しなきゃ、良いお婿さんは見つからないよ」
ジュリアは、田舎の農家の女将さんである母親の正直な評価に苦笑した。
次の日、ジャスパー兄ちゃんの結婚式は、とどこおりなくおこなわれた。
『花嫁のロザリーと、ジャスパー兄ちゃんの為に、お花を咲かせて!』
ジュリアは、土の精霊ノームに頼んで、花を満開にして貰った。
花嫁と花婿の親戚だけの結婚式だったが、お互いに大家族だったので、披露宴は大変だった。
「ほら、ジュリア! 次はこのお皿を出してちょうだい」
ジュリアは他の姉妹達と、母親の指示に従って、招待客にご馳走を配ったので、お腹もぺこぺこだった。
「さぁ、そろそろ私たちも食べよう!」
母親は給仕を手伝った女達の為に、大きなミートパイを何処からか出してきて、切り分ける。
「ジュリア、都会で暮らしているから、綺麗になったねぇ」
嫁に行った姉達に、首都ヘレナはどんな街かと尋ねられたが、ジュリアはミリアム先生と行った公園ぐらいしか知らなかった。
「相変わらず、のんびりしてるねぇ」
姉達に笑われて、そういえばとジュリアも納得する。
「でも、ルーファス王子様に会ったよ。ベーカーヒル伯爵家のセドリック様は、ご学友だから、屋敷に訪ねて来られるの」
姉妹達は、ハンサムな王子様の話に夢中だ。披露宴は盛り上がったが、花嫁と花婿は、そろそろ新居で二人っきりになりたい様子だ。
花嫁がブーケを投げたが、ぼんやりなジュリアがキャッチできるわけもない。男達がひやかす中、ジャスパーはロザリーと小さな小屋へと消えていった。
ジュリアはマリアと話しながら、披露宴の後片付けをしていた。
「ジャスパー兄ちゃんは、私が働きに出たら、この家に住むのよ」
新婚の二人は小さな小屋で当分は過ごすが、自分が働きに出たら、両親の家と交代するのだと聞いて、少しショックを受けた。
『もうこの家は、ジャスパー兄ちゃんとロザリーの家になるんだわ……私の帰る家は無くなったのね』
ジュリアは、ベーカーヒル伯爵の屋敷に帰る道で、子ども時代と決別した。
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