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第八章 迷宮に潜む者
除細動器
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緒方の悲鳴がこだまするなか、俺たちはキサラギのもとまで戻ってきた。
「修理を開始します。アンナはここにいてもつまらないと思いますよ」
「うんん、見てるよ。見てたい」
「なら構いませんが」
俺はキサラギのスリープモードを解除する。
「ん? 起きない? キサラギ? キサラギちゃん?」
だめだ。反応が無い。
『もしかしたらスリープモード中にエネルギーが切れたのかもしれん!』
嘘だろ。
どうするんだよ。
俺には工学の知識はあるけど、最新のロボット工学、ましてやアンドロイドは専門外もいいところだ。とても太刀打ちできない。
「どうしたのアーカム」
「少し問題が発生して……いえ、大丈夫です、なんとかしますよ」
本来はキサラギに目覚めてもらい彼女が自分自身を修理するはずだったが、想像以上にエネルギー消耗が激しかったのだろう。キサラギはスリープモードで持ちこたえようとしたが、間に合わなかったのだ。
この世界でキサラギの身体構造を知っているのはキサラギだけだ。
なんとか直観だけでロボット治せないか?
『相当に直観を消耗するぞ!』
直観を消耗するってなに……。
『知らんのか! 直観は消耗品だ! 冴えわたった分だけ鈍くなる! 鋭い直観を発揮するほどしわ寄せがあるということだ!』
初めて知ったんだけど。
なんでそういう重要なこと言わないのよ。
って俺はなにと話してるんだ。そろそろまじで病気だよ。
「ロボットを直観だけで直すのは消耗しすぎるか……いや、待てよ、そうかその手があったか」
「アーカム、なにか閃いたんだね」
「ええ。キサラギに起きてもらうことにします」
俺は異世界転移船のエンジンルームへ向かった。
プランはこうだ。船のマナニウムエンジンを修理し、そのエネルギーでキサラギを再起動、そして修理は彼女にやってもらう。
元々異世界転移装置の設計・開発をしていたので、エンジンに関しては一角のものである。ロボットを修理するより、エンジンを修理したほうがまだ直観の消耗は抑えられるだろう。以前は重要なパーツがショートしておしゃかになってたし、なにより俺の時代より技術が進んでいて委縮してしまったが、本気を出せば理解できないことはないはずだ。
俺はその日からエンジンの修理を開始した。
──翌日
直観と優秀なパワー系助手のおかげで作業は着々と進んだ。
錆びついた俺の工学知識も油をさせば回りだすもので、存外、自信をもって作業を進めることができた。総評としては知識6割、助手1割、直観3割の作業であった。
異世界転移船を動かす強力なマナニウムエンジンを再起動することに成功する。
直後、船全体にエネルギーが再供給された。
必然、各通路のライトが点灯し、死んでいた船はわずかに息を吹きかえした。
ただ、ショートした時に破壊された危機はエンジンだけではなく、高度な科学を用いられた電子機器全般であったらしく、コンピューターはひとつも再起動することはなかった。
通路の照明などもところどころしか明るくなっていない。
船全体の回復具合で言えば、死んだ遺体が一回ビクンっと痙攣した程度だ。
「でも、キサラギひとりを動かすには十分なはず」
俺はケーブルを引っ張って来て巨大なマナニウムエンジンとキサラギを接続する。
「目覚めよ」
ビヂリッ。激しく空気が焦げる音が響き渡り、背筋がぞっとする。
キサラギのボディへ膨大なマナニウム性エネルギーが送り込まれ、彼女に内蔵された複雑怪奇な機構により電気エネルギーへ変換がはじまった途端、強烈なスパークが発生した。
ショートした? なにか重要なパーツが負荷に耐えかねてぶっ飛んだか?!
完全にやらかした。
「おはようございます、兄様」
黄色い瞳孔の芸術的な瞳がこちらを見つめて来ていた。
俺は膝から崩れ落ちた。
よかった。うまくいった。
「キサラギ、おはよ」
「おはようございます、とキサラギは嬉しそうなアンナへ目覚めの挨拶をします」
「キサラギちゃん、よく戻ったよ」
「キサラギは兄様がキサラギを大好きすぎる事実にやれやれと肩をすくめます」
相変わらずなようで何よりだ。
「修理を開始します。アンナはここにいてもつまらないと思いますよ」
「うんん、見てるよ。見てたい」
「なら構いませんが」
俺はキサラギのスリープモードを解除する。
「ん? 起きない? キサラギ? キサラギちゃん?」
だめだ。反応が無い。
『もしかしたらスリープモード中にエネルギーが切れたのかもしれん!』
嘘だろ。
どうするんだよ。
俺には工学の知識はあるけど、最新のロボット工学、ましてやアンドロイドは専門外もいいところだ。とても太刀打ちできない。
「どうしたのアーカム」
「少し問題が発生して……いえ、大丈夫です、なんとかしますよ」
本来はキサラギに目覚めてもらい彼女が自分自身を修理するはずだったが、想像以上にエネルギー消耗が激しかったのだろう。キサラギはスリープモードで持ちこたえようとしたが、間に合わなかったのだ。
この世界でキサラギの身体構造を知っているのはキサラギだけだ。
なんとか直観だけでロボット治せないか?
『相当に直観を消耗するぞ!』
直観を消耗するってなに……。
『知らんのか! 直観は消耗品だ! 冴えわたった分だけ鈍くなる! 鋭い直観を発揮するほどしわ寄せがあるということだ!』
初めて知ったんだけど。
なんでそういう重要なこと言わないのよ。
って俺はなにと話してるんだ。そろそろまじで病気だよ。
「ロボットを直観だけで直すのは消耗しすぎるか……いや、待てよ、そうかその手があったか」
「アーカム、なにか閃いたんだね」
「ええ。キサラギに起きてもらうことにします」
俺は異世界転移船のエンジンルームへ向かった。
プランはこうだ。船のマナニウムエンジンを修理し、そのエネルギーでキサラギを再起動、そして修理は彼女にやってもらう。
元々異世界転移装置の設計・開発をしていたので、エンジンに関しては一角のものである。ロボットを修理するより、エンジンを修理したほうがまだ直観の消耗は抑えられるだろう。以前は重要なパーツがショートしておしゃかになってたし、なにより俺の時代より技術が進んでいて委縮してしまったが、本気を出せば理解できないことはないはずだ。
俺はその日からエンジンの修理を開始した。
──翌日
直観と優秀なパワー系助手のおかげで作業は着々と進んだ。
錆びついた俺の工学知識も油をさせば回りだすもので、存外、自信をもって作業を進めることができた。総評としては知識6割、助手1割、直観3割の作業であった。
異世界転移船を動かす強力なマナニウムエンジンを再起動することに成功する。
直後、船全体にエネルギーが再供給された。
必然、各通路のライトが点灯し、死んでいた船はわずかに息を吹きかえした。
ただ、ショートした時に破壊された危機はエンジンだけではなく、高度な科学を用いられた電子機器全般であったらしく、コンピューターはひとつも再起動することはなかった。
通路の照明などもところどころしか明るくなっていない。
船全体の回復具合で言えば、死んだ遺体が一回ビクンっと痙攣した程度だ。
「でも、キサラギひとりを動かすには十分なはず」
俺はケーブルを引っ張って来て巨大なマナニウムエンジンとキサラギを接続する。
「目覚めよ」
ビヂリッ。激しく空気が焦げる音が響き渡り、背筋がぞっとする。
キサラギのボディへ膨大なマナニウム性エネルギーが送り込まれ、彼女に内蔵された複雑怪奇な機構により電気エネルギーへ変換がはじまった途端、強烈なスパークが発生した。
ショートした? なにか重要なパーツが負荷に耐えかねてぶっ飛んだか?!
完全にやらかした。
「おはようございます、兄様」
黄色い瞳孔の芸術的な瞳がこちらを見つめて来ていた。
俺は膝から崩れ落ちた。
よかった。うまくいった。
「キサラギ、おはよ」
「おはようございます、とキサラギは嬉しそうなアンナへ目覚めの挨拶をします」
「キサラギちゃん、よく戻ったよ」
「キサラギは兄様がキサラギを大好きすぎる事実にやれやれと肩をすくめます」
相変わらずなようで何よりだ。
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