冴えない社畜、異世界で最凶聖女に地獄指導されて魔王軍に挑む

ワスレナ

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第29話 ダンジョン初日

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 今日はパーティー【勇ましき翼ブレイブウイング】で初めてのダンジョン攻略の日だ。

 約束の時間の十分前になり、私は待ち合わせ場所にテレポートで転移する。グレッグがすでに到着して待っている。

「おはようございます、グレッグさん」

 私の挨拶あいさつにグレッグが気づく。

「よう、おはようタクト。いい時間だ。そうカタい言葉はいらねぇ。グレッグでいいぜ」

「ありがとうグレッグ。じゃあこれからはそうするよ」

 グレッグと話しているとアーノルドが到着する。最後にカーラがやってきた。

「おはよう。ごめんなさい、ギリギリになってしまった」

「いいぜ。これで全員集まったな。少しミーティングをしてから現地に行く」

 グレッグは二~三分ほどでダンジョンに際しての注意事項と報酬について話してくれた。

「報酬は皆で分ける。分けられないものに関してはその場で話し合って誰の物か決める。いいな」

「ああ、わかった」

「それでいいです」

 私とカーラが同意する。アーノルドも腕組みしてうなずく。

「よし、じゃあ今日は第十階層から攻略開始する。ギルドにはもう申請済みだ」

「いきなり十階層ですか? 私レベル二十四で第六階層までしか行ったことが無い……。大丈夫かな」

 グレッグの方針にカーラが不安げに訴える。昨日はほとんど今後の説明がなかったし、当然の反応だと思う。

「俺達でバックアップをする。この方がレベルも上がりやすいだろうし、最初は後衛で構わない」

「わ、わかりました」

 カーラが渋々同意する。彼女のサポートはしっかりした方がいいだろう。

 グレッグが準備を始める。右手の指輪を前にかざす。

「第十階層ポータル、いでよ」

 グレッグの言葉に指輪が呼応し、目の前に青色の移動ポータルが出現する。

「ほお、これは魔法じゃないのか」

「ああ。これはギルドが開発した移動用ゲートだ。登録時に冒険者に付与される指輪で使える」

 そう言えばギルドの受付で冒険者セットをもらった中に入っていたな。後で確認しよう。

「じゃあ入るぞ。ついてきてくれ」

 グレッグがポータルに入る。体が中に吸い込まれいなくなる。アーノルドがそれに続く。

「なるほど。便利だな」

 私が次に中に入ると、青色の空間が一瞬広がるが、すぐに洞窟のような場所に転移する。程よく広い空間で魔物の気配もない。グレッグとアーノルドが待機している。

 少しするとカーラがポータルから出てきた。彼女は要領がわかっているようだ。

「よし、全員そろったな。では行こう」

「あ、待って。みんなに魔法をかけるよ」

 私がグレッグに声をかける。強化魔法と耐性魔法、無効化魔法を重ねていく。

「おお、見違えるほど力が上昇しました」

「うん。これなら下の層でもいけますね」

 アーノルドとカーラが魔法の効果に驚く。まあこれが私の役割だから。

「状態異常の耐性と酸など物体の無効化の魔法もしておいた。とりあえずこれで大丈夫だと思う」

「これは心強いな。サンキューな、タクト。じゃあ行こう」

 アーノルドとグレッグが前衛、私とカーラが後衛で移動する。アーノルドは大楯と銀製の棍棒を持ち大地を踏みしめて進む。

 洞窟は長く続いていたが、やがて広間のような場所に出る。

「来るぞ! 戦闘態勢」

 グレッグが合図する。人間より少し小さいくらいのワームが群れを成してこちらに向かってくる。

「アーノルド、盾頼む」

 グレッグの指図通りアーノルドが前に出て大楯を構える。ワーム達が私達めがけて何かを吐きかけてくる。紫の液体がアーノルドの盾にかかる。

「毒だ。みんな気をつけろ!」

 冒険者セットのひとつ魔物図鑑によると、グランドワームという中レベルの魔物だ。猛毒と麻痺まひ攻撃が厄介ということだ。

 ワームの数が多くアーノルドの盾だけでは防ぎきれそうにない。

聖なる盾セイント・シールド」「神聖なる遮壁ディバイン・カーテン

 私は前衛の前に遮壁、後衛に魔法の大きな盾をそれぞれ出現させる。

「グレッグ、攻撃は任せた!」

「おうよ! 食らいやがれ!」

 グレッグは剣を構えると、一陣の刃を敵に向けて飛ばす。

「剣技・『白刃斬はくじんざん』!」

 グランドワーム達の硬い胴体が切断され、十数匹が絶命する。死体が消え魔石や貨幣が落ちる。だがその後ろから続々とグランドワームが迫る。

「まだまだ! 食らいやがれ!」

 グレッグは構わず白刃斬を連発して魔物達を真っ二つにしていく。

「今日は調子がいいぜ。どんどん来やがれ!」

 グレッグの攻撃が続き、死体はどんどんアイテムに変化して地面に落ちる。長き攻防の末、ようやく魔物がいなくなる。

「よし、落ち着いたな。戦利品を拾うぞ」

 かなりの量のアイテムや貨幣が散乱している。

「ああ、待って。私がやるよ」

 私は吸引バキュームを発動する。散乱している物品がひとところに集約される。

「おお! 便利だな」

「どうする? グレッグに渡せばいいか?」

「いや、アーノルドに預けてくれ。地上に戻ったら分ける」

「了解」

 私はアーノルドのリュックに吸い上げた戦利品をすべて収納する。リュックに『天使の羽毛エンジェル・フェザー』をかける。

「おお! すごく軽い。これは助かります。ありがとう」

「リュック自体に永続効果をほどこしました。今後も大丈夫ですよ」

「すまねえなタクト。少し休憩しよう」

 まだ三十分しか経っていないが、なかなか大変だと理解する。こんな感じでダンジョン初日の攻略は始まったのである。


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