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第三章 白鳥
5 ルーファス王子の留学!
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人々が領地や避暑地で夏休みを過ごし、首都シェフィールドに帰ってくると、ジュリアも水晶宮での修行を再開した。
「カリースト師、ご無沙汰いたしました」
ジュリアが少し日焼けして元気そうなのに、カリースト師は満足そうに頷く。
「夏休みを満喫したようだなぁ。さぁ、これからは修行も本腰をいれてしなくてはいけないぞ」
そろそろ闇の精霊を実体化させても良いだろうと、カリースト師は考えていた。
「ええ、早く精霊使いになって、サリンジャー師のように復興を手伝いたいのです」
アドルフ王の圧政に苦しんでいたとはいえ、内乱がおこる前の方が豊かな暮らしだったのだ。自分の両親の駆け落ちと惨殺が内乱の切っ掛けになったと、ジュリアは心に重い石を抱えていた。
「そう暗い気持ちに引きずられていては、闇の精霊を実体化などさせられない。もっと、心を平穏な状態にしなくてはいけないよ」
カリースト師に諭されて、ジュリアは大きく深呼吸する。緑蔭城ではリラックスできるのだが、シェフィールドに居ると気が急いてしまう。なぜなら、美しい首都の街角で物ごいをする北部からの難民の姿などを見てしまうからだ。
「北部の復興は精霊使いの先輩達を信じて任せておきなさい。今は、しっかりと学ぶことが大事なのだよ」
カリースト師も難民の姿を見ると心が痛むが、長年の内乱で荒れた国を根気よく癒していくしか無いのだ。
「わかりました。頑張ります」
そう言いきったジュリアだったが、なかなか思うように修行ができなくなった。隣国の王子が留学してくるとの噂を聞いて、気もそぞろになったのと、社交界デビューの準備が忙しくなったからだ。
「まぁ、ルーファス王子が留学されるのですか? それも、今週にはシェフィールドに到着されるだなんて! シルビア様からの手紙には……まだ着いてないのね」
ゲチスバーグ伯爵は、王宮でルーファス王子の留学の日程が決定したのを聞き、慌ててジュリアに伝えたのだ。手紙のやり取りをしているシルビアから何も知らされてないと驚いた。しかし、こちらからは風の精霊シルフィードに届けて貰えるが、ルキアス王国からは船便で届けるしか手段が無いのだと溜め息をつく。
「もしかして、セドリック様も一緒かしら?」
無邪気に質問してくるジュリアに、アルバートは内心の動揺を押し殺して頷く。グローリアから、元の雇い主の若君に憧れているのではと聞かされてから、外国に嫁ぐとか言い出さないかと心配になっていたのだ。
「それは、そうよね! ルーファス王子の学友として、いつも一緒に精霊使いの修行をされていたのですもの。また会えるだなんて、思ってもみませんでした。あっ、ルーシーにも教えてあげなくては!」
ルーシーが憎からず思っていたセドリック様の従者トーマスもきっと一緒に来る筈だと、部屋に教えに行く。その様子を見ていたゲチスバーモンド伯爵は、やはりセドリックに気があるのでは無いかとドキドキしてしまうのだった。
「ルーシー、ルーファス王子が水晶宮に留学されるの。きっとセドリック様も一緒に来られると思うわ」
部屋で、ドレスの片付けをしていたルーシーは、パッと顔を輝かせる。イオニア王国のゲチスバーモンド伯爵家での待遇は悪くないし、ジュリアは気難しくないご主人様ではあるが、祖国の懐かしい人々に会うのは嬉しいのだ。
「まぁ、ではトーマスも一緒でしょうか?」
ドレスを片付けると、ルーシーはジュリアに尋ねたが、多分としかわからない。
「シルビア様からの手紙が届けば、詳しくわかると思うのだけど……」
ルーシーは、セドリック様がシルフィードを使いこなせないのがもどかしい。イオニア王国で、精霊使いによる便利な生活に慣れてしまっているのだ。
「まぁ、その為の留学なのですわよね。ルキアス王国にも精霊使いがいると便利になりますわ」
生まれた国が懐かしくはあるが、お湯をふんだんに使える緑蔭城の生活を一度体験すると、小さな盥で風呂に入る気にならないルーシーだった。
「ルーファス王子は、サリンジャー師に指導して貰うのかしら? 今は北部に行かれているけど、シェフィールドに帰って来られるのかしら?」
ジュリアは、穏やかな茶色の瞳のサリンジャー師に会いたいと願った。
「カリースト師がルーファス王子やセドリック様も指導なさるのではないですか?」
水晶宮や精霊使いについては詳しくないルーシーだが、ゲチスバーモンド伯爵家の召し使い達の噂話で、カリースト師がイオニア王国で一番の精霊使いだと聞いていた。ルキアス王国の王子を指導するのに相応しいと感じたのだ。
「そうなると、一緒に修行できるけど……カリースト師はお忙しそうだから、どうなのかしらね」
カリースト師は、精霊使いの長を他の人に譲ったが、やはり相談を受けたり、責任のある立場には変わりはない。ジュリアの指導以外にも、見込みのある子ども達を指導したりと、忙しそうだ。
「カリースト師、ご無沙汰いたしました」
ジュリアが少し日焼けして元気そうなのに、カリースト師は満足そうに頷く。
「夏休みを満喫したようだなぁ。さぁ、これからは修行も本腰をいれてしなくてはいけないぞ」
そろそろ闇の精霊を実体化させても良いだろうと、カリースト師は考えていた。
「ええ、早く精霊使いになって、サリンジャー師のように復興を手伝いたいのです」
アドルフ王の圧政に苦しんでいたとはいえ、内乱がおこる前の方が豊かな暮らしだったのだ。自分の両親の駆け落ちと惨殺が内乱の切っ掛けになったと、ジュリアは心に重い石を抱えていた。
「そう暗い気持ちに引きずられていては、闇の精霊を実体化などさせられない。もっと、心を平穏な状態にしなくてはいけないよ」
カリースト師に諭されて、ジュリアは大きく深呼吸する。緑蔭城ではリラックスできるのだが、シェフィールドに居ると気が急いてしまう。なぜなら、美しい首都の街角で物ごいをする北部からの難民の姿などを見てしまうからだ。
「北部の復興は精霊使いの先輩達を信じて任せておきなさい。今は、しっかりと学ぶことが大事なのだよ」
カリースト師も難民の姿を見ると心が痛むが、長年の内乱で荒れた国を根気よく癒していくしか無いのだ。
「わかりました。頑張ります」
そう言いきったジュリアだったが、なかなか思うように修行ができなくなった。隣国の王子が留学してくるとの噂を聞いて、気もそぞろになったのと、社交界デビューの準備が忙しくなったからだ。
「まぁ、ルーファス王子が留学されるのですか? それも、今週にはシェフィールドに到着されるだなんて! シルビア様からの手紙には……まだ着いてないのね」
ゲチスバーグ伯爵は、王宮でルーファス王子の留学の日程が決定したのを聞き、慌ててジュリアに伝えたのだ。手紙のやり取りをしているシルビアから何も知らされてないと驚いた。しかし、こちらからは風の精霊シルフィードに届けて貰えるが、ルキアス王国からは船便で届けるしか手段が無いのだと溜め息をつく。
「もしかして、セドリック様も一緒かしら?」
無邪気に質問してくるジュリアに、アルバートは内心の動揺を押し殺して頷く。グローリアから、元の雇い主の若君に憧れているのではと聞かされてから、外国に嫁ぐとか言い出さないかと心配になっていたのだ。
「それは、そうよね! ルーファス王子の学友として、いつも一緒に精霊使いの修行をされていたのですもの。また会えるだなんて、思ってもみませんでした。あっ、ルーシーにも教えてあげなくては!」
ルーシーが憎からず思っていたセドリック様の従者トーマスもきっと一緒に来る筈だと、部屋に教えに行く。その様子を見ていたゲチスバーモンド伯爵は、やはりセドリックに気があるのでは無いかとドキドキしてしまうのだった。
「ルーシー、ルーファス王子が水晶宮に留学されるの。きっとセドリック様も一緒に来られると思うわ」
部屋で、ドレスの片付けをしていたルーシーは、パッと顔を輝かせる。イオニア王国のゲチスバーモンド伯爵家での待遇は悪くないし、ジュリアは気難しくないご主人様ではあるが、祖国の懐かしい人々に会うのは嬉しいのだ。
「まぁ、ではトーマスも一緒でしょうか?」
ドレスを片付けると、ルーシーはジュリアに尋ねたが、多分としかわからない。
「シルビア様からの手紙が届けば、詳しくわかると思うのだけど……」
ルーシーは、セドリック様がシルフィードを使いこなせないのがもどかしい。イオニア王国で、精霊使いによる便利な生活に慣れてしまっているのだ。
「まぁ、その為の留学なのですわよね。ルキアス王国にも精霊使いがいると便利になりますわ」
生まれた国が懐かしくはあるが、お湯をふんだんに使える緑蔭城の生活を一度体験すると、小さな盥で風呂に入る気にならないルーシーだった。
「ルーファス王子は、サリンジャー師に指導して貰うのかしら? 今は北部に行かれているけど、シェフィールドに帰って来られるのかしら?」
ジュリアは、穏やかな茶色の瞳のサリンジャー師に会いたいと願った。
「カリースト師がルーファス王子やセドリック様も指導なさるのではないですか?」
水晶宮や精霊使いについては詳しくないルーシーだが、ゲチスバーモンド伯爵家の召し使い達の噂話で、カリースト師がイオニア王国で一番の精霊使いだと聞いていた。ルキアス王国の王子を指導するのに相応しいと感じたのだ。
「そうなると、一緒に修行できるけど……カリースト師はお忙しそうだから、どうなのかしらね」
カリースト師は、精霊使いの長を他の人に譲ったが、やはり相談を受けたり、責任のある立場には変わりはない。ジュリアの指導以外にも、見込みのある子ども達を指導したりと、忙しそうだ。
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