転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第3章 逆襲編

第3章ー㊱

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 翌日、帰りの道中で魔物に襲われないようにと勇者がリーヴ村の途中まで見送ってくれることになった。それまでの間、馬の手綱は勇者が握ってくれていた。どうやら勇者は魔法を使ってここまで来たようだ。馬を使わずにドレーカ村まで来た事も凄いが、自分よりも先に到着していた事に驚かされる。いくら道中休憩を挟んだとはいえ、追い付けないのは流石におかしい。やっぱ凄いなこの人。

 「もし、まだ君が強くなりたいと願うなら、ソワレル魔法学園に入るといい」

 「えっ?」

 道中、急に勇者から提案を聞かされ一瞬頭が困惑していた。暫く大した会話もなく、脈絡なしで話に入るからビックリするに決まっている。

 「クルーシア国唯一の魔法学園にして世界トップスリーに入る超名門校だ。卒業生のほとんどがなにかしらの偉業を達成している実績もある程教育が行き届いている。俺もそこに在籍していた」

 「…急に宣伝ですか?」

 その上、急に胡散臭そうな宣伝し始めたもんだからどう反応していいのかわからない。けど、どこかで聞いたことある名前。そうか、父が通っていたという学園か。そういえば、父にもそこを勧められていたような気がする。

 「独学で学ぶのも悪くはないが、一人で知識を得るにも限度がある。あそこは優秀な教員も多いから、得られる知識の量も多い。強くなるには身体を鍛えるだけでなく、魔法への理解も必須になってくる」

 「魔法への理解、ですか」

 「ああ。魔法は奥が深い。人類が何百何千年と研究しているが、未だに底が見えないぐらい深い。だが、魔法を理解しようとすればする程魔法の応用が利く」

 「…」

 魔法の応用。例えば、勇者がエイシャ達に向かって放ったあの魔法。あれも魔法の余韻が使えると思ったから行使出来たのだろう。たしかに、自分もある程度魔法のことは教わっていたつもりだが、あそこまでの発想は思いつかなかった。魔法への理解というのはそういう意味なのだろうか。

 「といっても、入るにはそれだけ厳しい試験がある。毎年倍率が三桁以上、そのうち合格できるのは三〇人程度。狭き門だから入れる保証はないけどな」

 倍率が三桁で合格できるのが三〇人。つまり、毎年三千人以上受けているということ。クルーシア国唯一というのもあるだろうが、狭さがあまりにもエグい。エグすぎて上手い例えが出てこないのだが。

 「まあ、今はそれどころじゃないだろうけどな。一応頭に入れておいてくれ」

 「…はい」

 勇者とはその言葉を最後に別れることとなった。魔法であっという間に姿が見えなくなる勇者を暫く見届けた後、ゆっくりとリーヴ村に戻る。そういえば、勇者の名前を聞いていないことを思い出した。自分も名を名乗ってはいないが、聞いておけばよかったかな。まあ、またどこかで会った時にでも聞けばいっか。

 そう気楽に思っていたのだが、その後、勇者の姿を見た人は居なかったそうだ。

 ―転生勇者が死ぬまで、残り7794日
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