55 / 499
第3章 逆襲編
第3章ー⑦
しおりを挟む
「「ッ!?」」
あまりの衝撃的な光景に、自分とミオは言葉を失い顔面蒼白。ほんの一瞬の出来事だった。前に走っていた馬車が黒い槍に貫かれ宙を舞い、宙で半回転した馬車から放り出される子供達はみな胸などをを一突きされ、身体中血まみれで、中には四肢の一部が吹き飛んでいたり、頭部まで貫かれている子も見えた。
そして、その中にはラエルの姿も当然あった。ラエルも胸を一突きされ、身体中血まみれで口から血を流していた。そんなラエルの目はかっぴらいたまま、こっちと視線が合った。瞳孔が開いたまま微動だにしない様子から見て、ラエルはもう息をしていない。放り出されて地面に叩きつけられた後も皆の呻く声が一つも聞こえてこない事から察するに、他の皆も声を出す間もなく即死している。
「ラ…エル…」
ラエルの表情を見て口からか細い声で言葉が漏れ出た。頭の情報処理が追い付かず不意に出た言葉。これ以上の言葉が出てこない。
「う…そ…」
ミオも恐る恐る言葉を出したが、口が上手く動かてせいない様子でその二文字を出すだけで精一杯のようだ。
「『本当ならもう少し様子を見るつもりでしたが、バレてしまっては仕方ありませんね』」
「ッ!?」
そんな二人の様子などお構いなく、馬車を貫いた黒い槍は引っ込んでいき、いつの間にか地面から影がフード姿をした人型の形に浮かび上がってきていた。
「はあ…はあ…、おまえ…」
そいつの姿を見た瞬間、自分の呼吸が荒くなる。悲しみ、怒り、憎しみで感情がぐちゃぐちゃになっていた。原因は言うまでもない。こいつのせいだ。
「『それにしても、随分とやってくれましたね貴方達。おかげで面倒事が増えてしまいましたよ。こんな大事な時に』」
「くっ!」
全てはこいつのせいだ。こいつが居なければ村も父もラエル達も死なずに済んだんだ。そう考えると、この感情は怒りの割合の方が勝ってきた気がする。呑気に話しかけてくるあいつに殺意まで覚える。
「『しかし、残念でしたね。貴方が私に気が付かなければ彼等も死ぬことはなかったでしょうに』」
「あ゛あ゛っ?!」
それを知ってか知らずか、奴は遠慮なく煽って来る。
「嘘吐くんじゃねえよ。最初《はな》から俺達を殺すタイミングを伺ってたんだろ?」
「『…さて、どうでしょう』」
奴の言葉はどこか薄っぺらく感じて余計腹に来る。この状況でヘラヘラしてるのが透けて見えるから尚更だ。恐らく奴は、勇者から逃れる為に自分達を利用しようとしていたのだろう。なんとも狡猾な奴だ。
「…対に、許さねえ」
「『ん?』」
皆を殺したのもそうだが、自分だけ助かろうとしていたこいつのやり方も気に入らない。こんな奴を許すわけにはいかない。
「絶対に許さねえぞ、エイシャ!!」
そう思った自分は、奴に啖呵を切った。
あまりの衝撃的な光景に、自分とミオは言葉を失い顔面蒼白。ほんの一瞬の出来事だった。前に走っていた馬車が黒い槍に貫かれ宙を舞い、宙で半回転した馬車から放り出される子供達はみな胸などをを一突きされ、身体中血まみれで、中には四肢の一部が吹き飛んでいたり、頭部まで貫かれている子も見えた。
そして、その中にはラエルの姿も当然あった。ラエルも胸を一突きされ、身体中血まみれで口から血を流していた。そんなラエルの目はかっぴらいたまま、こっちと視線が合った。瞳孔が開いたまま微動だにしない様子から見て、ラエルはもう息をしていない。放り出されて地面に叩きつけられた後も皆の呻く声が一つも聞こえてこない事から察するに、他の皆も声を出す間もなく即死している。
「ラ…エル…」
ラエルの表情を見て口からか細い声で言葉が漏れ出た。頭の情報処理が追い付かず不意に出た言葉。これ以上の言葉が出てこない。
「う…そ…」
ミオも恐る恐る言葉を出したが、口が上手く動かてせいない様子でその二文字を出すだけで精一杯のようだ。
「『本当ならもう少し様子を見るつもりでしたが、バレてしまっては仕方ありませんね』」
「ッ!?」
そんな二人の様子などお構いなく、馬車を貫いた黒い槍は引っ込んでいき、いつの間にか地面から影がフード姿をした人型の形に浮かび上がってきていた。
「はあ…はあ…、おまえ…」
そいつの姿を見た瞬間、自分の呼吸が荒くなる。悲しみ、怒り、憎しみで感情がぐちゃぐちゃになっていた。原因は言うまでもない。こいつのせいだ。
「『それにしても、随分とやってくれましたね貴方達。おかげで面倒事が増えてしまいましたよ。こんな大事な時に』」
「くっ!」
全てはこいつのせいだ。こいつが居なければ村も父もラエル達も死なずに済んだんだ。そう考えると、この感情は怒りの割合の方が勝ってきた気がする。呑気に話しかけてくるあいつに殺意まで覚える。
「『しかし、残念でしたね。貴方が私に気が付かなければ彼等も死ぬことはなかったでしょうに』」
「あ゛あ゛っ?!」
それを知ってか知らずか、奴は遠慮なく煽って来る。
「嘘吐くんじゃねえよ。最初《はな》から俺達を殺すタイミングを伺ってたんだろ?」
「『…さて、どうでしょう』」
奴の言葉はどこか薄っぺらく感じて余計腹に来る。この状況でヘラヘラしてるのが透けて見えるから尚更だ。恐らく奴は、勇者から逃れる為に自分達を利用しようとしていたのだろう。なんとも狡猾な奴だ。
「…対に、許さねえ」
「『ん?』」
皆を殺したのもそうだが、自分だけ助かろうとしていたこいつのやり方も気に入らない。こんな奴を許すわけにはいかない。
「絶対に許さねえぞ、エイシャ!!」
そう思った自分は、奴に啖呵を切った。
0
あなたにおすすめの小説
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界複利! 【単行本1巻発売中】 ~日利1%で始める追放生活~
蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。
中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。
役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる