異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家

文字の大きさ
157 / 306
第五章 都市国家の聖獣

左手の法則

しおりを挟む

 ハブレスは数日前の事件を思いだす。

「今は騎士団に拘留中です。時期が来れば相応の処断をくだすことになりますが……それがどうかされたのですか」
「いや、実は彼女は我らの敵ではないかもしれない……わん」

 カイロはヒクヒクおひげを動かして「彼女の倒した上澄みは、もしかしたらすでに敵に操られていたのかもしれない、わん」と続けた。

「敵……では、あの少女は、カイロさまの敵と戦う存在だと?」
「可能性の話わん。だが、無視できる可能性ではない。我がすこし話をしようと思っているわん」


 ────


 ──時は現在

 ハブレスは戦慄の顔で市街地へ落下していく巨人たちを目撃した。
 巨人たちが光の柱でつくった地上の穴は深く、それがどこまで続いているのかわかったものではなかった。

 穴の底から二つの人影が飛びだして来た。
 全裸の老人たちだ。荒垣シェパードである。
 ハブレスは奇想天外な光景に理解が追い付かない。

「カテゴリー4のクソカスに、まさかスルトを使い捨てにさせられるとは思わなかったよ。とんだ誤算だよね、わっちとしたことが」

 ハブレスは空を飛ぶその老人に驚愕を隠せなかった。
 ただ、なんらかの対処をする必要があったので、すぐさま騎士団を動かそうと、執務室を飛びだそうとする。
 
「ハブレス」
「っ、あ、あなたは……どうしてここに」

 扉の前、黒いコートをなびかせる少女が立っていた。
 背後にライトグリーンの蛍光色の模様が刻まれた黒い直方体が浮いている。
 彼女の身体よりずっと大きく、威圧感を感じる無機質な箱だ。

(キサラギ……! まさか、勝手に地下牢から出て来た?)

「わ、わたくしに復讐しに来たんですか?」

 キサラギはじーっとハブレスを見つめる。
 ハブレスはぷるぷる震え、机のうえの小杖に手を伸ばす。

「アレはキサラギが倒さなければいけない。これまでお世話になった。ありがとう」

 キサラギは空飛ぶ荒垣を指さして言う。

(っ、もしかして、カイロさまの敵対者というは、あの飛んでいる老人でしょうか……? ていうか、お世話になったって……犯罪者として拘束してただけですが……)

「この城での思い出は一生忘れない」

(それはいつか恨みを返しに来るとことですか……?!)

 キサラギはブラックコフィンから飛行ユニットを展開した。
 天使の翼のようなオシャレな外付け装備だ。
 磁力で背中に固定すると、キサラギ自身がふわりと浮きあがった。

 次にブラックコフィンがガバっと開き、伸びて3mほどの砲身になった。
 航空母艦のカタパルト装置のようなそれに、天使の翼を装備したキサラギがふわりと乗る。とはいえ、足はついていな。あくまで浮いている。

 パリパリと音が鳴り始めた。
 空気を焦がすソレは、強力な磁界が発生している証拠だ。

「な、なんであなたまで浮いてるんですか……っ!!」
「左手の法則」

 磁界に強力な稲妻が駆けぬけた。
 磁場のなかでは電流を流すと力が発生する。

 ひと際、激しく雷が輝いた瞬間。
 破裂音が鳴り、執務室の窓が一斉に割れた。
 可変レールガンに変形したブラックコフィンが、キサラギの体をマッハ15で撃ちだした音だった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...