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第8章 魔海の大行進編
第8章ー8
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リーヴ村に帰って二日が経っていた。久々の実家で休息した自分達は一旦村を出る為、リーヴ村の入り口付近で馬車を待っていた。夏休み前から立てていた計画である二泊三日の海水浴の約束が二日後に迫っているからだ。
シッター村。このクルーシア王国では数少ない海沿いに位置する村である。ソワレルから南西にある場所で、都市からだと一番近い港町になる。ソワレルからだと一日、リーヴからだと二日程掛かる。自分達は一度帰っておきたかったからリーヴに戻ってきたが、マヒロのようにソワレルから向かった方がぶっちゃけ早いではある。まあ、こっちはこっちで先に他の用事を済ませたかったから仕方ない所ではあるが。
「サダメ、ミオ。二人共、くれぐれも羽目を外し過ぎないようにな」
「はい。分かってますよ」
「大丈夫? 忘れ物とかしてない?」
「うん。ちゃんと前日に確認したから大丈夫大丈夫!」
朝早くから見送りに来てくれた神父様とエリカさん。おまけに二日分の食料まで渡してくれて本当に二人には感謝しかない。
「そうだ。これを持っていきなさい」
「? なんですかこれ?」
神父様はふと何かを思い出したかのように懐から何かを取り出して来た。ひし形の黄色い結晶をあしらったペンダントが二つ。自分とミオの分なのだろうけど、これは一体なんなのだろうか。
「これはお前達を厄災から守る御守りのようなものだ。私が毎日お前達の安全を危惧してこれに神の祈りを捧げておった代物だ。といっても、魔道具ではないから効果は保証は出来ないが、これがあればきっと、神のご加護がお前達を守ってくださることだろう」
「神父様…」
どうやら神父様はこのペンダントに自分達の安全祈願を込めてくれていたそうだ。魔道具ではないようだが、神父様が毎日自分達の為に神様に祈ってくれていた事を考えると、これ以上信頼できる御守りはないな。
「いいかい? 海は地上よりも危険な場所だ。遊ぶのは大いに結構だが、決して危ない真似はしないように。私との約束、守れるかい?」
「は、はい!」
ペンダントを受け取ると、神父様は自分達に注意喚起と約束を取り付けようと右手小指を出してきた。指切りか。この世界でもこういう文化はあるみたいだ。自分はそんな事を思いながらも神父様と指切りを交わした。
「それじゃあ、行ってきまーす!」
「二人共、気を付けてねー!?」
神父様との指切りを交わした後、自分達は到着した馬車に乗り込み、二人に別れを告げてリーヴ村を後にするのだった。
―転生勇者が死ぬまで、残り3956日
シッター村。このクルーシア王国では数少ない海沿いに位置する村である。ソワレルから南西にある場所で、都市からだと一番近い港町になる。ソワレルからだと一日、リーヴからだと二日程掛かる。自分達は一度帰っておきたかったからリーヴに戻ってきたが、マヒロのようにソワレルから向かった方がぶっちゃけ早いではある。まあ、こっちはこっちで先に他の用事を済ませたかったから仕方ない所ではあるが。
「サダメ、ミオ。二人共、くれぐれも羽目を外し過ぎないようにな」
「はい。分かってますよ」
「大丈夫? 忘れ物とかしてない?」
「うん。ちゃんと前日に確認したから大丈夫大丈夫!」
朝早くから見送りに来てくれた神父様とエリカさん。おまけに二日分の食料まで渡してくれて本当に二人には感謝しかない。
「そうだ。これを持っていきなさい」
「? なんですかこれ?」
神父様はふと何かを思い出したかのように懐から何かを取り出して来た。ひし形の黄色い結晶をあしらったペンダントが二つ。自分とミオの分なのだろうけど、これは一体なんなのだろうか。
「これはお前達を厄災から守る御守りのようなものだ。私が毎日お前達の安全を危惧してこれに神の祈りを捧げておった代物だ。といっても、魔道具ではないから効果は保証は出来ないが、これがあればきっと、神のご加護がお前達を守ってくださることだろう」
「神父様…」
どうやら神父様はこのペンダントに自分達の安全祈願を込めてくれていたそうだ。魔道具ではないようだが、神父様が毎日自分達の為に神様に祈ってくれていた事を考えると、これ以上信頼できる御守りはないな。
「いいかい? 海は地上よりも危険な場所だ。遊ぶのは大いに結構だが、決して危ない真似はしないように。私との約束、守れるかい?」
「は、はい!」
ペンダントを受け取ると、神父様は自分達に注意喚起と約束を取り付けようと右手小指を出してきた。指切りか。この世界でもこういう文化はあるみたいだ。自分はそんな事を思いながらも神父様と指切りを交わした。
「それじゃあ、行ってきまーす!」
「二人共、気を付けてねー!?」
神父様との指切りを交わした後、自分達は到着した馬車に乗り込み、二人に別れを告げてリーヴ村を後にするのだった。
―転生勇者が死ぬまで、残り3956日
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