雑魚スキル【観察記録】のせいで婚約破棄された少年は、モンスター達とともに世界を無双する。

ファンタスティック小説家

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結合剤を求めて 前編

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 眼前で液体がふくれあがる。
 アルバートはすぐさま強化魔術を使おうとするが、発動はまったく間に合わなかった。

「アイリス!」
「アルバート!」

 交換される互いを案じる叫び声。

「? …あれ?」
「大丈夫ですか、アルバート!?」

 アイリスのことをかばったつもりが……。

 彼が気がついた時、彼は鬼気迫る表情をうかべ、いつの間にか彼女に抱っこされて壁際にいた。

 不可解な現実に、アルバートは「あぁ、【錬血式】のチカラですか……」と納得し身震いしながら声をもらす。

「今の爆発に反応できるんですね……」
「もちろん。見直してくれましたか?」
「そりゃ、もう」

 アルバートはアイリスという少女を怒らせてはいけないと確信した。

 床に下ろしてもらい、怪我がないことを確認して、爆心地をおがみにいく。

 床にはグロテスクな二つ頭のファングの遺体があるばかりだ。

「爆発ですね」
「みたいです。なぜ爆発したのでしょうか」
「一般論として触媒の強度にたいして、内包する魔力が過剰だと、このような結果になりやすいですね」
「たしかに。では、アイリス様の血では、魔力が過剰すぎると」

 というわけで、アルバートはアイリスより弱そうな奴に協力を仰ぐ事にした。

 書庫前へ出てきて、待機していた銀髪の少女に話しかける。

「アルバート・アダン、なんの用だ!」
「血をもらおうと思いまして」
「断る!」

 アイリスが説得したところ、サアナは渋々アルバートへ血を提供することに同意してくれた。

「勝手にあたりの物にさわらないでくださいね」

 アルバートはにこやかだが、圧のある声でサアナを牽制して魔術工房へ招きいれる。

 サアナは口をへの字に曲げて「アイリス様、あやつを信用してよいのですか?」と耳打ちする。

「大丈夫ですよ。アルバートは先にわたしを信用してくれたのですから」

 そう言われてサアナはしょぼんとする。

「で、アルバート・アダン、どうすればいいんだ」
「そうですね、いくつかサンプルを用意してしたので、これらに血を垂らしてください。順番にです」

 アルバートはそう言って、番号をふった札をゆかのうえにたてていく。
 サアナを招き入れる前に発動しておいた怪物召喚が時間差で発動して、床から黒いグツグツと煮える液体がでてきた。

 サアナは緊張した面持ちで、1番に血を垂らした。

 1番はファング2体分の『元』だ。

「これでいいのか」
「っ、即爆発しない? これは好調の予感がする」
「話を聞いているのか」
「ん? しかし、血液と黒液が結びついている……この結合現象はどこかで見た気がするな」
「おい、アルバート・アダン、私の話を──」

 サアナは不機嫌に声を荒げようとした。

 しかし、その瞬間、アルバートは「あっ!」と声をあげて、サアナに近寄った。

「へ?」
「頭をさげろ!」

 アルバートはサアナを抱えこむようにだきしめて、重厚な作業机の下に転がりこんだ。

 すぐのち、爆発音が聞こえて血肉の雨が魔術工房を盛大に汚してしまった。

「ええぇぇえ?!」

「チッ、また失敗か」
「みたいですね。惜しいところまで行ったのですが」
「根本的に血では──あるいは、血だけでは足らないのかもしれませんね……」

 目を点にしてうろたえるサアナの事を完全に無視するアルバートは、「あ、」となにか閃いたように声をもらした。
 
「サアナ……お前、もしかしてスライムなのでは?」
「何をとち狂ったこと言っているんだ、アルバート・アダン」
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