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第2章 脱出編
第2章ー⑬
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「うぅ、寒いよぉ」
「もうちょっとだから急かさないでよ!」
作業が終わり、暖を取ろうとたき火を点けようとしたけど、火種を作るのにかなり苦戦を強いられていた。他の子達が頑張っているものの、火の点け方なんてだれも知らないからなんとなくでやっている。今までサダメが居たからなんとかなっていたけど、彼は結局戻って来てはくれなかった。
「…サダメ…」
朝から彼の姿は見当たらず、引き止める時間もなかった。昨晩吐いた私の気持ちは、残念なことに彼には届かなかったのかもしれないと思うとそれがとても悔しかった。やっぱり、私にはまだまだ力不足だったのかも。
「…」
あれからラエルは皆から少し距離を置いていた。昨晩のことで皆が少し怖がっている様子で、それを本人も気づいてしまったのだろう。
なんだか、皆近くに居るはずなのに、遠くなっている気がする。あの一件が皆の心をバラバラにしてしまったのかもしれない。なんだか嫌な気分。また前みたいに皆が心を一つになれる日が来るのだろうか。
「それにしても…」
今日はなんだか外が騒がしい気がする。いや、明らかに騒がしい。魔物の足音や話し声が度々聞こえてくる。いつも聞こえてはいたけど、ここまで騒がしいのは珍しい。なにかあったのかな。気にはなるけど、夜は迂闊に外に出られないし、あの人達がワケを話してくれるとも思えない。扉の近くまで行って、なんとか聞き耳を立てれば話を盗み聞き出来るかも…
「はあ…はあ…」
「ッ!?」
と思い、教会の扉の前に歩み寄ろうとした瞬間、ものすごい息切れする声が教会の中に響き渡った。
「あっ」
声のする方向に振り返った。声は教会の祭壇辺りからしていた。祭壇といっても、床が一部抜けていて立っているのは危ない場所なため、他の子にはあそこに立たないように注意を促していた。だからあそこには人なんて居なかったはずだけども。
皆が声を聞きつけて駆け寄って行っていた。私も後に続くように駆け寄った。駆け寄って見ると、抜けた床から誰かが這い上がって来ていた。見覚えのある姿で、私は驚きのあまり手で口を覆っていた。
「サダ…メ?」
口を隠しながら思わず彼の名前が飛び出ていた。正直、もう彼には会えないものだと思っていた。そう半ば諦めていた矢先に彼の姿を見たら驚かずにはいられない。
「だ、大丈夫っ?!」
驚いたのも束の間、ボロボロのサダメの姿を見て慌てて近寄り、手を差し伸べる。なにがあったのかわからないけど、まずは治療してあげないと。
「はあ…はあ…ん゛っ!?」
私の手を取り、床からサダメを引き揚げる。かなり汗を掻いている。息切れもしているし、相当走り回ったのだろうか。ひょっとして、魔物が騒いでいる事となにか関係が…
「ッ?! サダメ、その顔…」
あるのかと聞こうと思っていたけど、彼の顔を見てそれどころではなかった。顔中ものすごく腫れていて、大きいあざが出来上がっている。転んだりして出来るようなものじゃない。まさか魔物に?
「ちょっと見せて!? 今すぐ治してあげるか…」
「その前に、皆に…聞いて欲しい事が、ある!」
「えっ?」
早く治してあげようと、治癒魔法を掛けようと彼の顔に手を差し伸べようとするが、その手を振りほどかれてしまった。ケガを治すことよりも聞いて欲しいこととは一体なんなのだろうか。
「皆、俺と一緒に、この村から脱出しよう!!」
息を切らしながら言った彼の言葉は、皆を驚愕と困惑させる一言だった。
「もうちょっとだから急かさないでよ!」
作業が終わり、暖を取ろうとたき火を点けようとしたけど、火種を作るのにかなり苦戦を強いられていた。他の子達が頑張っているものの、火の点け方なんてだれも知らないからなんとなくでやっている。今までサダメが居たからなんとかなっていたけど、彼は結局戻って来てはくれなかった。
「…サダメ…」
朝から彼の姿は見当たらず、引き止める時間もなかった。昨晩吐いた私の気持ちは、残念なことに彼には届かなかったのかもしれないと思うとそれがとても悔しかった。やっぱり、私にはまだまだ力不足だったのかも。
「…」
あれからラエルは皆から少し距離を置いていた。昨晩のことで皆が少し怖がっている様子で、それを本人も気づいてしまったのだろう。
なんだか、皆近くに居るはずなのに、遠くなっている気がする。あの一件が皆の心をバラバラにしてしまったのかもしれない。なんだか嫌な気分。また前みたいに皆が心を一つになれる日が来るのだろうか。
「それにしても…」
今日はなんだか外が騒がしい気がする。いや、明らかに騒がしい。魔物の足音や話し声が度々聞こえてくる。いつも聞こえてはいたけど、ここまで騒がしいのは珍しい。なにかあったのかな。気にはなるけど、夜は迂闊に外に出られないし、あの人達がワケを話してくれるとも思えない。扉の近くまで行って、なんとか聞き耳を立てれば話を盗み聞き出来るかも…
「はあ…はあ…」
「ッ!?」
と思い、教会の扉の前に歩み寄ろうとした瞬間、ものすごい息切れする声が教会の中に響き渡った。
「あっ」
声のする方向に振り返った。声は教会の祭壇辺りからしていた。祭壇といっても、床が一部抜けていて立っているのは危ない場所なため、他の子にはあそこに立たないように注意を促していた。だからあそこには人なんて居なかったはずだけども。
皆が声を聞きつけて駆け寄って行っていた。私も後に続くように駆け寄った。駆け寄って見ると、抜けた床から誰かが這い上がって来ていた。見覚えのある姿で、私は驚きのあまり手で口を覆っていた。
「サダ…メ?」
口を隠しながら思わず彼の名前が飛び出ていた。正直、もう彼には会えないものだと思っていた。そう半ば諦めていた矢先に彼の姿を見たら驚かずにはいられない。
「だ、大丈夫っ?!」
驚いたのも束の間、ボロボロのサダメの姿を見て慌てて近寄り、手を差し伸べる。なにがあったのかわからないけど、まずは治療してあげないと。
「はあ…はあ…ん゛っ!?」
私の手を取り、床からサダメを引き揚げる。かなり汗を掻いている。息切れもしているし、相当走り回ったのだろうか。ひょっとして、魔物が騒いでいる事となにか関係が…
「ッ?! サダメ、その顔…」
あるのかと聞こうと思っていたけど、彼の顔を見てそれどころではなかった。顔中ものすごく腫れていて、大きいあざが出来上がっている。転んだりして出来るようなものじゃない。まさか魔物に?
「ちょっと見せて!? 今すぐ治してあげるか…」
「その前に、皆に…聞いて欲しい事が、ある!」
「えっ?」
早く治してあげようと、治癒魔法を掛けようと彼の顔に手を差し伸べようとするが、その手を振りほどかれてしまった。ケガを治すことよりも聞いて欲しいこととは一体なんなのだろうか。
「皆、俺と一緒に、この村から脱出しよう!!」
息を切らしながら言った彼の言葉は、皆を驚愕と困惑させる一言だった。
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