転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第6章 初任務編

第6章ー⑮

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 「ははは、どうかな? 一瞬で移動出来た感想は?」

 目の前に居るソンジさんは屈託のない笑顔で感想を聞いてくる。成功したのがよはど嬉しかったのか、それとも自分のリアクションが余程可笑しかったのだろうか。

 「うーん、思ってたより驚きがないというか、変な違和感だけは凄く感じるというか…正直、実感が湧かな過ぎてなんとも言えない感じでしたね」

 自分は正直に感想を述べる。目を瞑っていた事もあるが、あんまり転移したという実感が湧かない。ただ振動がきて、気が付いたら収まったという感覚しかない。

 「まあ、まだ試作段階だし、目も瞑ってたら分かりにくいよね。それにこの距離なら普通に移動させた方が早いし。この距離間だし、まだ実感湧きづらいかなー」

 「じゃあ、今度は外で?」

 「そうしたいけど、今の段階だとこれが限界。距離が遠くなるほど魔力を消耗しないといけないし、そうなると装置の魔力許容量も上げないといけなくなるから自然とサイズも大きくしないといけない。まだまだ課題は山積みだね」

 「転移魔法ってそんなに大変なんですね?」

 「便利な魔道具を作るっていうのは中々難しいものさ。パソコンやゲーム機は一定の電力を放出することで使用できるからいいんだけど、この転移装置みたいな魔道具は魔力をある程度蓄えた状態で発動させるからね。家電と魔道具は似ているようで勝手が違うから苦戦中だよ。特に転移とか飛行系の移動用魔道具はね。電気やらガソリンやらで物を動かす前世の世界の人達は素晴らしいと思わされたよ」

 「へー。魔法の方が便利だと思ってましたけど」

 「私も最初はそう思っていたよ。けど、実際は複雑だよ。なにせ、魔力には未だに解明されていない事が多いからね」

 「ふーん」

 感想を言い終えると、軽くソンジさんと雑談に入っていた。どうやらソンジさんでも魔道具の制作には苦労しているようだ。魔法といい魔力といい、この世界にはまだまだ謎な部分が多いようだ。恐らく、自分達世代だけでは解明できない程膨大な数の謎が残っていそうだ。

 「んじゃあ、俺そろそろ帰りますね?」

 「もう帰っちゃうのかい?」

 「お互い用は済んだみたいですし、ソンジさんも忙しそうだから今日はこれで」

 「え~? おにいちゃんがいっしょにいてくれないとソンジいや~!」

 「じゃあお疲れーっす」

 「もうちょっと付き合ってくれてもいいだろ!? いけず、ケチ、巨乳好きー!」

 「誰が巨乳好きだ!?」

 とりあえず用を済ませた自分は彼女の仕事の邪魔をしないよう帰ろうとすると、彼女は急に妹キャラになって引き止めようとしたり、駄々をこね始めて暫くの間妨害を受けつつもなんとか寮に帰還するのだった。

 ―転生勇者が死ぬまで、残り4090日
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