転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第8章 魔海の大行進編

第8章ー3

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 翌日、遂に夏休みが始まった。自分とミオは一度実家のリーヴ村に帰省する為、朝の馬車を待っている所だった。

 「マヒロは実家に帰らないんだよな?」

 「うむ。拙者の家は少し離れた孤島故、帰るのが少々面倒でござるし、来週の事を考えるならここに残った方がいいでござる。二人と暫くの間会えぬのは寂しいではござるが、ソンジ殿も居るし大丈夫でござるよ!」

 そんな自分達を見送りに来ていたマヒロ。タイミング的に朝練の時間と被っているからついでなのだろう。

 話を聞くに、彼女の実家は孤島にあるらしく、帰るとなると色々面倒だからよっぽどの事情が無い限りは帰るつもりはないらしい。まさかマヒロが島育ちだとは思わなかったな。てっきりどっかの里の領主の娘だと思ってた。まあ、こんな個性的な口調で喋る里はこの世界じゃ聞いた事ないけどな。

 それはさておき、彼女の話を聞く限りだとどうやらソンジさんも学園に残っているようだ。彼女の場合は休みなんかよりも研究の方が優先なんだろうな。そう言ってるのが目に浮かぶ。

 「それならマヒロも一緒にウチに来ればいいのに。どうせ来週一緒に遊びに行くんだから」

 「そうだな。神父様達も歓迎してくれるだろうし、良かったらどうだ?」

 「二人の誘いは大変嬉しいでござるが、今回は遠慮するでござるよ」

 彼女が学園に残る事を知っていたミオは自分達と一緒にリーヴ村に行こうと誘って来ていた。来週は皆で海に行く予定もあるし、学園の友達を家に招待するなんて滅多にない機会だ。神父様やエリカさんも学友を呼んだらきっと喜ぶだろうしミオの案は悪くないと思い、自分もマヒロを誘ってみることにした。

 一応昨日も誘っていたのだが、彼女は昨日と同様首を横に振っていた。最初断られた時は二人で驚いたものだが、彼女も彼女なりに色々考えていたようだ。

 「拙者、期末の実技試験で己の未熟さを思い知らされたでござる。それ故、もっともっと鍛錬を積まねばならぬ。長期休暇中も師範達が居るみたいでござるし、皆との約束の日までは修行に勤しむでござるよ」

 彼女の理由を聞いて自分達は納得させられた。休みの日も鍛錬とはまさに彼女らしい理由だ。あの時の結果に満足していない辺りとかもな。

 「…そっか」

 「ならしょうがないね。頑張ってねマヒロ」

 「うむ! あっ、けどもしまた機会があるなら誘って欲しいでござる。二人の故郷も一度は行ってみたいと思っておるし」

 「いいよ! 夏休みは一ヶ月もあるし、今度帰る時に来てよ!」

 「その時は必ず!」

 今回の誘いは断られたものの、いつかリーヴ村に行ってみたいという彼女に笑顔で承諾するミオ。彼女の言う通り夏休みはまだ始まったばっかだ。来れるチャンスならまだまだある。

 「おっ。もう来たみたいだぜ」

 「じゃあ、私達行くから。またねマヒロ」

 「うむ。二人共、お達者で!」

 そんな話をしている間に馬車が到着。自分達は彼女と別れの挨拶を交わして馬車に乗り込んだ。

 ―転生勇者が死ぬまで、残り3961日
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