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6・今年度新入部員第一号
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「と、言うわけで。新入部員の紲一絆君だ。皆わかっていると思うけれど、彼は言葉でのコミュニケーションが困難だ。けれど、それだけだ。それだけの、演劇が大好きな普通の獣人だ。はは、部員諸君には、なんだそれだけかーみたいなノリで、彼には接してあげてくれ。紲君は、中々いい性格しているぞ? ずいぶん役者向きだ! はっは!」
やあ、びーっくりした。
部室の扉を開けて現れたのは、予想通りに部長、
ではなく、
顧問の虎先……虎獣人の男教師『虎柄 彼方(とらがら かなた)』先生だった。
どうやら、先生も一絆君のことが心配だったらしく、こうして部活に顔を出してくれたようなのだ。
一応、部長だけでも部員皆の説得には成功していたようなのだが、
こうして顧問も口添えしてくれたおかげで、一絆君の入部は盤石のものとなった。
「うぅん……でも私、上手くコミュニケーションとれるかな?」
「ちょっと心配だよね」
「でもまあ、部長はともかく、本間君がいるし」
「裕喜が一緒なら大丈夫じゃねぇかな?」
「そうだね。さあ皆、それよりも歓迎公演のリハ始めなきゃ!」
まだ、部員の一部では不安の雰囲気が滲んでいたが、
なんか、俺がいればどうにかなるだろう、見たいな様子だった。
部長……いったいどう言って皆を説得したんだ?
「ちょっと部長。どういう説得したんすか?」
「いやいや、説得するまでもなかったよ。ま、次期部長君の人柄かな? 日々の活動、その賜物じゃないかな?」
「……? よくわかんねっす」
っと、それよりも。先輩が言ったとおりに、確かに歓迎公演のリハーサルを始めなければならない。
その間は、一絆君には見学しててもらおうかな……俺の隣にいれば、まあ、雰囲気もわかるだろう。
「よーし。じゃあ今日は先生も見ていこうかな」
「みんなー、虎先見てっけど、まあいつも通りでやろうな。じゃあ演出さん、指示をよろしく!」
演出。それは、裏方役職の一つ。
うちの部活では、一つの演目に対する総監督を意味する言葉だ。
結構大事で、かなり大変で、けれども一番、演劇を作り上げている感のある、やりがいのある役職。
俺の、役職だ。
「っす! えー、皆準備運動と発声練習は……あ、もうした? おっけ。じゃあ、まず通しで一回やってみましょー。音響さん入りで。照明さんは、一度機材を準備して、昨日変えたライトのタイミングを俺と話し合ってからね。通し終わったら、リハ開始の流れで、皆よろしく!」
俺の言葉に、先輩同期問わず、元気な声が返ってきた。
その中に、
「うがー!」
という、なんとも上機嫌な鳴き声が混じっていて、
俺は、皆の前で噴き出して笑ってしまって、
なんか、皆も笑い始めちゃって、
一絆君だけが、ポカンとした様子で俺を見ていた。
うん。俺を、真っ直ぐに。
(大丈夫! 皆、一絆君の返事が嬉しいだけ!)
そう打ったスマホを見せてやれば、一絆君も楽しく笑い始めて、
うん、はは、すげぇや。
今日は最高の新学期の始まりになっていた。
やあ、びーっくりした。
部室の扉を開けて現れたのは、予想通りに部長、
ではなく、
顧問の虎先……虎獣人の男教師『虎柄 彼方(とらがら かなた)』先生だった。
どうやら、先生も一絆君のことが心配だったらしく、こうして部活に顔を出してくれたようなのだ。
一応、部長だけでも部員皆の説得には成功していたようなのだが、
こうして顧問も口添えしてくれたおかげで、一絆君の入部は盤石のものとなった。
「うぅん……でも私、上手くコミュニケーションとれるかな?」
「ちょっと心配だよね」
「でもまあ、部長はともかく、本間君がいるし」
「裕喜が一緒なら大丈夫じゃねぇかな?」
「そうだね。さあ皆、それよりも歓迎公演のリハ始めなきゃ!」
まだ、部員の一部では不安の雰囲気が滲んでいたが、
なんか、俺がいればどうにかなるだろう、見たいな様子だった。
部長……いったいどう言って皆を説得したんだ?
「ちょっと部長。どういう説得したんすか?」
「いやいや、説得するまでもなかったよ。ま、次期部長君の人柄かな? 日々の活動、その賜物じゃないかな?」
「……? よくわかんねっす」
っと、それよりも。先輩が言ったとおりに、確かに歓迎公演のリハーサルを始めなければならない。
その間は、一絆君には見学しててもらおうかな……俺の隣にいれば、まあ、雰囲気もわかるだろう。
「よーし。じゃあ今日は先生も見ていこうかな」
「みんなー、虎先見てっけど、まあいつも通りでやろうな。じゃあ演出さん、指示をよろしく!」
演出。それは、裏方役職の一つ。
うちの部活では、一つの演目に対する総監督を意味する言葉だ。
結構大事で、かなり大変で、けれども一番、演劇を作り上げている感のある、やりがいのある役職。
俺の、役職だ。
「っす! えー、皆準備運動と発声練習は……あ、もうした? おっけ。じゃあ、まず通しで一回やってみましょー。音響さん入りで。照明さんは、一度機材を準備して、昨日変えたライトのタイミングを俺と話し合ってからね。通し終わったら、リハ開始の流れで、皆よろしく!」
俺の言葉に、先輩同期問わず、元気な声が返ってきた。
その中に、
「うがー!」
という、なんとも上機嫌な鳴き声が混じっていて、
俺は、皆の前で噴き出して笑ってしまって、
なんか、皆も笑い始めちゃって、
一絆君だけが、ポカンとした様子で俺を見ていた。
うん。俺を、真っ直ぐに。
(大丈夫! 皆、一絆君の返事が嬉しいだけ!)
そう打ったスマホを見せてやれば、一絆君も楽しく笑い始めて、
うん、はは、すげぇや。
今日は最高の新学期の始まりになっていた。
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