転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第5章 入学編

第5章ー㊿

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 風呂から上がり、ギリスケと一緒に夕飯を食べに一階の食堂へ向かおうとしていた。

 「ふー。走るのはしんどいけど、ここの風呂は最高だから悪くはねーかもな」

 「ああ。そうだな」

 風呂でリフレッシュしたことでさっきまで愚痴っていた彼の機嫌は良くなっていた。なぜならこの寮のお風呂には疲労回復の効果があるだけでなく、傷の治癒や魔力の回復、肉体の成長促進まで促してしまうという温泉顔負けの効能を持っていた。学生寮の風呂にしては随分と凝った事してると思ったが、ここまでしないとこの学園でやっていくのは厳しいという事なのだろう。実際に連日走れているのはこの風呂のおかげでもあるといっても過言ではない。とはいえ、あの風呂に入ったからといって完全に体力が回復したり、身体がムキムキになったり、などという過度な期待はしない方がいい。そりゃあそんな万能な風呂があったら苦労はしない。あくまで気休め程度の効能。だが、その気休め程度でも無ければキツイのが現状だ。

 「今日何食おっかなー」

 「…お前、いつもカツカレー食ってるイメージしかないんだけど。悩む必要あるか?」

 「別に俺三百六十五日カツカレー食ってる訳じゃねーから。偶には別のもん食うわ!? 勝手に俺をカツカレーキャラにすんなよなー!?」

 「なんだよカツカレーキャラって。俺別にそこまで言ってねーぞ? んで? 結局何食うんだ?」

 「カツカレー」

 「…面白くねーな。そのボケ」

 「辛辣っ!?」

 食堂に向かいながら下らない話を繰り広げていた。そんな時だった。

 「ん?」

 「? どうしたんだギリスケ?」

 一階に降り、入り口前のロビーを抜けて食堂に行こうとしていると、ギリスケが玄関方面の方をじっと見ていた。急に立ち止まったものだから気になって彼に問いかける。

 「アイツ等、何やってんだ?」

 「ん?」

 すると、妙な返しが返ってきた為、自分も玄関方面に視線を移した。そこには、大きい荷物を抱えた三人の男子生徒が外に出ようとしていた。本当に何しているのだろうか? もう夜も更けている時間帯だ。学園はもう閉まっている筈だろう。なのにあんなデカい荷物を持っているのは不可解だ。それによく見ると、三人共自分達と同じ一年生。話した事はないが、いつも一緒に居た三人組だ。

 「おーい、お前らこんな時間に何処行くんだー?!」

 「ッ!? お、お前ら…」

 どうしても気になったのか、ギリスケは三人を呼び止めた。彼に声を掛けられた三人はビクビクしている。益々怪しいなこの三人組。

 「お、お前らには関係ない事だ」

 しかし、ギリスケの問いかけに三人組の一人、太っちょの眼鏡男が素っ気ない態度を取る。こんな露骨に素っ気ない態度取られると余計気になってしまうのだが。

 「関係ないって、もう遅い時間だぞ? 門限も近いし、なんか外でやるつもりならまた今度に…」

 「…くんだよ」

 「…はっ? 今、なんて?」

 それでも負けじと話しかけるギリスケにイラついてきたのか、太っちょ眼鏡がボソリと何か呟いた。何を言っているのかはっきりとは聞こえず、ギリスケがもう一度聞いていた。

 「…出ていくんだよ、この学園を!」

 更にイラついた表情を見せる太っちょ眼鏡から、衝撃の発言が飛び出した。
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