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第十四節 奸計の時・セイル編
第249幕 ゴーレムの弱点
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「さて、それでは皆さん。準備はいいですか?」
辿り着いた場所で、アルディがそう声を掛けると、他の兵士たちが一斉に背筋を伸ばして彼に敬礼していた。
「はい! 大方の準備は完了しております! 斥候からも敵はこのエリアに侵入したという情報を得ておりますので、ご指示があれば、いつでも!」
一際声の大きい声の兵士がアルディに報告してきた。
彼の方もその報告を待っていたようで、ばっと片手を前方に広げて、勢いよく命じた。
「よろしい! それではこれより、ゴーレム無力化作戦を決行します。魔方兵は一般兵と二対三のチームを組んで行動。残った方々はここに待機。速やかにヒュルマのゴーレムを攻略しに行きます!」
『『おおおおぉぉぉぉ!!!』』
周囲に響き渡るような大声と共に兵士たちは次々に配置についていく。霧の浮島のようなこの場所で洗練された動きを見るのは中々様になっていて、力強さを感じる。
「俺たちはどうすればいい?」
「貴方たちは私と共にゴーレムを無力化するのが仕事ですよ。なに、そう難しい事ではありません」
当てられるように勢いづいて聞いてみると、アルディは俺に耳打ちしてきた。それを聞いて、納得すると同時に俺は、そんな戦い方もあるのかと感心したのだった――
――
説明も聞き終えて、再び霧の中への突入。俺たちはアルディと共に『索敵』『地図』の魔方陣を展開して、それを頼りにひたすら歩く。
俺もさっき知ったことなんだけど、この地図は周囲の地形が詳しくわかる以外にもゴーレムなどの魔力で動いてるものもすぐにわかるんだそうだ。
ヒュルマもアンヒュルも、この地図上では全員同じに見える。魔力の量によって認識しているタイプだからだ。
大なり小なりの変動は誰にでもあるし、ぱっと見では区別がつかない。アルディや銀狼騎士団と思える者、それとヘンリーやスパルナは普通より大きいからむしろわかりやすい。
ちなみに俺を除いたらスパルナが一番高く、次いでアルディといった感じだ。こういうわかりやすくするのにはそれなりに魔力を使うし、魔力の流れを観察しているわけじゃないから遠いほど索敵能力が低下する。
が、こういう濃霧で近場にいる誰かを区別するのにはむしろこの方がわかりやすい。
ちなみにゴーレムは魔力の塊だからすぐにわかる。俺たちはそれを目印に進んでいくだけでいいというわけだ。
「皆さん、準備はよろしいですね?」
アルディが小声で息を潜めるように問いかけてきた。
スパルナ、ヘンリーの二人と頷き合って、改めてアルディの方を向いて小さく頷く。
随分進んだおかげで、敵――ヒュルマの軍勢がもう目の前といったところまでやってきていた。
彼らはこの霧の中を注意深く進んでいるようだけど、慣れてない行軍に手こずってる様子だった。
なんとか移動しようと声を出して自分たちのいる場所を知らせているようだけど、こっちからしてみたら丸わかりだ。
「それでは、作戦通りにお願いします」
アルディの言葉に俺たちは出来る限り小さく答え、小さく固まっているゴーレムと数人の兵士がまとまってる場所に静かに向かい、敵に気取られないように魔方陣を展開する。
多分、他の兵士たちも今頃同じものを展開しているだろう。今回の作戦の肝。それは――
「な、なんだ!? 身体が……沈む……!?」
「う、うわああああ! た、助けてくれ……!」
『沼』『地』の二つの起動式で出来たかなり底の深い沼だ。俺たちですら誰かの手を借りなければ抜け出すことが難しいこれを鈍重なゴーレムがなんとか出来るわけもなく、ずぶずぶと大地の海に沈んでいった。
誰か一人の声が上がったと思ったら、次々と色んなところから悲痛な声が上がっていく。アルディの作戦は上手くいったようだ。
『油断しないでくださいね! 相手はあの状態でも攻撃できます。武器を捨てた者だけ、救助してください!』
どんどん聞こえてくる悲鳴に適当に撃っているであろう銃撃が響き……もう隠密に動く必要がなくなったアルディは『拡声』の魔方陣を使って大声でこちらに指示を出しつつ、遠回しに敵に対して降伏勧告を行った。
実際、彼の声を聞いて沼はまってしまったヒュルマの兵士は次々と武器を投げ捨て、助けてくれと言ってきたしな。中には『アンヒュルの言うことなんて信用できるわけがない』とか『邪悪な者に魂を売り飛ばすくらいなら……』とかいって構わず銃で攻撃してきたり、自ら命を絶つ者も多くいた。
それでもこうやって多くの命を失わずに済んだのは、ひとえにアルディのおかげだと言っても過言ではないだろう。ただ、この魔方陣は魔力の消費が多い。後、展開にも時間が少しかかる。今回のように相手の視界を奪うことが出来たからなんとかなったけど、戦闘中に使用するにはリスクが大きい。事前に準備して追い込むような戦い方をしない限り、使うことはないだろう。
「皆さん、ありがとうございます。おかげでこちらに被害もなく、無事に戦闘を終えることができそうです」
魔方陣で作られたであろう霧が徐々に晴れてきた頃。アルディはひとしきり兵士たちに指示を出した後、笑顔でそんな事を言っていた。
周囲ではヒュルマの兵士で抵抗を続けている者も少ないし、今回の戦闘は完全勝利で治めることができたようだった。
辿り着いた場所で、アルディがそう声を掛けると、他の兵士たちが一斉に背筋を伸ばして彼に敬礼していた。
「はい! 大方の準備は完了しております! 斥候からも敵はこのエリアに侵入したという情報を得ておりますので、ご指示があれば、いつでも!」
一際声の大きい声の兵士がアルディに報告してきた。
彼の方もその報告を待っていたようで、ばっと片手を前方に広げて、勢いよく命じた。
「よろしい! それではこれより、ゴーレム無力化作戦を決行します。魔方兵は一般兵と二対三のチームを組んで行動。残った方々はここに待機。速やかにヒュルマのゴーレムを攻略しに行きます!」
『『おおおおぉぉぉぉ!!!』』
周囲に響き渡るような大声と共に兵士たちは次々に配置についていく。霧の浮島のようなこの場所で洗練された動きを見るのは中々様になっていて、力強さを感じる。
「俺たちはどうすればいい?」
「貴方たちは私と共にゴーレムを無力化するのが仕事ですよ。なに、そう難しい事ではありません」
当てられるように勢いづいて聞いてみると、アルディは俺に耳打ちしてきた。それを聞いて、納得すると同時に俺は、そんな戦い方もあるのかと感心したのだった――
――
説明も聞き終えて、再び霧の中への突入。俺たちはアルディと共に『索敵』『地図』の魔方陣を展開して、それを頼りにひたすら歩く。
俺もさっき知ったことなんだけど、この地図は周囲の地形が詳しくわかる以外にもゴーレムなどの魔力で動いてるものもすぐにわかるんだそうだ。
ヒュルマもアンヒュルも、この地図上では全員同じに見える。魔力の量によって認識しているタイプだからだ。
大なり小なりの変動は誰にでもあるし、ぱっと見では区別がつかない。アルディや銀狼騎士団と思える者、それとヘンリーやスパルナは普通より大きいからむしろわかりやすい。
ちなみに俺を除いたらスパルナが一番高く、次いでアルディといった感じだ。こういうわかりやすくするのにはそれなりに魔力を使うし、魔力の流れを観察しているわけじゃないから遠いほど索敵能力が低下する。
が、こういう濃霧で近場にいる誰かを区別するのにはむしろこの方がわかりやすい。
ちなみにゴーレムは魔力の塊だからすぐにわかる。俺たちはそれを目印に進んでいくだけでいいというわけだ。
「皆さん、準備はよろしいですね?」
アルディが小声で息を潜めるように問いかけてきた。
スパルナ、ヘンリーの二人と頷き合って、改めてアルディの方を向いて小さく頷く。
随分進んだおかげで、敵――ヒュルマの軍勢がもう目の前といったところまでやってきていた。
彼らはこの霧の中を注意深く進んでいるようだけど、慣れてない行軍に手こずってる様子だった。
なんとか移動しようと声を出して自分たちのいる場所を知らせているようだけど、こっちからしてみたら丸わかりだ。
「それでは、作戦通りにお願いします」
アルディの言葉に俺たちは出来る限り小さく答え、小さく固まっているゴーレムと数人の兵士がまとまってる場所に静かに向かい、敵に気取られないように魔方陣を展開する。
多分、他の兵士たちも今頃同じものを展開しているだろう。今回の作戦の肝。それは――
「な、なんだ!? 身体が……沈む……!?」
「う、うわああああ! た、助けてくれ……!」
『沼』『地』の二つの起動式で出来たかなり底の深い沼だ。俺たちですら誰かの手を借りなければ抜け出すことが難しいこれを鈍重なゴーレムがなんとか出来るわけもなく、ずぶずぶと大地の海に沈んでいった。
誰か一人の声が上がったと思ったら、次々と色んなところから悲痛な声が上がっていく。アルディの作戦は上手くいったようだ。
『油断しないでくださいね! 相手はあの状態でも攻撃できます。武器を捨てた者だけ、救助してください!』
どんどん聞こえてくる悲鳴に適当に撃っているであろう銃撃が響き……もう隠密に動く必要がなくなったアルディは『拡声』の魔方陣を使って大声でこちらに指示を出しつつ、遠回しに敵に対して降伏勧告を行った。
実際、彼の声を聞いて沼はまってしまったヒュルマの兵士は次々と武器を投げ捨て、助けてくれと言ってきたしな。中には『アンヒュルの言うことなんて信用できるわけがない』とか『邪悪な者に魂を売り飛ばすくらいなら……』とかいって構わず銃で攻撃してきたり、自ら命を絶つ者も多くいた。
それでもこうやって多くの命を失わずに済んだのは、ひとえにアルディのおかげだと言っても過言ではないだろう。ただ、この魔方陣は魔力の消費が多い。後、展開にも時間が少しかかる。今回のように相手の視界を奪うことが出来たからなんとかなったけど、戦闘中に使用するにはリスクが大きい。事前に準備して追い込むような戦い方をしない限り、使うことはないだろう。
「皆さん、ありがとうございます。おかげでこちらに被害もなく、無事に戦闘を終えることができそうです」
魔方陣で作られたであろう霧が徐々に晴れてきた頃。アルディはひとしきり兵士たちに指示を出した後、笑顔でそんな事を言っていた。
周囲ではヒュルマの兵士で抵抗を続けている者も少ないし、今回の戦闘は完全勝利で治めることができたようだった。
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