雑魚スキル【観察記録】のせいで婚約破棄された少年は、モンスター達とともに世界を無双する。

ファンタスティック小説家

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たまご計画 前編

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 やれやれ、うちのトレントは少し茶目っ気があるようだ。

「モンスターの系統によってクオリティに差異があるのか?」

 うーん、となると怪書による植物系モンスターの召喚は、100%のポテンシャルを秘めた個体ではないのかもしれないな……」

「メシメシ、ミシミシ」
「お前らちょっとなぁ……」

 モンスター使役術といっても、その種類と分野は多岐にわたる。

 アダン家が得意とするのは、エドガーの時代より『獣系モンスター』と相場がきまっている。

 その観点からすれば、ファングやブラッドファング、コケコッコなどの個体が完全なるフルポテンシャル個体でだせるのは納得だ。

 アルバートは新たな発見を手記に書きとめる。

 背後でいつ声をかけようか待っている少女には気がつく気配がない。

「さすがはアルバート。やはり、モンスターたちを自在に使役できるのですか」

 ついに少女は話しかけた。

 普段は硬いその声が、やけにキャピキャピして聞こえてきた。

 あわてて振り返るとアイリスが、晴れやかな笑顔でたっていた。

 相変わらず足音がしない。
 彼女の体質によることなのでもう気になりはしないが、本当に不思議なものだ。

「しかもこれだけのトレントを操るなんて。すごいです、アルバート。これならばサウザンドラ家もアダン家の評価を変えること間違いなし、ですね」
「……それについてはノーコメントです。あと勝手に敷地内を歩かれてはこまります。これはアダン家の防衛に関する重大な機密なんですから」
「ん。言われてみればそうですね。でも、安心してください。わたしはアルバートと絆を結んだ婚約者。裏切るようなことはしませんよ」

 アイリスは宝石のごとき蒼瞳でやさしげに語りかけてくる。

 だまされてはだめだ、アルバート。
 アイリスが好意的な向けてくるときは、決まって俺をろうらくさせようと企んでいる時。
 ここで乗せられては、俺の【観察記録Ⅱ】のすべてを聞き出されてしまいかねない。

 幸いにも、魔術の起点が怪書であること、そして怪書をもちいて怪物召喚をおこなっているところは見られてはいない。

 召喚は全部魔術工房内でおこなうようにしていて正解だった。

「さて、それじゃ僕はまだ仕事がありますので、これで失礼いたします」

 一礼して歩き去ろうとすると、アイリスは凛々しい笑顔を向けてくる。
 さすがは騎士家系の主人。
 凛とした澄まし顔がよく似合う。

 と、そんな感想を抱いてる場合じゃない。

「とりあえず、木でも切るか……ん?」

 オノを手にアルバート得意の筋肉系DIYを始めようする。と、彼は気がついた。

 アイリスがついて来てることに。

「なんでついてくるんですか…?」
「アルバートがなにを始めるのかと思って」
「仕事です」
「仕事とは?」
「……小屋を建てるんです」
「小屋ですか。なにに使うんです?」
「いろいろです」
「はぐらかすのは禁止ですよ、アルバート」
「はぐらかしてません」
「仕方ないですね。質問形式にしましょう。それは住居ですか?」

 だめだ。
 アイリスの追求をかわせそうにない。

 彼女がこのように粘り始めたら自分ではどうにもならない事を経験上知っている。

「……はぁ。人間の住処ではないです」
「では、モンスターの住処ですか」
「そのとおり。圧倒的に非力でストレスをためこんでいるだろうコケコッコ専用の小屋というわけです」
「コケコッコ? たしか『銀の卵』を生む貴重な子でしたね」
「さすがはアイリス様。よくご存知で」
「ふふ、アルバートに教えてもらったのですよ」

 そうだったかな。

「とまあ、恥ずかしながら当家には財政的な余裕がありませんので、自分の手でつくろうと思いまして、コレ、というわけです」

 アルバートはオノを持ち上げてみせた。

 彼女に離れる様子がない。
 ならばこのまま始めようか。

 アルバートはため息をついて、ちょっと良いところみせとこう、と存外にやる気をだす。

 身体強化魔術をつかって、全力でオノをふりぬいた。

 オノは一撃で木の腹にふかく食い込んだ。
 腹の底に響く良い音が、空へこだまする。
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