28 / 500
第2章 脱出編
第2章ー⑦
しおりを挟む
サダメの一言で、周りに嫌な雰囲気が漂ってきた。本人は無自覚なんだと思うけど、今の発言はかなりマズイ。
「…おいサダメ、今なんて言った?」
それを先に察した年長のラエルは立ち上がってサダメの所に歩み寄って来る。ラエルの口調は静かな怒りを感じた。
「ま、待ってラエル?! サダメはいつも頑張ってて、今日は少し疲れてるだけなの! だから今日はゆっくり休ませて…」
このままだとケンカになりそうだと思い、慌てて私はラエルを止めようと前に立ちはだかり、説得を試みる。
「ッ!?」
その時、改めて思い知った。ラエルと私の年の差は一回りも違う。圧倒的な体格の差。一回りも二回りも体格の差があると、圧迫されるような怖さを感じる。まるで普通の人間と大きな巨人のようだ。
「どけっ!!」
「きゃっ?!」
サダメに歩み寄るラエルは、目の前に立つ私をあっさりとどかす。あっさりとどかされた私は怖さのあまりなにもない所で転び、尻餅をついた。
「サダメ! さっきなんて言った?! もういっぺん言ってみろ!!」
「…」
私をどかしたラエルはそのままサダメの胸ぐらを掴み、サダメを睨みながら問いかける。一方のサダメは、無気力のようになされるがまま。胸ぐらを掴まれようが睨まれようが死んだような表情は変わらず、視線も下を向いてラエルを見ようとしていない。
「辛いのは皆一緒なんだよ! お前が俺たちの代わりに殴られてるのは申し訳ねーと思ってるよ。その分俺たちは俺たちなりに頑張ってる! 今日だって、お前が他の作業行って暫く戻って来なかった間、残ってた量俺たちでなんとかカバーした。休みもロクに取れなかったし、アイツらに散々嫌味言われまくった。おかげで心身共にボロボロだよ」
「…」
「けど、皆文句とか弱音言わずにやってんだ! なんでか分かるか?!」
「ちょっ、ラエル?!」
ラエルは説教していくうちに段々ヒートアップしているのか、サダメの胸ぐらを掴んだまま壁に押し付け始めた。尻餅をついていた私は止めようと慌てて立ち上がる。このままだとサダメがケガしちゃう。気が付けばラエルに対しての恐怖心がなくなり、むしろ別の意味で怖さを感じていた。
「ちょっと落ち着いてラエル?! ケガしたら危ないから…」
必死に止めようとラエルの腕を振りほどこうとするものの、私の力では微動だにしない。ここでも思い知らされる。彼は年が一回りも違う男の子だ。力だって歴然の差。けど、他の子達はラエルの言動に怯えてその場から動けそうにない。サダメも全く抵抗しないし、私一人でなんとかしないと。
「皆、生きたいんだよ!! どんだけ辛い目にあっても死にたくないんだよ!! 大人たちが死んで、同い年の連中も殺されて、人が死んでいく様を嫌っていうほど見せつけられた。死に対する恐怖心を散々植え付けらたんだ。だから、これ以上死んでいく奴を見るのも、自分が殺される立場になんのも嫌なんだよ!? そんな時にお前は簡単に死にたいなんて言いやがって! ふざけるのも大概に…」
「おねがいラエル、一回落ち着こう?! 皆怖がってるし、これ以上大声出したらあの人たちがきちゃう…」
「…かよ」
「…あ゛っ?」
しかし、ケンカは一向に収まらない。皆怖がっていて、中には今にも泣きだしそうな子もいる。それにラエルの怒った声が外にまで響いていそうなほど大きい。魔物の人たちがこの騒音を聞きつけたら、怒ってなにをしだすかわからない。早く止めないとと思った矢先、暫く黙っていたサダメがようやく口を開いた。しかし、またなにを言っているのか聞き取れない。
「知るかよ。お前らの言い分を勝手に俺に押し付けんなよ」
「なっ?!」
もう一度口を開いたサダメの無気力な発言に、ラエルは面を食らっていた。面を食らったあまり言葉に詰まっている。怒りを通り越して呆れているようにも見えた。
「ちっ、そうかよ」
「あっ」
呆れたのか、ラエルは突き放すようにサダメから手を離した。その際にサダメは軽く壁に頭をぶつけ、そのまま背中を擦りながら壁にもたれかかって座り込んだ。流石に今ので死んではいないんだろうけど、頭を打っていて心配になった私は、ラエルの腕を離した直後にサダメに近寄る。
「さ、サダメ? 大丈夫?」
「…」
「ふん」
サダメに声を掛けてみるが返事は特にない。息はしているし目は瞑ってないから意識はある。ただ話す気力を失くしただけなのだろう。とりあえず頭を軽く打ってるし、治癒魔法を少しだけ掛けてあげよう。
「そんなに死にたきゃ勝手に死ね。ただ、死ぬなら俺らの視界に入らない所で死んでくれよ」
「っ?! ちょっ、ラエル?!」
私が治癒魔法を掛けようとしているなか、ラエルは去り際にひどい一言を放った。まるでサダメを見限るような発言。あまりの失言にラエルに謝らせようと引き止めようとした。けど、今はそんな雰囲気じゃない。サダメ本人も謝罪を求めているようにも思えないし、私が引き止めるのも気が引けてそれ以上は何も言わなかった。
「…おいサダメ、今なんて言った?」
それを先に察した年長のラエルは立ち上がってサダメの所に歩み寄って来る。ラエルの口調は静かな怒りを感じた。
「ま、待ってラエル?! サダメはいつも頑張ってて、今日は少し疲れてるだけなの! だから今日はゆっくり休ませて…」
このままだとケンカになりそうだと思い、慌てて私はラエルを止めようと前に立ちはだかり、説得を試みる。
「ッ!?」
その時、改めて思い知った。ラエルと私の年の差は一回りも違う。圧倒的な体格の差。一回りも二回りも体格の差があると、圧迫されるような怖さを感じる。まるで普通の人間と大きな巨人のようだ。
「どけっ!!」
「きゃっ?!」
サダメに歩み寄るラエルは、目の前に立つ私をあっさりとどかす。あっさりとどかされた私は怖さのあまりなにもない所で転び、尻餅をついた。
「サダメ! さっきなんて言った?! もういっぺん言ってみろ!!」
「…」
私をどかしたラエルはそのままサダメの胸ぐらを掴み、サダメを睨みながら問いかける。一方のサダメは、無気力のようになされるがまま。胸ぐらを掴まれようが睨まれようが死んだような表情は変わらず、視線も下を向いてラエルを見ようとしていない。
「辛いのは皆一緒なんだよ! お前が俺たちの代わりに殴られてるのは申し訳ねーと思ってるよ。その分俺たちは俺たちなりに頑張ってる! 今日だって、お前が他の作業行って暫く戻って来なかった間、残ってた量俺たちでなんとかカバーした。休みもロクに取れなかったし、アイツらに散々嫌味言われまくった。おかげで心身共にボロボロだよ」
「…」
「けど、皆文句とか弱音言わずにやってんだ! なんでか分かるか?!」
「ちょっ、ラエル?!」
ラエルは説教していくうちに段々ヒートアップしているのか、サダメの胸ぐらを掴んだまま壁に押し付け始めた。尻餅をついていた私は止めようと慌てて立ち上がる。このままだとサダメがケガしちゃう。気が付けばラエルに対しての恐怖心がなくなり、むしろ別の意味で怖さを感じていた。
「ちょっと落ち着いてラエル?! ケガしたら危ないから…」
必死に止めようとラエルの腕を振りほどこうとするものの、私の力では微動だにしない。ここでも思い知らされる。彼は年が一回りも違う男の子だ。力だって歴然の差。けど、他の子達はラエルの言動に怯えてその場から動けそうにない。サダメも全く抵抗しないし、私一人でなんとかしないと。
「皆、生きたいんだよ!! どんだけ辛い目にあっても死にたくないんだよ!! 大人たちが死んで、同い年の連中も殺されて、人が死んでいく様を嫌っていうほど見せつけられた。死に対する恐怖心を散々植え付けらたんだ。だから、これ以上死んでいく奴を見るのも、自分が殺される立場になんのも嫌なんだよ!? そんな時にお前は簡単に死にたいなんて言いやがって! ふざけるのも大概に…」
「おねがいラエル、一回落ち着こう?! 皆怖がってるし、これ以上大声出したらあの人たちがきちゃう…」
「…かよ」
「…あ゛っ?」
しかし、ケンカは一向に収まらない。皆怖がっていて、中には今にも泣きだしそうな子もいる。それにラエルの怒った声が外にまで響いていそうなほど大きい。魔物の人たちがこの騒音を聞きつけたら、怒ってなにをしだすかわからない。早く止めないとと思った矢先、暫く黙っていたサダメがようやく口を開いた。しかし、またなにを言っているのか聞き取れない。
「知るかよ。お前らの言い分を勝手に俺に押し付けんなよ」
「なっ?!」
もう一度口を開いたサダメの無気力な発言に、ラエルは面を食らっていた。面を食らったあまり言葉に詰まっている。怒りを通り越して呆れているようにも見えた。
「ちっ、そうかよ」
「あっ」
呆れたのか、ラエルは突き放すようにサダメから手を離した。その際にサダメは軽く壁に頭をぶつけ、そのまま背中を擦りながら壁にもたれかかって座り込んだ。流石に今ので死んではいないんだろうけど、頭を打っていて心配になった私は、ラエルの腕を離した直後にサダメに近寄る。
「さ、サダメ? 大丈夫?」
「…」
「ふん」
サダメに声を掛けてみるが返事は特にない。息はしているし目は瞑ってないから意識はある。ただ話す気力を失くしただけなのだろう。とりあえず頭を軽く打ってるし、治癒魔法を少しだけ掛けてあげよう。
「そんなに死にたきゃ勝手に死ね。ただ、死ぬなら俺らの視界に入らない所で死んでくれよ」
「っ?! ちょっ、ラエル?!」
私が治癒魔法を掛けようとしているなか、ラエルは去り際にひどい一言を放った。まるでサダメを見限るような発言。あまりの失言にラエルに謝らせようと引き止めようとした。けど、今はそんな雰囲気じゃない。サダメ本人も謝罪を求めているようにも思えないし、私が引き止めるのも気が引けてそれ以上は何も言わなかった。
0
あなたにおすすめの小説
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる