Sランクパーティを追放された雑用係、実は世界最強の【剣豪】だったのを思い出したから異世界無双する

ファンタスティック小説家

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チタン村、到着

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 ーー翌日

 昨晩、ゴブリン&リジェネ・オーガの一団を退けたサムスたちは、この日朝早くから移動を開始していた。

 サムスは地図を確認する。
 もうじきアイアン村に着くためだ。

 チタン村は、アイアン村の手前の道で分かれて、さらに″別世界領域″に近づくことで辿り着ける。

「この腕ってアルカディアでくっつけたの?」

 サムスのとなりを歩くピジョットは、興味津々で彼の右腕をつつく。

 本物のガーディアンと認めてからというもの、ピジョットはサムスの事が気になって仕方がなかった。

 特に機械パーツの隙間のサイバネティックなブルーライトが美しい、黒くてツヤツヤした右腕の事はずーっと、ずーっと質問してどうしても知りたがった。

 当然のように、サムスは鬱陶うっとおしがった。

「言いたくない」
「えー、ちょっとくらい教えてくれてもいいのになー」
「金貨50枚で教えてやる」
「ケチッ、どケチッ! けちけちガーディアン!」

 ピジョットは駄々をこねるかのように、サムスの左腕にしがみつく。

 押し当てられるピジョットの薄い胸にギョッとして、サムスはそそくさと馬車の反対側へ逃げた。

 この二日間くりかえしてるルーティンだ。

「やあ、サムス。我が話し相手になろうか?」

 馬車の反対側へいくと、必ず筋肉野郎バッグズがサムスに話しかけるのもお約束だ。

「いい。黙って護衛しとけ」

 サムスは見向きもせず、ただ地図を眺める。
 
「はぁ、これは手厳しい。でも、我って意外にこういう興味は我慢できないんだよね」
「わふゥ」
「どうして、チタン村へ行こうと?」
「あんたも質問攻めか。『闇夜の鴉』は詮索が大好きなやつが多い」
「それほどでも♪」
「褒めてない」

 サムスの両サイドは、厄介な奴らにはさまれていた。

「少しくらい、いいじゃないか。我らって夜営した中なんだし」
「そうそうー! あたしって結構、美少女だし、こんなに熱心に話しかけてもらえる事もうないかもなんだからね! 本当、大事にしてほしいなー!」
 
「はあ……」

 サムスはわざとらしくため息をつく。

 が、そんなモノで彼らを追い払えるわけもない。

「……ガーディアンになる為に、ずっと昔に故郷を出たんだ。これは戦争終結してから初めての帰郷だ。知り合いが……たぶん、待ってるんだ。チタン村で」

「え? 終結してから一度も帰ってないの?」
「どうしてなのだ?」

「いろいろあるんだ。ガーディアンだからな」

「あ、誤魔化した。けちけち反応アリ!」

 ピジョットがまたしても騒がしくなり始めた。

「ふむ。では、その待たせているという知り合いに会えるといいな、サムス」

 バッグズは顎をしごき、胸筋をピクつかせてエールを送った。

 サムスはただ一言「ああ」と答えた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ここで、お別れなんですね」
 サムスは馬車から馬を外しながら「ああ」と一言だけ答える。

 馬は、報酬を払えないリットンが提示した担保だ。

 サムスは馬にまたがる。

 貴族として乗馬はたしなんでいたので、問題なく乗ることは出来た。

 もっとも、今となってはこの記憶がホンモノかどうか、サムスには明言する事はできないが。

「ねーねー、最後にその腕とか機械鞘とか刀とか、いろいろ教えてくれてもいいんだよー?」
「断る。金貨50枚持ってきたら教えてやるって言ってるだろ」
「むぅーっ!」

 ピジョットはむすっとして「もういいよ!」と拗ねてしまった。

「ありがとうございました、サムスさん。リジェネ・オーガの一団が出たときは、本当にどうなるものかと……とはいえ、お互い無事に目的地にたどり着けそうで何よりです」
「ああ。そっちも残りの道程、油断するなよ」

 サムスはアンガスに薄く微笑み、彼らへ背を向けて馬を走らせ始めた。

「ガーディアン、行っちゃったぁ……」

 セーラは寂しそうにつぶやく。

「僕の馬が……しくっ」
「まあまあ、もうアイアン村も近いですし、新しい子が手に入りますよ。さっ、それじゃ俺たちもさっさとクエスト完了しちまおうぜ」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 リットン護衛『闇夜の鴉』一行とわかれたサムスは、馬の足で軽快に目的地へとむかっていた。

「わふゥ」
「落ちるぞ」

 落馬しそうになるルゥを懐にしまいこむ。

 サムスは新緑のなかを走りながら考えていた。

 あの少女は俺を覚えているのだろうか。
 俺はあの少女を思いだせるだろうか。
 チタン村は俺の本当の故郷なのか。
 
 サムスは考えていた。

「わふゥ!」
「森を…抜ける」

 目の前の光。
 白びかりして明暗のギャップに見づらい向こう側。

 ここを抜ければチタン村だ。

 サムスは明るさに目をぎゅっと細めながら、ついには森を抜けた。

 真上にのぼった太陽のひかりに、目を慣らしていく。

「……っ」
「わふゥ?」

 サムスの視界は良好だ。
 だが、サムスは唖然として、一歩も動くことが出来なかった。

 サムスの見た光景。

 それは、真っ黒になって″燃え尽きた村″であった。

 あの黒煙の臭いがしてきそうなほど、壮絶に燃えたことがわかる風景。

「……」

 サムスは冷静に現実を受け止めながら、馬を前へ進ませる。

 どうしてだろうか。
 サムスには何となく″こんな事だろう″という予感のようなものがあった。ゆえに取り乱さなかった。

 廃村のなかを移動してみると、家屋のひとつも無事なものがなく、ここには人の気配がないことがわかる。

 馬を降りて、適当な焼け跡を調べる。

 サムスは膝を降り、朽ちた家の床に新しい雑草が生えているのを発見した。

「チタン村が燃え尽きてから、時間が経っている」

 サムスはもっと焼け跡を調べてまわることにした。

 ──しばらく後

 調査を開始して数十分後。

「っ」

 燃え尽きた家屋のひとつを見た瞬間。

 サムスの脳裏をあの鋭い痛みが襲ってきた。

 フラッシュバックされるビジョンは、轟々と燃えあがる火炎の柱だ。

 否、それはを描くがごとく、すべてをつつみこむような炎の壁だった。

 村からひとりも逃がさないような死の壁だ。

「ぁ、ぐぅあ!」

 以前よりも強烈な頭痛に、サムスは地面に膝をつく。

《勝利のために喜んで死ぬがいい》
《わたしは、許さない……! 絶対に…!》

 チカチカと切り替わる視界のなか、黄金の槍をもった、金髪長髪の背の高い男が立っている。

 ──その男は高らかな笑い声をあげていた。

「はあ、はぁ、はぁ」

 フラッシュバックがおさまり、サムスはふらふらしながら立ちあがる。

「奴は……………そう、グリフィン……」

 サムスは思い出した。
 『栄光のガーディアン』と呼ばれた、あの男がチタン村を滅ぼしたことを思い出した。

「そうだ、俺は裏切り者のあのガーディアンと、ここで戦い……そして、勝利をもぎ取った」

 サムスの記憶はまだ判然としない。

 だが、忘れてはいけない裏切り者の事は完全に思い出せていた。

「グリフィン、そうだ。あいつが俺の村を……っ、それじゃ、ほかの村民はどこへ?」

 サムスの脳裏をあの少女の顔がよぎる。

 もしかして死んでしまっているのか。
 俺が探しているのは亡霊の影なのか。
 俺の記憶はここで終わりなのか。

 サムスは途方に暮れた。

 その時だった。

「もしもし、そこの若いの」
「っ」

 サムスは背後から声をかけられた。
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