転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第2章 脱出編

第2章ー㉓

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 「はあ…はあ…」

 「オラ死ねや…」

 「はあっ!」

 「ぐわあっ!?」

 「っ?! こ、このガキ、本当にただのガキか?」

 魔物との戦いが始まって何分経っただろうか。体感では一時間以上戦い続けているように感じる。実際は多分もっと短いのだろうが、それぐらい体力を消費してしまっていた。段々息が苦しくなってきた。

 これで魔物を何人殺しただろうか。二十? 三十? それだけの人数を殺めてはいるものの、魔物の数が減っている気がしない。こんなに多かっただろうか。

 「落ち着け! ただのガキじゃないとはいえ、相手は一人だ。数で押し切れば殺せない相手じゃねー。囲んで殺せー!!」

 「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 「くっ!?」

 魔物の勢いも衰えることがなく、容赦なく襲い掛かって来る。今度は五,六人が囲んで迫って来た。さっきまでは上手い事一対一に持ち込んで対処していたが、複数相手するのはマズイ。

 「ん゛っ!!」

 「なっ?!」

 完全に囲まれる前に脱兎跳躍で上空に回避する。なんとか回避したものの、これで自分が複数相手にすることを嫌がっていると悟らせてしまったかもしれない。

 「ちっ、やり損ねたか」

 「だがあのガキ、ビビってやがるぞ」

 「ああ。今の調子でいけばやれるぞ!」

 「くそっ!?」

 案の定バレてしまった。どうする。一旦逃げるか。だが、皆の状況が分からない。魔障結界も解除されてないし、作戦が上手くいってないのかもしれない。そんななかで奴等の気を他の所に逸らさせるわけにはいかない。自分は囮役、とにかくヘイトを稼いで気を逸らさないように立ち回らないと。

 しかし、ミオになにかあったのか、それとも自分の読みが外れていたのかと色んな不安が頭を過り、確認しに行きたいという気持ちが出始めてくる。駄目だ、ミオ達を信じて自分はこいつらに集中しないと。少しでも油断すればやられる。

 「よし、もう一回囲めー!!」

 「っ?! しまった!?」

 そんなことを考えている時点で油断していた。着地した瞬間、魔物に背後を取られていた。そのうえ前からも物凄い勢いで迫って来ており、逃げ場を失った。どうする。背後の敵を即座に殺して抜け出すか。いや、不覚を取られて間に合わない。よくて相討ちだ。前方の敵を蹴散らそうにも体勢が整っていない。

 「ははっ、とっとと死にやがれー!!」

 「…くそっ」

 駄目だ、間に合わない。ここで終わるのか。ようやく生きる希望を見いだしたところなのに。せめて、せめてミオ達だけでも生き抜いて…

 「うおっ?!」

 「っ?! なんだ今の音?」

 「…」

 欲しいと願ったその矢先、どこからか衝撃音が響いてきた。唐突な事に魔物達の動きが止まり騒然とし周囲を見渡し始めた。自分も何が起きたのかわからず、脳がフリーズしてしまっていた。今の音はなんだ。どっから鳴ったんだ。

 「お、おい! なんかあそこから竜巻が…」

 「はあ?! どういうことだよ?!」

 「いや、俺にもわかんねーって!? けど、あそこ!」

 「っ!?」

 魔物達が騒ぎ、一人が音の鳴った方向を指さしている。その先に皆の視線が釘付けにされ、思わず自分をそっちに視線を移した。

 するとそこには、天にまで届きそうな程の竜巻が発生していたのだ。規模はそこまで大きい訳ではなさそうだが、たしかに竜巻だ。

 「まさかミオが…」

 竜巻を見てふと声が漏れた。あれはもしかしてミオの魔法なんじゃないかと思った。この村で突発的に竜巻が起こった事例はないはず。それに、あの方角はたしか魔造種の貯蔵庫らしき家があった場所。タイミング的に考えてもそう思わざるを得ない。おそらく儀式の破壊に成功したのだろう。にしては大分ド派手なやり方ではあるが。

 「だ、だれか、何が起きてんのか確認して…」

 「はあっ!?」

 「ぐわあっ!?」

 「っ?! しまった、あのガキが逃げたぞ!!」

 「追いかけろ!!!」

 竜巻がミオの魔法だと悟った瞬間、自分は前に居た魔物の一人を殺した後、脱兎跳躍を駆使して魔物の群れを突破していた。

 ミオに助けられた。これで囮をする必要もなくなり、魔障結界も時期解けるだろう。その前にミオと合流してラエル達の所に急がなければ。今のでミオも危険に晒されるだろうしな。早く助けに行かなければ。

 「待ってろよミオ! 今助けに行くからな!!」
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