奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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王都アライアンス 前編

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 キララを走らせて4日目。
 俺たちは王都アライアンスへやってきていた。
 
「戻ってきた」
「ヘンリー、帰って来ましたよ、私たち」

 高い市壁に囲まれた向こう側。
 そして、開発が進んで市壁におさまらなくなったこちら側。

 二つの街をもつこの景色がなつかしい。
 クエストから帰って来たときには、よくこの雄大なる人の作り上げたフロンティアを誇らしく見ていたものだ。

 ……今は内側にひそむ、汚濁のような暗い部分ばかり気になってしまうが。

 それらにぐるっと360度囲まれるようにして、市壁の内側の最中央に湖があり、その真ん中に岩山があり、さらにその岩山のうえの城壁に囲まれているのが王城だ。

「あの城を攻め落とすのを難しそうですね」
「貴族家がまとめて謀反をおこしても、太刀打ちできるだけの備えがあるらしい。って言っても、俺たちは別に騎士王を暗殺しようってわけじゃない」

 向かうのあの王城ではなく、湖のほとりに広いスペースを確保されてつくられた、アライアンスが誇る不死鳥騎士団の本拠地だ。
 
 毎年、新しい入団者たちが湖に身をしずめて魂を浄化し、騎士団への真の忠誠を誓う──という名目のこの儀式には、3つの騎士団、騎士王、四天王、各地の貴族たち、おおくが出席して儀式の完了を見守る。

 俺は雑用係として当日も休みなく働いていたために、実際に儀式の様子は見ていない。
 
 ただ、まあ、軍をのぞいた国家兵力のほとんどが集結するんだ。
 お祭り騒ぎになるのは間違いない。

「騎士団洗礼式をせいぜい上手く使わせてもらおう」

 
 ──しばらく後

 
 王都の市壁外にある街にたどりついた俺たちは、通りを歩いていた。
 2年と半年。
 久しぶりに帰ってきた王都は相変わらず活気に満ち溢れていた。

 騎士団洗礼式は2週間後に行われる。
 まだまだ時間はあるのに、皆、気がはやい。

「これは何を売ってるんだ?」

 俺はキララの手綱をひいて歩きながら、屋台の店主に話しかける。

「うちは骨董屋さ。このしばらくの祭りのために秘蔵の品を大解放しようってな!」

 定型の挨拶をしてきたあたりで、店主の顔が「ん? 子供じゃねえか」と不思議そうなものにかわる。

「旅の格好してるな。その歳でひとりで王都にやってきたのか?」
「そうなりますね。それほど遠い道のりじゃなかったですよ。すぐ近くです」
「近くってたら、スカイハイから来たのかい?」

 スカイハイ。
 街の空を飛竜が飛びまわっていて、空挺騎士団の本拠地があるっていう都市だな。

「そこです。スカイハイ。騎士団に憧れてるので洗礼式を見に来たんですよ」
「おうおう、まだちいせえのにちゃんと喋るこった」

 店主はニコニコ笑顔でうなずく。
 遠回しに9歳の受け答えじゃない、と指摘されて肝をひやす。

 俺の正体は知られてはいけないのだからな。

「ところでおじさん、ここら辺に魔導具を扱っている店はありますか?」
「おうおう、魔導具っつたら2年前の条約締結以来、アルカマジからどんどん入ってきてるっていうアレか。悪いが俺はそういうの疎くてなぁ。あんまし魔術とか信用してねえんだよ」

 アライアンスの庶民の反応はそれぞれだ。
 もう国交が開かれて2年も経つというのに、いちばんの都会に住む市民でさえ、ヒトが使役した神秘にたいして理解が浅い。

「ただまあ、そういう不思議な道具をあつかってふ店があるとは聞いてるけどな」
「魔法の杖とかですか?」
「そうそう、そういうのだよ。よく知ってるじゃねえか、ぼうず」

 冒険者時代にも治癒霊薬や、洞窟の水を安全に浄化する薬など、クエストに役立つ道具はアイテムショップで飼っていた。
 ただ、知る限りでは杖を大々的にあつかっている店はなかった。
 これも俺が死んでからの街の変化か。
 
 俺は店主にかるく礼をいって、キララをひいて王都へ市壁をめざす。

 魔術や魔導具はまだその多くがアルカマジから仕入れた品物だ。
 手間がかかっている分、アライアンスじゃ、高く取引されているはず……となると、必然的に市壁の外の屋台より、内側で建物に店を構えているところへ行くべきだろう。

「ふくふくー」

 キララを引く俺のもとへラテナがかえってきた。
 まわりの人間に聞こえないように耳打ちしてくる。

「杖を売ってそうな店は外にはないですね」
「そっか。騎士団の兵舎に近づくまえに、武器を揃えたかったけど……仕方ないな」

 王都のなかじゃ何があるかわからない。
 杖なしでも炎も氷も使えるが、やはりあるのと無いのとでは、魔術の威力、精度、魔力消費量に大きな差が出てくる。

 早急に手に入れたいところだ。

「よし、それじゃ市壁の向こうで会おう」
「はい、気をつけてくださいね」

 俺はラテナを空へとはなつ。
 彼女は飛んで市壁を乗り越えて、王都へと入っていった。

 
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