奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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王都アライアンス 後編

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 俺は人の流れにさからわず、黙って市壁の衛兵たちのまえを通っていく。

 ラテナは害のない生物だ。
 ただ、戦いに身を置く者のなかには、神経質に反応して「それはモンスターなんじゃないか?」と指摘してくるので、これは余計なトラブルを避ける為の行為だ。

「ふくふく」

 俺は路地裏の入り口でラテナも落ち合い腕にとまらせる。

 彼女はそのままピカッと光をはなって、赤髪の女神状態へ変身した。

 俺は目立たないように地味な色合いのローブを渡してあげる。

「王都都内となると冒険者や軍関係者、なにより騎士団もちかくなるからな」
「ずっとお腹凹ませて力んでるのは辛いですけど、ヘンリーのために私、がんばります!」

 ラテナは笑顔で両手を胸のまえでぎゅっと握りしめる。
 
「ところで、どうしてこんな地味なローブなんですか。私、もっとカラフルなのがよかったのですが」
「ラテナは可愛いすぎる。フクロウでも目立つけど、女神状態ならシンプルに美人すぎて人の目を引くだろう」
「えへへ~そうですね、私は可愛すぎますからね、ふくふく、ヘンリーがそういうなら仕方がないですね」

 うちの可愛いペットを者どもの色を見る目に触れさせたくない。
 俺はその一心でこのローブを選んだんだ。

 それに、フクロウのままでは厄介なことが他にもあると事前に想像できた。

「あ、ヘンリー見てください」

 通りにでて歩いていると、空をなにかが横切っていく。
 街の人々も「おお!」と感嘆の声をもらして、みなが指をさして見上げている。

「飛竜だ。空挺騎士団か剣聖騎士団か……どのみち、普段はこの街を飛ばない竜だな」
「私も飛んでたらどうなるんでしょうね?」
「捕まっておやつ代わりにパクッといかれてるかもな」
「ひぃ! 怖いこと言わないでください!」

 という訳で、普段から重宝しているラテナの翼は、しばらく自由には活用できない。

 まったく、厄介なことだ。


 ──しばらく後


 宿屋に荷物とキララをあずけて、俺とラテナは手分けして杖を扱っているだろう店を探すことにした。

 道中、俺は自然と足先がむいたかつての市場に寄ることにした。

 心のどこかで懐かしい顔ぶれに会いたいと思っていたためか、はたまた王都に来たことで、雑用係だったころの日々の食料買い込み業を思い出したからか。

 俺はフードの影から懐かしい市場をすすんでいく。

「あ、懐かしいな」

 俺は市場の店頭によくパンを買っていた店主を見つけた。

 今話しかけでも俺が誰かなんてわからないだろうし、わからせてはダメだ。
 
「こんにちは。良い香りですね」
 
 俺は店主に笑顔であいさつする。

「ん、おうよ、うちのベーカリーで今朝焼いたばかりのパンだ。パンの名前なんてわからねえだろうから、こっちが高いパン、んでこっちが安いパンだ。それじゃどっち買っていくんだい?」

 相変わらず筋肉をひくつかせながら、自然な流れで購入させようとしてくる。
 
「それじゃ高いパンをふたつ」
「ほほう、これは良いところの子かな? だったら、お得意さんになってもらわんとな」

 店主はパンを2つ余計にふくろに入れてくれた。

「安いパンはサービスだ。毎度!」

 気前のいいことだ。
 
 これで今晩の飯は十分だろう。
 いつまでも市場にいては仕方ないので、魔導具店は別方面を探してみよう。

 俺は店主に礼をいって店先をあとしようとし、ふと、思いとどまった。

 そういえば、彼女は元気だろうか。
 リク時代にもっとも付き合いの深かった同い年の少女がこの市場にはいたんだった。

「あの、リゼットって女の子知ってますか?」

 俺がおもむろに店主に話しかけると、彼はトングでパンを並べなおす手を止めて、こちらへ少しこわばった顔を向けてきた。

 あたりを見てみると隣の屋台の店主たちも、こちらを脇目にうかがっている。

「ぼうず、リゼットちゃんの知り合いか?」
「え……いや、そういうわけじゃないですけど……美人だって評判を聞いて」

 愛想笑いしてはぐらかす。

「確かに可愛い子だ。ただまぁ……いや、なんでもない」

 店主の様子がおかしい。
 何かあったんだろうか。

 店主は俺にリゼットはもう店先にはおらず、近くの魔術学校にいるだろうと教えてくれた。

 王都内に魔術学校があると聞いてかなりびっくりしたが、たしかにそういう物があっても不思議ではない。

 俺は店主に別れをつげて、噂の魔術学校とやらに行ってみることにした。
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