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けやき商編 番外編 亜実の真実
第1話 追及と告白と…
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「鳳城先輩!!」
いちょう祭りも終わり、高須山の木々がようやく色づき始めた11月の終わり。
少し薄暗くなった校門までの道の途中、私は煉の彼女となった後輩に呼び止められた。
「…」
私は一瞬振り返ろうとしたものの、思い留まり何事もなかったかのように、校門へと足を進める。
「鳳城先輩!!美琴です!!嶋尻美琴です!!」
後輩の大きな声に、私はその場に立ち止まる。
チラッと周囲を見渡すと、後輩の大声のせいで、私たち2人は部活帰りのけやき商生達の注目の的となっていた。
「そんなに大きな声を出さなくても聞こえているわ!」
「じゃあ、なぜ立ち止まらないんです!?」
「…あなたと話をすることなんて、私には無いからよ!!」
「…私が煉先輩の「彼女」になったからですか!?」
「…」
「煉の彼女」という言葉に、思わず私は一瞬顔を悲しみに包んでしまった。
「…やっぱり、鳳城先輩は…」
「…あなたには関係のない話よ!!早く煉の元に帰ったら!?」
校門の方向へ向き直った私は、再び足を進める。
刹那、私は後輩に右手をがっちりと握り締められ、歩行の自由を失った。
「そういう訳には行きません!」
「ちょっと!!何をするの!!!」
「私の彼氏に、何で今まであんな酷い仕打ちをしてきたのか。鳳城先輩が、一体何のつもりであんなことをしたのか…」
「そして、鳳城先輩には彼氏がいるというのに、なんで先輩のことを想い続けているのか…」
「…」
「私は知りたいんです!!」
「…それを知ったら、煉を私に返してくれる、というのかしら!?」
「!!!そんなこと、ある訳ないじゃないですか!!」
「…嘘よ。」
「…」
「…そこまで言うなら、話してあげるわ。何故私が、煉にあんなことをしてきたのか。」
「…」
「…あれは、高校1年の文化祭後のことだったわ…」
私は、校門へ足を進めながら、記憶の海を泳ぎ始めた…
***
「鳳城!いや、亜美!!俺はお前の事が好きなんだ!付き合ってくれ!!」
「…」
高1の頃、私と煉は同じクラスだった。
その年の「けやき祭」で私たちのクラスは展示の出し物をすることになり、部活でも「選手とマネージャー」という関係もあってか、「けやき祭」の準備を通して私と煉の距離は一気に縮まった。
しかし、私の中で煉を「男性」として見ようという意識は全くと言っていい程芽生えず、それでも煉と一緒にいること自体にはむしろ心地よさを感じていた私は、煉の想いが私に向けられていることを感じ取りながらも、クラス・部活・放課後と多くの時間を過ごした。
そして、とうとう煉は私に告白をしてしまった。
「…」
「亜美!返事を聞かせて欲しい…」
「…」
「…」
「…」
「鳳城…」
「ちょっと、考えさせてもらえないかな…」
「…」
本当は、私が煉に出すべき「答え」ははっきりと分かっていた。
「あなたを、男性としては見れない…」
だが、「煉といると心地良いこと」「煉は部活のエース」「煉は精神的に発展途上で、今それを崩すと部活の成績に影響が出かねない」「私は部のマネージャーとして、選手の精神を崩す訳にはいかない」…
後半は、最初の理由の言い訳かな…
とにかく、そんな思いが私の頭を駆け巡り、煉に断りを入れるのを躊躇わせた。
「分かったよ亜美。俺、亜美の返事、待っているから…」
「ごめんね、煉。」
「(本当は、私自身あなたに恋愛感情がないことは分かっているのよ。私の返事なんか待たないで、どうか他の人を好きになって…)」
そう言うと、煉はかばんを手に校舎を出ていった。
「(あぁ…私は一体これからどうすれば良いの…)」
「(もうきっと、今までのような友だち以上恋人未満の状態は、きっと維持できない…)」
「(…煉を自然と私から遠ざけるには…やっぱりあの方法しか…)」
私は踵を返すと、自分のクラスへと走っていった…
第2話 に続く
いちょう祭りも終わり、高須山の木々がようやく色づき始めた11月の終わり。
少し薄暗くなった校門までの道の途中、私は煉の彼女となった後輩に呼び止められた。
「…」
私は一瞬振り返ろうとしたものの、思い留まり何事もなかったかのように、校門へと足を進める。
「鳳城先輩!!美琴です!!嶋尻美琴です!!」
後輩の大きな声に、私はその場に立ち止まる。
チラッと周囲を見渡すと、後輩の大声のせいで、私たち2人は部活帰りのけやき商生達の注目の的となっていた。
「そんなに大きな声を出さなくても聞こえているわ!」
「じゃあ、なぜ立ち止まらないんです!?」
「…あなたと話をすることなんて、私には無いからよ!!」
「…私が煉先輩の「彼女」になったからですか!?」
「…」
「煉の彼女」という言葉に、思わず私は一瞬顔を悲しみに包んでしまった。
「…やっぱり、鳳城先輩は…」
「…あなたには関係のない話よ!!早く煉の元に帰ったら!?」
校門の方向へ向き直った私は、再び足を進める。
刹那、私は後輩に右手をがっちりと握り締められ、歩行の自由を失った。
「そういう訳には行きません!」
「ちょっと!!何をするの!!!」
「私の彼氏に、何で今まであんな酷い仕打ちをしてきたのか。鳳城先輩が、一体何のつもりであんなことをしたのか…」
「そして、鳳城先輩には彼氏がいるというのに、なんで先輩のことを想い続けているのか…」
「…」
「私は知りたいんです!!」
「…それを知ったら、煉を私に返してくれる、というのかしら!?」
「!!!そんなこと、ある訳ないじゃないですか!!」
「…嘘よ。」
「…」
「…そこまで言うなら、話してあげるわ。何故私が、煉にあんなことをしてきたのか。」
「…」
「…あれは、高校1年の文化祭後のことだったわ…」
私は、校門へ足を進めながら、記憶の海を泳ぎ始めた…
***
「鳳城!いや、亜美!!俺はお前の事が好きなんだ!付き合ってくれ!!」
「…」
高1の頃、私と煉は同じクラスだった。
その年の「けやき祭」で私たちのクラスは展示の出し物をすることになり、部活でも「選手とマネージャー」という関係もあってか、「けやき祭」の準備を通して私と煉の距離は一気に縮まった。
しかし、私の中で煉を「男性」として見ようという意識は全くと言っていい程芽生えず、それでも煉と一緒にいること自体にはむしろ心地よさを感じていた私は、煉の想いが私に向けられていることを感じ取りながらも、クラス・部活・放課後と多くの時間を過ごした。
そして、とうとう煉は私に告白をしてしまった。
「…」
「亜美!返事を聞かせて欲しい…」
「…」
「…」
「…」
「鳳城…」
「ちょっと、考えさせてもらえないかな…」
「…」
本当は、私が煉に出すべき「答え」ははっきりと分かっていた。
「あなたを、男性としては見れない…」
だが、「煉といると心地良いこと」「煉は部活のエース」「煉は精神的に発展途上で、今それを崩すと部活の成績に影響が出かねない」「私は部のマネージャーとして、選手の精神を崩す訳にはいかない」…
後半は、最初の理由の言い訳かな…
とにかく、そんな思いが私の頭を駆け巡り、煉に断りを入れるのを躊躇わせた。
「分かったよ亜美。俺、亜美の返事、待っているから…」
「ごめんね、煉。」
「(本当は、私自身あなたに恋愛感情がないことは分かっているのよ。私の返事なんか待たないで、どうか他の人を好きになって…)」
そう言うと、煉はかばんを手に校舎を出ていった。
「(あぁ…私は一体これからどうすれば良いの…)」
「(もうきっと、今までのような友だち以上恋人未満の状態は、きっと維持できない…)」
「(…煉を自然と私から遠ざけるには…やっぱりあの方法しか…)」
私は踵を返すと、自分のクラスへと走っていった…
第2話 に続く
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