雑魚スキル【観察記録】のせいで婚約破棄された少年は、モンスター達とともに世界を無双する。

ファンタスティック小説家

文字の大きさ
45 / 57

共同研究 後編

しおりを挟む
 
 ──しばらく後

 アルバートとアイリスは、生温い沈黙をかかえたまま、されど手を繋ぎながら屋敷へ戻ってきた。

「おかえりなさいませ、アルバート様」
「アーサー、俺の同伴ありきでアイリス様に魔術工房への入室を許可した」
「かしこまりました。では、以降はそのように」

 アーサーはうやうやしく一礼をした。
 サアナがブラッドファングと隣たって獣道から出てきた。

「彼女には許可をだしてくれるのですか、アルバート」
「……いえ、あくまで現在取り組んでいる研究には、アイリス様にだけご参加をいただきましょう」

 アルバートとしては、せっかくの2人の時間に余計な客人を混ぜたくはなかった。

 とはいえ、素直に納得するサアナではない。

「アルバート・アダン、私を受け入れないとは貴様どういう了見だ!」

 アルバートは「フッ」鼻で笑ってあしらう。

「貴様ぁああ!?」
「まあまあ、落ち着いてサアナ……!」

 こいつはサウザンドラ家の腰巾着だ。
 正式に魔術の修練を積んでもいないのに、デカイ面をされてはこまる──と、アルバートなりの基準において、サアナは尊敬するに値しない人間なのだ。悪いな。

「ぐぬぬっ、このこの、アルバート・アダンめ……!」

 サアナはジタバタしながら、アーサーに連れていかれた。

 邪魔者を消しさったアルバートは、さっそくアイリスを連れて書庫をぬけて、魔術工房へおりてきた。

「では、まず今取り組んでいる魔術を見ていただきましょう」

 アルバートは彼女へ、刻印【観察記録Ⅱ】について、現状、判明している多くを話した。

「え、それは魔術協会の禁忌に抵触してるのではないですか?」
「そうでしょうか? 僕はそうは思いません。解釈の違いだと思いますよ、ええ」

 アルバートはしらばっくれて話を進める。

 アイリスとしては、この先に進んでいいのか少しだけ不安であった。
 ただ、それでもアルバートが重大な機密を打ち明けてくれたことが嬉しかったので、彼女は共犯者になる覚悟を決めた。

「とても難しそうですね。これまで使役学は専門としてきませんでしたが、アダンとの仲を深めるために勉強はしてきたつもりです。なにか力になれるかもしれません」

 ──3日後

 アイリスとアルバートは、1日のほとんどを書庫と魔術工房、モンスターハウスのなかで過ごしていた。

「この黒い液体は、我が家の学問領域でいうところの『錬成血液』に類するものな気がしますね」

 数日間の観察と検証をへて、アイリスは結論づける。

「血の研究者たるサウザンドラの魔術なら、崩壊する怪物の自壊をふせげるかもしれません」
「それは……実に興味深いですね」

 アルバートは邪悪な笑みをふかめる。
 アイリスが好きな顔であった。

「? どうしました、アイリス様、ニヤニして……」
「んっん! 何でもないです。と、とりあえず黒液に、わたしの血を混ぜて見ましょうか! なにか変化が起こるはずです」

 ぐつぐつと煮える湯のようにうごめく黒い液体へ、アイリスは短剣をとりだして、指先から血を垂らした。

 瞬間、黒い液体は大爆発をおこした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...