雑魚スキル【観察記録】のせいで婚約破棄された少年は、モンスター達とともに世界を無双する。

ファンタスティック小説家

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 怪書の役割。

 それは、言うなれば『繋がりの安定化』だ。

 エドガーの怪書がなくても指示をだしてモンスターを操る事は可能だ。
 しかし、使役モンスターからの距離と、魔術のかなめである本を手放している間は、この繋がりは不安定になる──と思われる。

「ただ、そうなると睡眠時の説明がつかない。本を抱いて寝てるわけじゃないしな」

 ともすれば、モンスターへの指示が原因か?
 言うなればモンスターへ指示を出すと仮称:通信量のようなものを消費してしまい、怪書を手に持つことは、その通信量をマックスまで回復させる行為だとしたら?

 アルバートはメモを取って、時間と距離、仮称:通信量のおおよその消費率を算出する。

「間違いなさそうだ」

 アルバートは自分の仮説が正しいと確信を得た。

「まあ、手に本を持っておけば問題にはならないな。──次に行こう」

 アルバートの細かな検証は丸半日かけてさまざまに行われた。

 ──10時間後
 
 アダン家への不安感を取り除くために、使用人たちとの距離の近い交流をへて、いよいよ最大の難関に挑むことにした。

 モンスターの怪書への登録だ。

 アルバートは机にひろげた数々の書物と、エドガー・アダンの残した資料に目を通して、この謎の魔術理論をおおかた理解し始めていた。

 ゆえにモンスター登録が、理論的に可能であることにも理屈で理解できていた。

 【観察記録】を手に入れてから何度か試した行為だが、あの時は怪書に目を通すことすら出来なかったので「たぶん、記録されてる」という感覚しか記憶にはない。

 ゆえに、今回が本当の観察記録となる。

「さてと、おじいちゃんのやりたかった事を試してみるかな」

 まだ、資料は書庫にたくさん眠ってる。
 ただまあ、もう概要はわかったし、たぶんいけるんだろ。

 アルバートは肩をまわしながら、モンスターハウスに近寄る。

「わ、ワルポーロ様にご同席をお頼み申し上げたほうがよろしかったのでは…?」

 アルバートと比較的歳の近い12歳のメイド、ティナは主人の背に身をよせながら不安そうにたずねる。

「父さんは今は静養に努めるべきだ。それに俺の心配してる暇があったら、お前がさがっていろ。ていうかなんで付いて来た」
「い、いざという時は、アルバート様の盾になろうと思って……!」

 盾ならよほどアーサーのほうが頼りになるのだが。
 執事長のほうへ顔を向けると、ニコリと穏やかな笑顔をむけて紅茶を飲んでいた。
 
 どうやらあの位置からでもモンスターハウスで飼われてるモンスター程度なら、なんとでもする自信があるらしい。

 アルバートは心強さを感じながら、歩みの遅いティナの手をひいてモンスターに近寄った。

 
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