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第三章 路地裏のお姫様
第46話 拳闘士アルドレア
しおりを挟むリングに降り立ち色黒兵士と向き合う。
「お前、ブラッドのところガキだな」
「えぇそうです。カオスっていいます、よろしく」
「俺の名はドーエンだ、よろしくな」
色黒兵士は見た目の割に礼儀正しく、握手を求めて来た。
こういうことされると闘争心が削られるな。
俺から挨拶したのは失敗だったかもしれないと悔やみつつ彼の手を取る。
「おっと!?」
「ナラァッ!」
しかし、突然、色黒は握手していた手を自分の方へ引き寄せて来た。
さらに頭をがっしり掴んできて、ガチの膝蹴りを顔面に叩き込んで来る。
なるほどなるほど、不意打ちという奴らしい。
「はっはっ! やっぱドーエンだな! 誠実なフリしやがってガキにも容赦ねぇ!」
「手加減してやれよー!」
「まじかよあんなん食らったら、死ぬぜあのガキ?」
「素人どもが。ドーエン、せいぜい死なないように頑張れ」
体格差がやや大きかったせいか俺の体が空を舞う。
落ち着いて姿勢を制御しバク宙して着地だ。
不意打ち、これが喧嘩場での流儀らしい。
とりあえずは鎧圧でガードしたのでダメージは入れさせてない。
シャツを脱ぎ捨て上裸になってから構えを取る。
左腕をだらりと下げたボクシングの構えの一種「ヒットマンスタイル」だ。
もちろん師匠に教わった空手的な拳術の中にこんな構えは含まれてはいない。
もしこんな所を師匠に見られたら、怒られてしまうかもしれないな。
だがこれがいいのだ、これが。
「クソッ……硬てぇな」
色黒兵士は膝蹴りをした足を気遣いながら睨みをきかせてくる。俺たちの「距離」を悟ったのかもしれない。
「はは、大丈夫すか?」
「テメェ……」
膝を気遣いながらも男も構えてくる。
苦痛の表情で左膝を抑えているところを見ると先ほどの攻撃は、彼自身にとって致命傷だったとわかる。
当然だ。
思うに接触時の感触からして色黒兵士の膝の皿にはヒビが入っている。
攻撃される瞬間まで剣気圧を抑えていたため俺たちの間に存在する、大きな圧力の差に気がつかなかったんだろう。
「クッ!」
「降参しても構わいっすよ?」
「黙ってろクソガキ!」
「ふむ」
色黒兵士は左足を庇いながら俺を中心に円を描く。
一方で俺は軽いステップで間合いを詰めていく。
接触した感じ色黒兵士の「剣気圧」は大したことがない。
この程度の相手なら十分に遊んでも勝てる。
そういうわけで今回は遊びと実験を兼ねた、ボクシングの構えを採用したわけだ。
今回、俺は自身の練習成果を試そうと思っている。
「くっ!」
俺はなぜボクシングなど使おうとしてるのか。
理由はいたってシンプルなものだ。
格闘技の中で唯一ちょっと知ってたからである。
元の世界の俺の親父は大のボクシングファンだった。
俺は別に格闘技とか好きじゃなかったが小さい頃はよくボクシングの試合を観せに行ってもらったし、大きくなってもテレビで試合観戦する親父と一緒になんとなく観ていたこともままあった。
当時は親父にボクシングについて解説されたものだったが、興味なかったので聞き流していたっけ。
だがあの時の聞きかじった知識が異世界に来てから意味をなすのだから、親父のボクシング講座も無駄にならなかったと言うことだ。
師匠の下で修行を始めてから、俺はレザー流拳術やら剣術の体の動かし方の理を活かす練習をしてきた。
そうすることで、俺はボクシングの構えや動きの理屈を独自に理解することに成功したのだ。
独自の理解と練習法を使って作った独自のヒットマンスタイルだが、それなりに形にはなってきている。
この世界にボクシングを教えてくれる先生はいないので、とりあえず今はこの独自の開発した「レザー流拳術ヒットマンスタイル」を進化させていきたい。
「ふぅふぅ」
色黒兵士との間合いを詰める。
間合い……約5メートルーー。
瞬間、「縮地」を使い一気に間合いを潰す。
「マッ!?」
「ハアッ!」
ーースパバァァァアンッ
左腕をしならせた高速のパンチ。
最速の拳といわれるジャブ、特にこの構えからの左ジャブはフリッカー呼ばれるーー。
あ、でも、待ってちょっと失敗したかもしれない。
俺は色黒兵士を下から見上げて気がついた。
身長差20センチに加えて、だらりと下げた左腕から相手の顔面に目掛けて繰り出したわけだが……これではただのネコパンチなのではないだろうか。
こんな身長差で使うべきじゃないせいでこんかカッコ悪くなってしまうとは。
使ってみて初めて気がついたぜ。
「やべぇぞ! なんだあれ!」
「あのガキのパンチ速すぎてまったく見えねぇ!」
だが俺のフリッカーは一呼吸の間に15発打ち出される高速のジャブだ。
遠目から見てる観客たちの目にすら捉えられていないっぽい。これなら安心だ。ネコパンチ見られてないぞ。
「グゥゥ、アァァッ」
「フッ!」
ーースパパパパンッパパパンッ
色黒兵士は苦悶表情で顔面のガードを固めているが、「剣圧」の膂力で打ち出されるフリッカージャブによって両腕はもうパンパンに腫れ上がっている。
捨てパンチと呼ばれるジャブだが、俺のフリッカージャブは「剣気圧」無しでもろに顔に入れることができれば、1発で相手の意識を刈り取る自信があるくらい強烈なものに昇華されている。
それもそのはず。
なんせ俺の拳は鎧圧という名の金属製グローブに覆われているのだから。
この左ジャブだけでも十分に相手をノックダウンさせることが可能だ。
色黒兵士が隙を見つけてパンチを出してくるが首を振ってかわし、代わりに連続ジャブの応酬を加える。
ーーパパパンッ
「グブゥッ!」
「シッ!」
高速のフリッカージャブを何セットかお見舞いした。とりあえずいったん距離を取ろう。
こちらも息が切れてしまうからな。
呼吸を整えなければ。
それに一連の動作で汗をかきはじめている。
シャツを脱いでおいて正解だった。
もし着ていたらこの前のストリートファイト後のように、酒場から出た後に凍えて苦しんだ事だろう。
「すげぇ! なんだよ今の!?」
「ブラッドのガキとんでもねぇ速さパンチ打ちやがるぜッ!」
「お前見えたか!?」
「あぁ! 腕が消えたところまではな!」
よし、やはりネコパンチはバレてない。
「ァアッ……はぁ、はぁ、ぐぅ!」
色黒兵士は両腕からの出血に加え、先ほどの顔面へのジャブで鼻血と口からも出血もしていた。
順調に体力を削れている。
どうやら俺のボクシングは実戦で役立つレベルくらいにはなっていたらしい。
「ほら! どうしたブラッドのガキ! あの兵士に引導を渡してやれ!」
「もっかいあのパンチ見せてくれぇ!」
「兵士! ガキ相手にへばってんじゃねぇぞ!」
「とんでもねぇガキだ!」
リング周りの空気が勝負を観戦するものから色黒兵士を処刑を見届けるものへと変わっていく。
中年ハゲとデカ男の一戦とそっくりだ。
「ぐぁ、はぁ、はぁ、光栄だ、ぜ……」
「終わらせるか」
ドーエンはどう猛な笑みを浮かべ脇を締めた。
ふふ、光栄か……なら、最後にもう1セット食らって沈んでもらおうじゃないか。
ーーハラァァァンッ!
アーカムの最後のフリッカーは一呼吸で18発。
今夜打ち出した中でも最速の瞬間高速ジャブだった。
ー
酒場「カクル」での小銭稼ぎを終えて店を出る。
店を出る前にタオルで体をしっかり拭いてきたので凍える心配は無い。
俺たちが外に出るともう夜も更始めていた頃合いだった。
「うぅ寒すぎだ、温めねぇと」
アディは懐から杖を取り出して、自分の胸をちょちょん、とつつく。
「そうですか? 僕はポカポカで温かいですけどね」
「そりゃな。あれだけ動き回ってれば温かくもなるだろ」
アディは俺の手に握られた皮袋に視線を落とす。
「アーク……それいくら入ってんだ?」
「あぁこれですか。でもこれほとんど銅貨なんで大した金額じゃないと思いますよ」
「でもお前金貨3枚のレートで勝負してなかったか?」
「あ、金貨3枚でやったんだった、てことは相当入ってるかも」
稼いだ賞金皮袋を持ち上げて頬ズリする。
「対戦相手もそうだが……アーク、あんな大金どこから出てきたんだよ?」
「以前クルクマで騎士を倒した時の賞金ですよ。クルクマの男たちがいたおかげで踏み倒されずに貰えたんです」
「なるほど……まぁそれはいいが、アークそのお金のことは。お母さんには内緒にしろよ?」
「え、なんでですか? こんな大金見せたらきっと母さん驚きますよ!」
6枚の金貨を取り出してアディに見せつける。
「アホか! 俺より稼いだのが知れたら、父親としてカッコつかないだろ! きっと家庭崩壊するぞ!」
「なにその理由……大げさすぎですよ、それに息子にそんなこと言ってる時点でもう父さんはカッコ悪いです」
「お母さんにカッコよく出来れば俺は満足なんだよ」
「はぁ」
父親としてあんまり聞きたくないセリフを聞かされながら、俺たちは宿屋への帰路に着いた。
ー
宿屋に着くとカウンターに人影はなく、もう宿屋の主人も寝てしまったのだとわかった。
「流石に長居しすぎたな」
「やり過ぎましたかね」
あまり足音を立てないようにして、家族で泊まっている部屋へ戻る。
「それじゃなアーク、おやすみ。明日もきっとシヴァの抵抗が予想されるからお前にはシヴァと走ってもらうことになる。寝てしっかり休むんだぞ」
「そうですね。わかりました、おやすみなさい」
部屋の前で別々の部屋に入るべく、ドアノブに手をかけた。
ーーガチャッ
だが、アディが部屋に入ろうとした瞬間、その部屋の扉は内側から開かれた。
「あら2人ともおかえり、ずいぶん遅かったのね」
エヴァがまだ起きていたようだ。
「あぁエヴァ、ちょっとアークと語り合ってたんだ」
「大人の遊びを教えてもらってました。父さん、すごく楽しそうに汗掻いてましたよ」
「アァ! コラっ! そういう冗談はダメだって!」
アディが狼狽して俺の口を塞ごうとしてくる。
「ひょいっと」
「おぉっとと!」
身を翻してかわし部屋に入ることでエスケープだ。
最後に見たエヴァの目は外の寒さも忘れるほど冷たいものになっていたが……まぁ大丈夫だろう。
その晩、隣の部屋から誤解を解こうと頑張る「無敗」のブラッド・キングの声が聞こえてくるのであった。
ー
翌日。
宿屋で朝食をとり宿屋を後にする。
出発までの時間、俺たちはこの町の武器屋を見て回ったりして時間を潰すことにした。
俺は今小金持ちなので買おうと思えば武器くらい買うことは出来たが、特に目星しいものはなかった。
別に剣がなくて困っているわけではない。
むしろ剣ならたくさん持っている。
師匠からもらったブロードソードに「タングストレングス」で買った直剣が3本、そして魔力武器のカルイ刀に昨日もらった蒼骨剣タング・ポルタ。
これら全て今回のお引越しに持ってきている。
なにも戦争をするわけじゃないんだけどね。
「うーん、ナマクラ」
この町に売っている武器は総じてクルクマのものより見劣りする悪品質のモノばかりなように感じる。
きっと兵士たちのために大量生産された鋳造の金属武器が流通しているんだろう。
ともしたらレンガ倉庫の職人たちが鍛造で鍛えて作り上げた武器に比べれば、ただのおもちゃに見えてしまうのは仕方ないか。
まぁそれでも人を殺すのには十分だろうが、俺は良い武器を使い慣れてしまっているので、こういった武器はなるべく使いたくはないものだ。
「アーク、そろそろ行くぞ」
「はい、そうですね」
バンザイデスの町の散策を少しだけしていよいよ王都へ向けて出発することになった。
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