37 / 57
たまご計画 後編
しおりを挟む
「アルバートはモンスター達にとって、とても良いマスターですね」
「? なんですか、いきなり」
「このアイリス・ラナ・サウザンドラが力を貸してあげましょう、と言っているんです」
「……言ってましたかねぇ…」
アイリスは腕をまくしあげて、金色の髪をかきあげて素朴な紐で結んだ。
動きやすい姿になると、アルバートからオノを受け取り、蒼い瞳をすこし赤みがかった色にかえて思いきり木をたたいた。
アルバートの時とは比べ物にならない轟音が響きわたる。
一撃で断ち切られた幹が、粉砕された切断面をさらして地面にころがった。
あぜんとするアルバート。恐。
「それじゃ、どんどん倒していきましょう」
アイリスは彼の表情に、自分が役に立てていると確信して、嬉しそうにオノをかつぎなおした。
「ちょ、ちょっとお待ちください」
これからはじまるだろう血の誇示をとめさせ、アルバートはブラッドファング2体をこの場へ召集した。
瓦礫の撤去作業をしてた個体たちだ。
赤い鱗の巨獣が、ボディガードのようにアルバートのかたわらに並ぶ。
そして、「見せてやれ」と主人の一声をうけて、彼らは木を伐採しはじめた。
モンスターの膂力をうまくつかって、彼らは木を根本からたおしていく。
「木の伐採までさせられるのですか。これは使役術の練度もそうとう高いわけですね」
「アダンに不可能はありません。ふん」
「あ、でも、わたしの仕事を奪うのは看過できませんね」
アイリスは鬼のようにオノを振りまわしはじめた。
まけじとブラッドファングたちも木を破壊し続けた。
──この後、3匹の猛獣による壊滅的な森林伐採により、アダン家のまわりの森が風通しがよくなりすぎたのは語るべくもない。
「やりすぎた……」
アルバートは頭をおさえる。
これは、はやめにトレント達の数をそろえて、森の密度をあげなくてはな…。
全部丸見えじゃないか。
「──っと。こんなところでコケコッコ小屋は完成でいいでしょう」
2人の共同作業により、モンスターハウスの隣には、ワイルドな丸太小屋がたっていた。
木材をふんだんに使っているため、自然とサイズも大きくなっている。
ここでコケコッコたちには安心して繁殖してもらう。
彼らは特別なモンスターだ。
なぜなら『銀の卵』という、別の価値を生産しつづけられる貴重なモンスターだから。
召喚する事もできるが、自然に数が増えて、自然と卵を産んでもらって──と、継続した収入源を構築するのは大切である。
【観察記録Ⅱ】は金儲けだけではなく、研究対象としても非常に興味深いものだ。
金に余裕ができれば、この魔術の真髄をよりふかく掘り下げることもできるだろう。
「いずれは、魔術工房の拡張も必用だろうしな……やれやれ」
疲労満載につぶやきながら、アルバートはコケコッコたちを小屋のなかへお招きして、『勝手にお金のなる小屋』の完成を進めていった。
「? なんですか、いきなり」
「このアイリス・ラナ・サウザンドラが力を貸してあげましょう、と言っているんです」
「……言ってましたかねぇ…」
アイリスは腕をまくしあげて、金色の髪をかきあげて素朴な紐で結んだ。
動きやすい姿になると、アルバートからオノを受け取り、蒼い瞳をすこし赤みがかった色にかえて思いきり木をたたいた。
アルバートの時とは比べ物にならない轟音が響きわたる。
一撃で断ち切られた幹が、粉砕された切断面をさらして地面にころがった。
あぜんとするアルバート。恐。
「それじゃ、どんどん倒していきましょう」
アイリスは彼の表情に、自分が役に立てていると確信して、嬉しそうにオノをかつぎなおした。
「ちょ、ちょっとお待ちください」
これからはじまるだろう血の誇示をとめさせ、アルバートはブラッドファング2体をこの場へ召集した。
瓦礫の撤去作業をしてた個体たちだ。
赤い鱗の巨獣が、ボディガードのようにアルバートのかたわらに並ぶ。
そして、「見せてやれ」と主人の一声をうけて、彼らは木を伐採しはじめた。
モンスターの膂力をうまくつかって、彼らは木を根本からたおしていく。
「木の伐採までさせられるのですか。これは使役術の練度もそうとう高いわけですね」
「アダンに不可能はありません。ふん」
「あ、でも、わたしの仕事を奪うのは看過できませんね」
アイリスは鬼のようにオノを振りまわしはじめた。
まけじとブラッドファングたちも木を破壊し続けた。
──この後、3匹の猛獣による壊滅的な森林伐採により、アダン家のまわりの森が風通しがよくなりすぎたのは語るべくもない。
「やりすぎた……」
アルバートは頭をおさえる。
これは、はやめにトレント達の数をそろえて、森の密度をあげなくてはな…。
全部丸見えじゃないか。
「──っと。こんなところでコケコッコ小屋は完成でいいでしょう」
2人の共同作業により、モンスターハウスの隣には、ワイルドな丸太小屋がたっていた。
木材をふんだんに使っているため、自然とサイズも大きくなっている。
ここでコケコッコたちには安心して繁殖してもらう。
彼らは特別なモンスターだ。
なぜなら『銀の卵』という、別の価値を生産しつづけられる貴重なモンスターだから。
召喚する事もできるが、自然に数が増えて、自然と卵を産んでもらって──と、継続した収入源を構築するのは大切である。
【観察記録Ⅱ】は金儲けだけではなく、研究対象としても非常に興味深いものだ。
金に余裕ができれば、この魔術の真髄をよりふかく掘り下げることもできるだろう。
「いずれは、魔術工房の拡張も必用だろうしな……やれやれ」
疲労満載につぶやきながら、アルバートはコケコッコたちを小屋のなかへお招きして、『勝手にお金のなる小屋』の完成を進めていった。
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています
ゆっこ
恋愛
「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」
王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。
「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」
本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。
王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。
「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!
川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。
だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。
だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。
馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。
俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる