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情報量 後編
しおりを挟む怪書を開いて、図鑑に登録されていないモンスターをモンスターハウスのなかから探す。
しかしながら、ここにいるのはワルポーロでも使役できる下級のモンスターばかりなためか、すでにその多くが怪書に載っていた。
おじいちゃんが登録したのかな?
アルバートは何気ない疑問をいだきながら、ひとつの檻に近寄った。
「いた。こいつはまだ載ってない」
「未登録モンスター発見ですね。わあ、可愛いです! これはなんていうモンスターなんですか?」
ティナがたずねると、アルバートはちいさな柵からうさぎ型モンスターのラビッテを取り出して手のひらのうえに乗せた。
その瞬間、怪書の空白のページのひとつが、ペラペラペラッと勝手に開かれた,
すこし脂のにじんだ羊皮紙のページに焼きつくようにちいさく煙をだしながら、黒い文字が刻まれていく。
ラビッテを手にのせて撫でたりして愛でていると、数分後には白紙のページにラビッテの項目が追加されていた。
その一部始終を見ていたアルバートは、ひとつ仮説をたてて「次に行くぞ」と、ティナの手をひいて歩きだした。
アダン家にいる未登録モンスターの2種目はコケコッコと呼ばれる鳥型モンスターであった。
「このモンスターはめっちゃ美味しい卵を産む事で有名なんだ。希少モンスターでな、昨日までのアダン家のモンスターたちのなかで一番価値がある財産だ」
「へ、へえ……」
あんまり興味なさそうなティナと隣立って、コケコッコをすこし離れたところから見つめる。
「アルバート様、今度は触らないんですか?」
「情報量の差をつくらないといけないからな」
「へ?」
ティナは主人がなにをしたいのか、その思考を読むことが出来なかった。
その間にも怪書の白紙のページには、コケコッコの項目が、ラビッテの時よりもはるかに遅いスピードで刻まれていた。
──約4時間後
怪書にコケコッコの項目が追加された。
アルバートは確信する。
「【観察記録】でとれる対象の情報量には、かなり差があるようだ」
「待ちくたびれましたよ……はぁ」
つまるところ、危険なモンスターを登録したい場合、遠目から眺めているだけでは、ほとんど情報を獲得できず時間がかかると。
アルバートは「そう上手くはいかないか……」と、たくらんでいた計画を断念する事にした。
「アルバート様、残念そうですね……」
「いやな、霊峰に住むドラゴンを遠目から観察して図鑑登録しようと思ったんだ」
「ああ…それは、素晴らしいアイデアだと思います! ドラゴンをたくさん使役できれば、それはもうすごい事だと、私でも分かりますもん!」
「まあ、もう計画は破綻したけどな」
アルバートは怪書の背表紙でティナの頭をこづき「今日の実験は終了だ」と言い、モンスターハウスをあとにした。
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