転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第8章 魔海の大行進編

第8章ー5

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 「はあ。帰って来て早々酷い目に遭ったわ」

 日が暮れ、夕飯を終えた自分は一人風呂に入っている最中だった。あの後、夕飯前まで気を失っていたそうだ。一方エリカさんの方は当然の如く神父様からお説教を受けたそうな。そりゃあ自分を気絶させた挙句扉ぶっ壊しちゃったしな。神父様が怒るのも無理はない。

 「いって!? まだちょっと痛むなー」

 どうやら高速タックルを食らった時のダメージが残っているようで、身体を洗っていると時折腹部とか鼻がズキズキと痛み出す。ミオが魔法で治癒してくれたらしいが、流石に痛みまでは治せないよな。だとすると、この痛みは今日一日は続きそうだなこりゃあ。ほんと災難というかなんというか。

 「にしても、二人共相変わらず元気そうだったな」

 しかし、二人の元気な姿が見られて嬉しかった。エリカさんに関してはハツラツが過ぎる気がしない訳でもないけれども、健康で居てくれてて一安心だ。特に神父様は還暦を超えている。それぐらいの歳になると軽い怪我でも大事になる。前世の頃に父が軽くこけただけで救急車を呼ばれる程の大事になった経験がある。結果的に大した事にはならなかったけど。要するに高齢者の怪我は舐めてはいけないという事だ。

 ここで暮らして十年以上経つが、神父様が病気になっている所を見た事がない。なんなら風邪すら引いてない。自分もあまり病気にならない体質だと思うのだが、それでも何度か風邪になった事はある。そう考えると神父様はかなり健康的な生活を送っているのだろう。酒も煙草もやらないし、出された食事はきっちり食べ、朝昼晩の三食以外の食事は基本取らない。きっと他にも健康に気を遣っているのだろう。にしても、一度も風邪を引かないという事は、よほど丈夫な身体をしているのかもしれないな。そう考えるとちょっとだけ羨ましいかも。

 だが、人間はいずれ病弱になって死ぬ。そういう運命の元に生まれた生物だからこそ心配してしまう。いくら健康体の神父様だとしても。いや、神父様だけじゃない。エリカさんだってあり得なくない話。もっというならミオや自分だって急に倒れる可能性はゼロじゃない。だからこそ、少しでも家族との交流は大事にしておかないとな。

 「つっても、流石に風呂ぐらいは一人でのんびり…」

 「サダメ、私も一緒にいいかしら?」

 「ッ!? エリカさん?!」

 そんなことを思いふけっていると、誰かが風呂場に入って来ていた。いきなり声が聞こえたもんだからつい後ろを振り返ってしまった。するとそこには、全裸の姿で立っているエリカさんの姿があった。
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