神聖国 ―竜の名を冠する者―

あらかわ

文字の大きさ
7 / 117

7.  迷いの森 2

しおりを挟む
 一時間ほどかけて森の外周の四分の一を超えた辺りまで進んだが、可笑しな点などは一向に見当たらず、テイトは焦りが募るのを感じた。

 道中で何度かレンリに疲れていないかも確認したが、彼女は笑顔で大丈夫だと答えてくれた。
 その度に顔を少し赤らめるリゲルに、自分のことを言えないじゃないかと文句を言いたくなったが、テイトはその発言を内心に留めた。

 レンリは華奢でか弱そうな見た目に反し、歩き続けても音を上げることはなかった。
 勿論たった一時間、しかもゆっくり歩いているだけであるし、険しい道のりを歩いているわけでもないので、一般の者にとってはなんてことない行程だ。
 貴族のお嬢様であれば慣れない道程だろうなと思うものであったが、レンリは疲れた素振りを一切見せなかった。

(貴族じゃないのかな……それとも)

 出会ったばかりだが、レンリが己の感情を律するのに長けていることだけは一目瞭然だった。
 記憶を失ったことを自覚して震えている姿をテイトは確かにこの目で見ているのにも関わらず、朝食を挟んだ後からはそんな姿を全く見せないことが何よりの証明だろう。

(だから、リゲルはレンリさんを疑えるんだ)

 もしリゲルがそんなレンリの姿を見ていたら、きっと彼女を疑うことなんてできなかっただろう。
 ひょっとすると今この時も彼女は自分たちに疲れを隠して強がっている可能性すらある、とテイトは立ち止まった。

 そんなテイトをリゲルとレンリは不思議そうに見つめた。

「――何? 気になる物でもあった?」
「ここでいったん休憩にしましょう」

 テイトが提案すると、リゲルは一瞬眉を顰めて、それから合点がいったのか了解と呟いた。
 地べたに腰を下ろして荷物から飲み物を取り出すリゲルに倣おうとすると、レンリがばつが悪そうにテイトに声を掛けた。

「……私がいるからでしょうか?」
「違いますよ。いつもこんな感じです。ね、リゲル?」
「そうそう、早ければいいってもんでもないしな。レンリちゃん、ここに座って」

 リゲルは地面に人一人が座れる大きさの布をひき、そこをトントンと叩いてレンリを呼んだ。

「リゲル、そんなことできたんだね」
「バカ言え、俺は紳士だぞ」
「紳士? その言葉遣いで?」
「ご存じなかったの? 僕は紳士でございます」

 ふざけたことを言うリゲルに笑いながらテイトが地面に座ると、続くようにレンリも控えめにリゲルの指し示したところに腰を下ろした。

「それにしても、本当に何にも見つからないな」
 リゲルが溜息をつきながら手に持っていた飲み物に口をつけた。
 心の中でそれに同意しながら、テイトはこれからどうするべきかについて考え込んだ。

「もし、今日明日と探して何も見つけられなかったら、他の魔法使いの情報を追おうか。実はオブリオ島にも魔法使いの噂があって、」
「何を弱気な」

 リゲルは鼻で笑ったが、テイトにとっては深刻な問題だった。

 明日でここを調査して一週間になる。
 これだけの日数をかけて何も得られないとなれば、今していることはただの時間と人員の無駄遣いに過ぎない。
 他にもすべきことは山ほどあるのだから、自分の発言でここに仲間を割いて調査している以上、仲間の徒労を終わらせるのもまた自分の役目である。
 それがテイトの素直な心情だった。

「今更で申し訳ないのですけれど、森の中に入れないとはどういうことなのでしょうか?」

 レンリからの疑問に、テイトとリゲルはパチパチと目を瞬かせた。

「……テイト説明してなかったのか?」
「そういえば、してなかったかも」

 思い返してみると《迷いの森》に魔法使いがいると話した覚えはあるが、この森の詳細に関しては何も伝えていなかった、とテイトは気付いて反省した。
 ここら近辺では誰もが知る有名な場所なのですっかり説明を失念していたこと、そして十分な説明もないままレンリを同行させていたことに、テイトは自己嫌悪しながら手を合わして謝罪をした。

「ごめんなさい、レンリさん。何も言わず連れてきて」
「謝らないでください、少し疑問に思っただけなので」

 レンリが気にした様子もなく微笑むので、テイトは安心して森を指し示した。
「森に入っても、いつの間にか入ったところに戻されるんです。多分見た方が早くて……」

 テイトがリゲルに目配せすると、リゲルは心得たと言わんばかりに立ち上がった。

 リゲルは見ててとレンリに声を掛けると、ずんずんと森の中に分け入った。
 淀みなく進むその姿が草木に紛れて見えなくなる頃に、奥からリゲルがこちらに向かって歩いてきたため、レンリは不思議そうに目を瞬かせた。
 リゲルが自分たちの元に戻ってきた際に、テイトは苦笑してレンリを見遣った。

「こんな感じです」
「言っとくけど、俺折り返したわけじゃないからね。真っ直ぐ進んでこれだから」
 リゲルは両手を挙げてそう釈明した。
 
 レンリは《迷いの森》の本質を理解し、納得したように呟いた。
「凄いです、これが魔法なんですね」
「魔法の中でも、かなり力のある人がやったんだと思います。僕にはこの原理は全く分からないから」
 分かったところで自分が同じ仕掛けをできる気もしないけれど、とテイトは小さく続けた。

「魔法の力は、人によって違いがあるのですか?」
 レンリが小首を傾げた。

 そういえばそれも話してなかったな、とテイトはレンリに向き直った。
「魔法は遺伝するんですよ。親が使えればその子供も魔法が使えるんですけど、片親しか魔法を使えなかったら、子供の魔法は威力が半減するって言われてます」
「そうなんですね」
「後、威力は頭の良さも関係してるみたいで……」
 テイトの声は自然と小さくなった。

 テイトは父しか魔法が使えず、どんなに頑張っても父の威力の半分程度の力しか持たないはずだった。
 父も片親しか魔法を使えなかったと聞いていたので、テイトの魔法の威力は高が知れたものだった。
 故に、お世辞にも頭がいいとは言えない自分の力を補うために、テイトは刺青を入れたのだ。
 それを遠回しに伝えているようで、テイトは少し決まりが悪かった。
 
 そんなテイトに気付いたのか、レンリはテイトから視線を逸らして森の方を見た。

「繊細で、難しい力なんですね」

 魔法をそんな風に表わす言葉を今まで聞いたことはないが、テイトはなんだかその言葉が妙に合っている気がした。

「あの、私も試しに森に入っても大丈夫でしょうか?」

 レンリはどこか期待した表情でテイトとリゲルを見上げた。
 大人びている彼女には珍しくその顔は年相応で純粋に愛らしかったため、テイトは思わず笑みがこぼれた。

「勿論です。あ、足下に気をつけて」

 申し出を快諾したテイトは一人森に足を進めるレンリを見送った。
 リゲルの時と同じように森の方を注視してその帰りをじっと待ったが、幾ら待てども彼女の姿はなかなか見えなかったため、流石に遅すぎではないだろうかとテイトは思わず傍らに立つリゲルと目を合わした。

「――レンリさん?」

 レンリの姿はとっくに視界から消えている。
 一抹の不安が過ぎり、テイトは周囲を警戒しながらリゲルと共に森の中へと足を踏み入れた。
 しかし、彼女の姿を確認できないまま入った場所に戻され、そこでようやく二人は事態を把握した。

「え、どういうこと? レンリちゃんどこ行ったの?」
「分からないけど、森の中に入れたってこと……?」
「どうやって?」
「僕が聞きたい」

 冷静さを取り戻すために、テイトは顎に手を置いて今起こった出来事を順に整理してみた。
 先ずリゲルが森に入れないことを証明して、その次に同じようにレンリも森へと入った。
 その時点では、彼女にも森にも可笑しな点は確認できなかった。
 しかし、どれだけ待とうと彼女が戻ってこなかったため、異常事態かと考えて自分たちも再度入ってみたが、やはり森から追い出されるだけであった。
 その間レンリの姿は全く確認できなかった。
 レンリは本当に森の中に入ったのか。
 もしそうだとしたら、どうして彼女だけ中に入ることができたのか。

 考えれば考えるほど困惑と焦燥感に駆られ、テイトはいても立ってもいられずもう一度森へと向かった。
 しかし、森の中に進めたはずの足は変わらずリゲルのいる場所に戻されるだけであった。

(どうしてレンリさんだけ……)

「……女性だから入れたとか?」
「いや、僕が聞いた話だと村の女性も同じような目に遭って迂回して街に行ったって言ってたから、それは違うと思う」
「じゃあ、なんで」
 動揺からかリゲルの声が少し大きくなった。

「……例えばの話だけど」

 テイトが小さく呟くと、リゲルは先を促すようにテイトへと視線を向けた。
 テイトは逡巡してから険しい顔で口を開いた。

「例えば……森に魔法をかけた人より力の強い魔法使いなら、この森は普通に通り抜けられるのかな?」
「……なんでそんなこと?」

 思いがけない質問にリゲルは戸惑ったが、尋ねてきたはずのテイトが黙って考え込んでいる様子で目も合わなかったため、渋々と返答を探した。
 
「……まぁ、その可能性はないとは言えないんじゃないか」
 
 テイトは僅かに顔を顰めた。

「じゃあ、例えば、魔法の使い方を知らなくても、それって有効なのかな?」
「それは分かんないけど……テイトは何が言いたいんだ?」

 リゲルが焦れたように声を荒げると、テイトはリゲルと目を合わせて悩むように口を開閉させた。

「……リゲルに言ってなかったんだけど」
「何?」
「レンリさん、刺青があったんだ」

 リゲルは目を見開き、それから考えるように米神に手を当てた。
 
 少しの沈黙の後に、リゲルは小さく呟いた。
「……だから、貴族って言ったのか」

 リゲルも知っているのだ。
 刺青が本来、お金を持つ富裕層しか入れることができないものであることを。
 テイトが偶然刺青を入れることができたのは、本当に稀なことであることを。

「もしレンリさんが貴族で、元々威力が強いのに、尚且つ刺青を入れてるとしたら、森の中に入れるのかな?」
「分からないけど、今この状態が答えなんじゃないか?」
 リゲルはそこで言葉を句切り、もしくは、と続けた。
「レンリちゃんの正体が、迷いの森の魔法使いだったとか」

 テイトは、はっと顔を上げた。
 確かに自分の術に引っかかる者はいないだろう。
 それでも、テイトは何かが違う気がしていた。
 自分の推測も、リゲルの推測も。

「お前が俺にレンリちゃんが魔法を使えることを言わなかったことは、まぁ今は置いとくとして――どうする?」

 リゲルはテイトが言わなかった理由を察しているようだった。

 強力な魔法使いを求める自分達の前に現れた刺青を入れた少女。
 戦力として期待しない方が可笑しい。
 それでも、記憶を失い、今にも泣いてしまいそうな表情を見せたレンリに、余計な煩いを与えたくなかったのだ。

「……取り敢えず、もう少し待とう。引き返してくるかも知れないし」
「分かった」

 レンリの無事を祈りながら、二人ただは待ち続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る

ムーン
ファンタジー
完結しました! 魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。 無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。 そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。 能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。 滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。 悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。 悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。 狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。 やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

処理中です...