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第2章 異変の兆候
襲撃②
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(ううん、やるしかない!)
「私は頑張って目立たないように立ち回る!
その間にできるだけ早く倒して……頼ってばかりでごめんね!」
小声ながらに勢いのあったナナの言葉は、ふと何かに気付いたように途切れ、最後に謝罪を含める。
ニアンはそんな健気なナナを見て優しく微笑んだ。
「いや、問題ない。俺の方こそ不安にさせてしまってすまない。それでいこう。
言っただろう? 存分に頼ってくれてかまわない、と。
じゃあ、いくぞ!」
そういうが早いか、ニアンは目視できないほどの速度で走り出す。
その方向には最も高レベルな魔獣の姿が見えていた。
「はぁあああああっ‼」
≪ジャリィイイイン‼≫
そして走りながら抜刀、体ごと横に高速一回転し、斬撃の円を描く。
放たれた斬撃は広がりつつ途中で分かたれ、無数の刃となり、迫りくる魔獣達に襲い掛かる。
≪ザシュッザザシュズシュザシュッ‼≫
斬撃の雨のような攻撃は魔獣達に突き刺さり、ダメージを与える。
当たり所が悪かった2体が倒れたが、他の個体は倒し切れていない。
だが怒らせるには十分だったようで、ニアンをターゲットに向きを変えて走り出す。
ナナは、自分から魔獣達の目が逸れた隙に【気配操作】で気配を消し、背の高い草むらの中に隠れる。
一方、ニアンが向かっていた1段レベルが高い魔獣、黒い焔を身に纏う手長猿のようなそれは、走り来るニアンに対して戦闘態勢をとった。
刹那、手長猿が腕を振りかぶり、鋭く長い爪がニアンに降りかかる。
気配を殺して隠れていたナナは目を見開き、ぎゅっと拳を握る。
しかし想像していたことは起きず、ニアンは走る勢いそのままに、半歩体をひねって爪を回避。
そのまま地面を蹴り、手長猿の後方に飛ぶ。
そこに、ニアンの斬撃を受けた魔獣達が迫る。
着地したニアンは一斉に飛び掛かってくる敵の攻撃を剣でさばきながら、囲まれないように移動しつつ、確実に反撃を入れる。
だが、一体一体が強い上に連携して襲ってくるため、なかなか致命傷を与えることができず、ナナのような素人が見てもわかるほど分が悪い。
ハラハラしながら戦況を観察していると、突如アイマーが警告する。
『ナナっ! 背後から攻撃だ! 避けろ!』
「ッ!」
アイマーの指示に従って、ナナはとっさに立ち上がって横に飛び、背後から突き下ろすように振るわれた爪の攻撃を回避する。
ナナとアイマーが戦いに気を取られている隙に、最初にニアンを襲った手長猿が背後に回り込んでいたのだ。
ナナの集中力が乱れ、【気配操作】の効果が薄れたせいで発見されたようだ。
攻撃される直前、ギリギリでアイマーが察知したが、あと一歩遅ければナナは背中から心臓を貫かれていた。
手長猿から距離をとったナナは、先程まで自分がいた場所の地面がえぐれているのを見て、青ざめた。
『あ、危なかった……。ありがとう魔王。一瞬遅かったら死んでた……』
『気を抜くでない! また来るぞ!』
ナナは気を引き締めなおすが、直後、手長猿の姿を見失った。
『上だ!』
アイマーの警告にナナがバッと見上げると、手長猿がナナ目掛けて落ちてくるところだった。
一方、ニアンはナナを助けに行こうにも、自分を囲む敵が多すぎて、このまま合流するとナナをより危険にさらすことになると焦っていた。
だが、迷いを振り払って駆け寄ろうとしたその時、手長猿がナナに強烈なジャンプ攻撃を仕掛ける。
遅れてナナが気付くが、よけられるタイミングではない。
レベル1のナナが、レベル110を上回る手長猿の攻撃を一度でも受けてしまったら……その身体は一切の抵抗を許されず、砕かれ、引き裂かれる。
「ナナぁああっ‼」
「私は頑張って目立たないように立ち回る!
その間にできるだけ早く倒して……頼ってばかりでごめんね!」
小声ながらに勢いのあったナナの言葉は、ふと何かに気付いたように途切れ、最後に謝罪を含める。
ニアンはそんな健気なナナを見て優しく微笑んだ。
「いや、問題ない。俺の方こそ不安にさせてしまってすまない。それでいこう。
言っただろう? 存分に頼ってくれてかまわない、と。
じゃあ、いくぞ!」
そういうが早いか、ニアンは目視できないほどの速度で走り出す。
その方向には最も高レベルな魔獣の姿が見えていた。
「はぁあああああっ‼」
≪ジャリィイイイン‼≫
そして走りながら抜刀、体ごと横に高速一回転し、斬撃の円を描く。
放たれた斬撃は広がりつつ途中で分かたれ、無数の刃となり、迫りくる魔獣達に襲い掛かる。
≪ザシュッザザシュズシュザシュッ‼≫
斬撃の雨のような攻撃は魔獣達に突き刺さり、ダメージを与える。
当たり所が悪かった2体が倒れたが、他の個体は倒し切れていない。
だが怒らせるには十分だったようで、ニアンをターゲットに向きを変えて走り出す。
ナナは、自分から魔獣達の目が逸れた隙に【気配操作】で気配を消し、背の高い草むらの中に隠れる。
一方、ニアンが向かっていた1段レベルが高い魔獣、黒い焔を身に纏う手長猿のようなそれは、走り来るニアンに対して戦闘態勢をとった。
刹那、手長猿が腕を振りかぶり、鋭く長い爪がニアンに降りかかる。
気配を殺して隠れていたナナは目を見開き、ぎゅっと拳を握る。
しかし想像していたことは起きず、ニアンは走る勢いそのままに、半歩体をひねって爪を回避。
そのまま地面を蹴り、手長猿の後方に飛ぶ。
そこに、ニアンの斬撃を受けた魔獣達が迫る。
着地したニアンは一斉に飛び掛かってくる敵の攻撃を剣でさばきながら、囲まれないように移動しつつ、確実に反撃を入れる。
だが、一体一体が強い上に連携して襲ってくるため、なかなか致命傷を与えることができず、ナナのような素人が見てもわかるほど分が悪い。
ハラハラしながら戦況を観察していると、突如アイマーが警告する。
『ナナっ! 背後から攻撃だ! 避けろ!』
「ッ!」
アイマーの指示に従って、ナナはとっさに立ち上がって横に飛び、背後から突き下ろすように振るわれた爪の攻撃を回避する。
ナナとアイマーが戦いに気を取られている隙に、最初にニアンを襲った手長猿が背後に回り込んでいたのだ。
ナナの集中力が乱れ、【気配操作】の効果が薄れたせいで発見されたようだ。
攻撃される直前、ギリギリでアイマーが察知したが、あと一歩遅ければナナは背中から心臓を貫かれていた。
手長猿から距離をとったナナは、先程まで自分がいた場所の地面がえぐれているのを見て、青ざめた。
『あ、危なかった……。ありがとう魔王。一瞬遅かったら死んでた……』
『気を抜くでない! また来るぞ!』
ナナは気を引き締めなおすが、直後、手長猿の姿を見失った。
『上だ!』
アイマーの警告にナナがバッと見上げると、手長猿がナナ目掛けて落ちてくるところだった。
一方、ニアンはナナを助けに行こうにも、自分を囲む敵が多すぎて、このまま合流するとナナをより危険にさらすことになると焦っていた。
だが、迷いを振り払って駆け寄ろうとしたその時、手長猿がナナに強烈なジャンプ攻撃を仕掛ける。
遅れてナナが気付くが、よけられるタイミングではない。
レベル1のナナが、レベル110を上回る手長猿の攻撃を一度でも受けてしまったら……その身体は一切の抵抗を許されず、砕かれ、引き裂かれる。
「ナナぁああっ‼」
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