異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家

文字の大きさ
220 / 306
第七章 魔法王国の動乱

王都到着

しおりを挟む


 ローレシア魔法王国は穏やかな土地に恵まれている国だ。
 深い森と脈々と連なる霊峰のイメージをもつアーケストレス魔術王国とはある種、正反対の印象をもつ領土を誇る。
 王国内の多くを平野が占めており、どこへいってもたいていは殺風景な地平がつづくことになる。これには魔法王国が1年を通して冷帯的気候をもっていることが理由として挙げられる。

 子供の頃、異世界の気候に関して興味を持ち、観察と記録をつけていたので、1年480日のうち360日が長袖を着て過ごしていたことを知っている。うち冬二月は毎日のように雪が降り積もり、それいがいの320日でもちょくちょく雪が降る。

 そんな寒い国なので、魔法王国には平らな光景が多い。
 王都への道のりもそんな殺風景な平野がつづく街道をひたすらに進むものだった。
 幸いにも王都までの道のりには近い間隔で村や町などのコミュニティが形成されていたため、野宿をせずに済んだ。聖神国や都市国家連合では野宿と宿屋を使えるわりあいが半分半分くらいだった。野宿はやっぱり何かと嫌なものだ。アンナと俺のどちらかは見張りをしていないといけないし、地理をある程度把握して危険じゃない場所に設営を行うため余計な気を遣う。なにより準備が面倒くさい。
 その点、聖神国ほど国土が広くない魔術王国や魔法王国は移動が楽ちんだ。
 とりわけ魔法王国は森が無いので、本当にモンスターというものに出会わない。
 たまに平原をかけるラビッテという小型のうさぎモンスターを見かけたり、タッカが飛んでいるのが目につくくらいだ。

 6日ほどで、10コほど村と町を越え、俺たちは王都を視界にとらえた。
 
「あれが王都の外壁ですね」
「うん。北西側から見るのははじめてかも」
「アンナは王都に行ったことが?」
「何回かあるよ。アーカムはないの?」
「僕の人生はクルクマでの10年と、バンザイデスでの3年がすべてでしたから」
「キサラギの人生は2年の放浪です、お兄様」

 なんか話に入って来たけど、君はおかしいのよ。

「途中でマナニウム電池が切れなくて本当によかったですよ」
「キサラギは主人公です。主人公には補正がかかると如月博士も林音博士もおっしゃっていたので、マナニウム電池はたぶん持つと確信していました」

 それは最高の頭脳を誇るAIのくだす決断じゃないんよ……。

 王都にたどり着き、商人たちの馬車が並ぶ列に加わり、順番を待ち、王都西門をくぐって王都内へ。

 王都ローレシアは1,000年の昔から続く古い都としての側面を持ち、道行く先々で古ぼけたひび割れの遺跡跡地を見つけることができる。遺跡街とも呼ばれる古い時代の遺物を色濃く残した地区もあるらしい。
 
 古めかしくも流行の最先端を行く、伝統と急進が共存する不思議な都市であった。
 はじめて来る王都にやや浮かれ気味であるが、緊張感が漂っているのはひしひしと感じた。
 道行く者たちの表情にはどこか不安が宿っている。

 通りかかった魔法王国騎士団本部からは、大きな馬車が隊列を組んで出発していた。おそらくは泣き声の荒野へと赴くものだろうと思われる。
 合戦というものがどれほどの戦いになるのか、いまいち想像はできないが、おそらくは何千、何万人の人間が動員される大規模な戦いだろ思われる。

 隊列の外側を歩く騎士に並列して歩き、すこし強引にたずねる。
 
「すみません、この馬車はキンドロ領のほうに行くんですか?」
「ん? ああ、そうだぞ、坊や。泣き声の荒野で合戦があるんだ。反逆者たちをこのままにしておくわけにはいかない。ゆえに我々も急ぐのだ」
「今から行って間に合うんですか? 遅くないですか?」
「開戦には間に合わんだろうな。なにせ急な話だった。各々領地からの派兵にバラつきがあるのは仕方がないんだよ」
「いや、でも……」
「領主さまたちも難しい判断を行われているのさ。。坊やにはわからないだろうがな。だが、援軍にこそ意味がある場面も戦争ではおおいものだぞ。長期化した際には後続の厚さが肝要になるからな。戦とはそういうものだ」

 騎士はそう言うと「ほら、もう行った行った」と、手を振って俺を追い払うようにした。

 アンナとキサラギのもとへ戻ってくる。

「どうだった」
「王族派貴族たちの足並みはそろってないみたいですね」
「だろうね。派閥なんて言っても、結局は自分の領地が真に危機におびやかされないと足腰は重たいものだよ」
「そうですね。でも、いまからでも王都からの出兵があるのは嬉しいことです。地理的に孤立無援もありえましたから」

 ともすれば、きっと合戦場にもいくらかの王族派貴族からの派兵が間に合っていると推測できる。
 そうであれば、貴族派貴族連合の軍を押し返すことができるかもしれない。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...