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第二章 白鳥になれるのか?
9 精霊使い解放計画
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ジョージはサリンジャーのジュリアに対する保護欲に気づいた。しかし、城代になってから何年もの間に送り出しては帰って来なかった若い騎士達や兵士達を思い出し、今はそれを考慮する余裕は無いと腹をくくった。
「ジュリア、サリンジャー師と水晶宮に閉じ込められている精霊使い達を解放しなくては、この内乱は終決しないと話していたんだ。
何回もアドルフ王を退位直前まで追い込んでは、最後に精霊使い達の援護を受けた王軍に巻き返されて果たせないという悪循環を繰り返しているんだよ」
ジュリアは、ジョージが自分に何か協力して欲しいのだと思った。
「何か私にも出来る事があるのでしょうか」
積極的な態度のジュリアは喜ばしいのだが、サリンジャーは危険な目に合わせたくないと渋い顔をする。
「水晶宮の精霊使い達はアドルフ王に心より従っているわけではない。
その事情は、サリンジャー師の方が詳しいたろうけど、自国の民を搾取する手伝いなど、精霊使いも精霊も本来はしたがらないんだ」
ジュリアは精霊との会話で、戦争は嫌いだと何度も聞いていたので、アドルフ王が精霊使いに強要しているなら、どうにかしたいと頷いた。
「あのう、どうすれば良いのでしょう?」
サリンジャーは自分を見つめるジュリアの真剣な目に負けた。大きく溜め息をついて、午前中の会議で却下された作戦を二人に説明する。
「ゲチスバーモンド伯爵や南部同盟の各諸公は、エドモント公の奪還作戦を優先すると決定した。
勿論、エドモント公とレオナルド公子をアドルフ王に押さえられていては、こちらの勝利は望めないのも確かですが……このまま奪還作戦を強行しても、失敗すると思うのです」
ジュリアは祖父と叔父が解放されるのは望ましいと単純に成功を祈っていたのだが、失敗すると断言されて困惑する。
「失敗する? なら、何故……」
さっき、ジョージが言ってたように、精霊使いを解放しないと、戦闘で優位に立ってもひっくり返されてしまうのだ。
ジュリアには祖父が何故失敗する計画を選択したのか理解できなくて混乱する。
「ジュリア、南部同盟の旗頭はエドモント公だ。
彼なしでは、南部同盟の戦う意味が無いと考える諸侯が多いから、伯爵の選択は仕方ない面もある。
それに、水晶宮は首都シェフィールドにあるのだから、アドルフ王の勢力下だ。
なかなか、近づくのも難しいので、実行不可能だと却下されてしまった」
ジュリアはサリンジャー師の説明を真剣に聞く。ジョージは机の上に地図を広げて、ゲチスバーモンドや、首都シェフィールドを指しながら、位置関係を教えてやる。
「エドモント公が囚われているのは、シェフィールドの南側のオルフェン城だ」
ジュリアは、何故こんな所に祖父達が捕らえられているのか不思議に感じて質問する。
「首都シェフィールドの方が近づくのも難しいのではないですか? 何故、オルフェン城に監禁されているのでしょう?」
サリンジャーとジョージは、説明するのが難しいと眉を顰めたが、ジュリアに協力して貰うなら、ちゃんと理解させておくべきだと考える。
「アドルフ王は自分に残された首都シェフィールドを戦場にしたくないのだ。
それと、首都を戦場にしたら、水晶宮の精霊達も逃げ出してしまうから、折角、精霊使い達を押さえている有利さを手放すことになる」
サリンジャーの精霊使いとしての見方だけでなく、ジョージは行政官としての説明も付け加える。
「イオニア王国には南部同盟だけでなく、アドルフ王の遣り方に反発を感じている貴族達もいます。
しかし、王冠には旨味もあるのです。特に、首都シェフィールドにはアドルフ王に取り入って甘い汁を吸っている輩もいます。
そいつらの屋敷や財産を戦場で危険に曝す訳にはいかないのです」
サリンジャーは、政治の恥部まで説明しなくてもと溜め息をついた。
「では、アドルフ王は自分の取り巻き連中の為に、祖父達をオルフェン城に監禁しているのですか?」
そんな単純な話ではないが、大まかには合っているので、サリンジャーとジョージは頷く。
「まぁ、それだけではなく、エドモント公が首都シェフィールドにいると、アドルフ王としては気持ちが落ち着かないのでしょう。
何時、自分の取り巻き連中が、裏切るか信用できませんからね」
アドルフ王には世継ぎがいないので、次期の王座に媚を売るものが出てくるのを常に警戒しなくてはいけないのだ。
「あのう……レオナルド叔父様には……」
母のエミリアよりかなり年下のレオナルド叔父には子どもがいるのかしらと、ジュリアは誰も話題にしないので尋ねる。
ジョージは大きな溜め息をついた。
「レオナルド公子は未だ結婚されていません。しかし、未だお若いですし……」
内乱の日々をおくっていたので、結婚どころでは無かったのだろうとジュリアは会ったことのない叔父に同情する。
「水晶宮の精霊使いを解放するには、どうすれば良いのでしょう? 首都シェフィールドには近づくのも難しいのですよね?」
ある意味では近けないので、ジュリアを戦闘に巻き込まなくても良いのかもしれないと、サリンジャーとジョージは考える。
「ジュリアには首都シェフィールドの精霊を惹き付けて欲しいのです。
水晶宮の精霊使い達は、心からはアドルフ王に従ってはいません。
しかし、家族が人質になっていたり、王命に逆らうことができないのです。
精霊がいなければ、アドルフ王がいくら命じても、どうしようもありません」
「でも、それでは人質の家族とかは?」
ジョージはにっこりと微笑んで、それは此方で考えますと別の計画があると請け合った。
「春の戦闘が始まる前に水晶宮の精霊使いを解放したいと思ってます。
ジュリア、これから遠くの精霊を呼び寄せる修行をしますよ!」
ジュリアはぶるぶると武者震いがした。
「ジュリア、サリンジャー師と水晶宮に閉じ込められている精霊使い達を解放しなくては、この内乱は終決しないと話していたんだ。
何回もアドルフ王を退位直前まで追い込んでは、最後に精霊使い達の援護を受けた王軍に巻き返されて果たせないという悪循環を繰り返しているんだよ」
ジュリアは、ジョージが自分に何か協力して欲しいのだと思った。
「何か私にも出来る事があるのでしょうか」
積極的な態度のジュリアは喜ばしいのだが、サリンジャーは危険な目に合わせたくないと渋い顔をする。
「水晶宮の精霊使い達はアドルフ王に心より従っているわけではない。
その事情は、サリンジャー師の方が詳しいたろうけど、自国の民を搾取する手伝いなど、精霊使いも精霊も本来はしたがらないんだ」
ジュリアは精霊との会話で、戦争は嫌いだと何度も聞いていたので、アドルフ王が精霊使いに強要しているなら、どうにかしたいと頷いた。
「あのう、どうすれば良いのでしょう?」
サリンジャーは自分を見つめるジュリアの真剣な目に負けた。大きく溜め息をついて、午前中の会議で却下された作戦を二人に説明する。
「ゲチスバーモンド伯爵や南部同盟の各諸公は、エドモント公の奪還作戦を優先すると決定した。
勿論、エドモント公とレオナルド公子をアドルフ王に押さえられていては、こちらの勝利は望めないのも確かですが……このまま奪還作戦を強行しても、失敗すると思うのです」
ジュリアは祖父と叔父が解放されるのは望ましいと単純に成功を祈っていたのだが、失敗すると断言されて困惑する。
「失敗する? なら、何故……」
さっき、ジョージが言ってたように、精霊使いを解放しないと、戦闘で優位に立ってもひっくり返されてしまうのだ。
ジュリアには祖父が何故失敗する計画を選択したのか理解できなくて混乱する。
「ジュリア、南部同盟の旗頭はエドモント公だ。
彼なしでは、南部同盟の戦う意味が無いと考える諸侯が多いから、伯爵の選択は仕方ない面もある。
それに、水晶宮は首都シェフィールドにあるのだから、アドルフ王の勢力下だ。
なかなか、近づくのも難しいので、実行不可能だと却下されてしまった」
ジュリアはサリンジャー師の説明を真剣に聞く。ジョージは机の上に地図を広げて、ゲチスバーモンドや、首都シェフィールドを指しながら、位置関係を教えてやる。
「エドモント公が囚われているのは、シェフィールドの南側のオルフェン城だ」
ジュリアは、何故こんな所に祖父達が捕らえられているのか不思議に感じて質問する。
「首都シェフィールドの方が近づくのも難しいのではないですか? 何故、オルフェン城に監禁されているのでしょう?」
サリンジャーとジョージは、説明するのが難しいと眉を顰めたが、ジュリアに協力して貰うなら、ちゃんと理解させておくべきだと考える。
「アドルフ王は自分に残された首都シェフィールドを戦場にしたくないのだ。
それと、首都を戦場にしたら、水晶宮の精霊達も逃げ出してしまうから、折角、精霊使い達を押さえている有利さを手放すことになる」
サリンジャーの精霊使いとしての見方だけでなく、ジョージは行政官としての説明も付け加える。
「イオニア王国には南部同盟だけでなく、アドルフ王の遣り方に反発を感じている貴族達もいます。
しかし、王冠には旨味もあるのです。特に、首都シェフィールドにはアドルフ王に取り入って甘い汁を吸っている輩もいます。
そいつらの屋敷や財産を戦場で危険に曝す訳にはいかないのです」
サリンジャーは、政治の恥部まで説明しなくてもと溜め息をついた。
「では、アドルフ王は自分の取り巻き連中の為に、祖父達をオルフェン城に監禁しているのですか?」
そんな単純な話ではないが、大まかには合っているので、サリンジャーとジョージは頷く。
「まぁ、それだけではなく、エドモント公が首都シェフィールドにいると、アドルフ王としては気持ちが落ち着かないのでしょう。
何時、自分の取り巻き連中が、裏切るか信用できませんからね」
アドルフ王には世継ぎがいないので、次期の王座に媚を売るものが出てくるのを常に警戒しなくてはいけないのだ。
「あのう……レオナルド叔父様には……」
母のエミリアよりかなり年下のレオナルド叔父には子どもがいるのかしらと、ジュリアは誰も話題にしないので尋ねる。
ジョージは大きな溜め息をついた。
「レオナルド公子は未だ結婚されていません。しかし、未だお若いですし……」
内乱の日々をおくっていたので、結婚どころでは無かったのだろうとジュリアは会ったことのない叔父に同情する。
「水晶宮の精霊使いを解放するには、どうすれば良いのでしょう? 首都シェフィールドには近づくのも難しいのですよね?」
ある意味では近けないので、ジュリアを戦闘に巻き込まなくても良いのかもしれないと、サリンジャーとジョージは考える。
「ジュリアには首都シェフィールドの精霊を惹き付けて欲しいのです。
水晶宮の精霊使い達は、心からはアドルフ王に従ってはいません。
しかし、家族が人質になっていたり、王命に逆らうことができないのです。
精霊がいなければ、アドルフ王がいくら命じても、どうしようもありません」
「でも、それでは人質の家族とかは?」
ジョージはにっこりと微笑んで、それは此方で考えますと別の計画があると請け合った。
「春の戦闘が始まる前に水晶宮の精霊使いを解放したいと思ってます。
ジュリア、これから遠くの精霊を呼び寄せる修行をしますよ!」
ジュリアはぶるぶると武者震いがした。
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